70歳の女性。急性心筋梗塞で入院した。身長160 cm。体重70 kg。安静時心拍数70/分。安静時血圧130/70 mmHg。心臓超音波検査にて低左心機能(LVEF<40 %)が指摘されている。Karvonen法(k=0.5)を用いて計算した全身持久力運動の目標心拍数で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
この問題はKarvonen法を用いた運動処方の計算を問うものです。まず最大心拍数(HRmax)を「220 - 年齢」の簡易計算式で求めます(HRmax = 220 - 70 = 150回/分)。次に心拍数予備量(HRR)を「HRmax - 安静時心拍数」で計算します(HRR = 150 - 70 = 80回/分)。最後に目標心拍数(THR)をKarvonen法の式「THR = 安静時心拍数 + k × HRR」に代入して算出します(THR = 70 + 0.5 × 80 = 70 + 40 = 110回/分)。
選択肢ごとの解説
- 1. 誤りです。Karvonen法で計算した目標心拍数は110回/分となります。正しくは:Karvonen法の計算式に患者のデータを正確に代入し、再計算する必要があります。選びやすい理由:安静時心拍数(70回/分)に近い値であり、心臓病患者に対しては非常に慎重な心拍数設定が良いと考えるかもしれませんが、Karvonen法でk=0.5を用いるとこの値よりも高くなります。混同注意:運動開始初期の極めて低い負荷レベルや、Karvonen法ではない他の非常に保守的な心拍数設定方法と混同されることがあります。
- 2. 誤りです。Karvonen法で計算した目標心拍数は110回/分となります。正しくは:Karvonen法の計算式(安静時心拍数+k×心拍数予備量)を正確に適用し、110回/分を導く必要があります。選びやすい理由:最大心拍数(150回/分)の約2/3に相当するため、一般的な中等度運動強度の目安と誤解する可能性があります。また、心拍数予備量にkをかけた値を安静時心拍数に加算し忘れるなどの計算ミスでこの値に近い結果となることもあります。混同注意:Karvonen法の計算を途中で間違えた場合や、Karvonen法ではない別の簡易的な運動強度設定方法(例:最大心拍数の固定割合)と混同されることがあります。
- 3. 正解。正しいです。Karvonen法(目標心拍数 = 安静時心拍数 + k × (最大心拍数 - 安静時心拍数))を用いて算出します。まず最大心拍数を「220 - 年齢」で計算すると、220 - 70歳 = 150回/分です。次に心拍数予備量(最大心拍数 - 安静時心拍数)を計算すると、150 - 70 = 80回/分です。これに運動強度k=0.5を適用し、安静時心拍数を加えると、70 + 0.5 × 80 = 70 + 40 = 110回/分となります。
- 4. 誤りです。Karvonen法で計算した目標心拍数は110回/分となります。正しくは:運動強度kの値が0.5であることを確認し、正確な計算手順で110回/分を導く必要があります。選びやすい理由:Karvonen法において運動強度kを0.6と仮定して計算すると、70 + 0.6 × (150 - 70) = 70 + 48 = 118回/分となり、この値に近くなります。そのため、kの値を誤って記憶している場合に選択されやすいです。混同注意:Karvonen法の運動強度係数kの値を間違える場合や、最大心拍数の一定割合(例:150回/分の80%)で目標心拍数を設定する方法と混同されることがあります。
- 5. 誤りです。Karvonen法で計算した目標心拍数は110回/分となります。正しくは:運動強度kの値が0.5であることを確認し、正確な計算手順で110回/分を導く必要があります。選びやすい理由:心臓病患者に対する運動としてはやや高めですが、健康な人や軽度の心疾患患者に対する一般的な運動強度の目標値と誤解する可能性があります。または、kの値を0.75として計算すると、70 + 0.75 × (150 - 70) = 70 + 60 = 130回/分となり、kの誤った使用で導かれる可能性もあります。混同注意:Karvonen法の運動強度係数kを高く設定しすぎた場合や、重症度の低い心疾患患者や健康な人の運動強度設定と混同されることがあります。
国試ポイント
Karvonen法の正確な計算手順と、その計算に必要な最大心拍数(簡易式)および心拍数予備量の算出方法を理解しているかが問われます。また、与えられた複数の患者情報の中から、計算に必要な項目(年齢、安静時心拍数、運動強度k)を正確に選択できる能力も重要です。急性心筋梗塞や低左心機能といった臨床情報は、実際の運動処方では重要ですが、この問題の計算自体には直接影響しません。ただし、k=0.5という比較的低い運動強度設定が、そうした患者背景に配慮したものであることを示唆しています。
混同注意
最大心拍数の計算を「208 - 0.7 × 年齢」などの別の簡易式で試みてしまうことや、Karvonen法ではなく最大心拍数の一定割合で目標心拍数を設定する方法と混同することがあります。また、運動強度係数kを誤って適用したり、心拍数予備量を計算せずに最大心拍数にkをかけてしまうなどの計算ミスも起こりやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、Karvonen法以外の運動処方(例:最大酸素摂取量の百分率、Borgスケール)で目標値を算出させる問題や、運動強度kの値が異なる場合、あるいは低左心機能の患者に具体的な運動療法の内容や注意点を問う問題に発展する可能性があります。また、心臓リハビリテーションの各段階における運動強度の設定目標や、運動中の異常所見に対する判断基準なども関連して問われることがあります。
関連知識
運動処方における心拍数を指標とした運動強度の設定方法(Karvonen法、最大心拍数の百分率法)、最大心拍数の簡易計算式、心拍数予備量の概念、およびそれぞれの方法がどのような患者群に適用されるか、そのメリット・デメリットについて理解しておく必要があります。また、Borgの主観的運動強度(RPE)スケールも心拍数と合わせて運動強度設定に用いられるため、関連知識として重要です。心疾患患者への運動療法における禁忌や注意点、運動強度の設定根拠も合わせて理解することが望ましいです。