脳梗塞の発生部位と出現する症状の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
右内包後脚は錐体路(皮質脊髄路)が通過する重要な部位であり、この部位の梗塞は対側(左側)の上下肢に重度の運動麻痺を引き起こします。これは神経路の交叉性に基づく基本的な知識です。
選択肢ごとの解説
- 1. Broca野(ブローカ野)は言語理解や発話に関与する領域であり、失語症、特に運動性失語(ブローカ失語)を引き起こします。遂行機能障害は前頭前野の損傷によって生じやすいです。正しくは:Broca野 ― 運動性失語選びやすい理由:Broca野が前頭葉にあるため、前頭葉機能である遂行機能障害と関連付けてしまいがちですが、Broca野の主な機能は言語機能です。混同注意:Broca野の機能と、前頭葉全体の一般的な機能(遂行機能など)を混同しやすいです。
- 2. 小脳の機能は同側性であり、右小脳半球が損傷した場合、症状は体の右側に出現します。正しくは:右小脳半球 ― 右上下肢の運動失調選びやすい理由:脳の大部分の機能は交叉性であるため、小脳も交叉性であると誤解しやすいです。混同注意:小脳の同側性支配と、大脳皮質の交叉性支配を混同しやすいです。
- 3. 正解。右内包後脚には、錐体路(運動神経路)が走行しています。錐体路は内包より下位の脳幹で交叉するため、右内包後脚の損傷は対側である左半身の運動麻痺を引き起こします。選びやすい理由:内包の具体的な解剖学的位置と、それが司る運動機能の交叉性を正確に理解しているかを問う基本問題です。
- 4. 半側空間無視は主に右大脳半球、特に右頭頂葉や側頭頭頂接合部の損傷によって引き起こされ、左側の空間に対する無視が見られます。左前頭葉の損傷では、むしろ右側の運動麻痺や遂行機能障害などが顕著になります。正しくは:右頭頂葉 ― 左半側空間無視選びやすい理由:脳の損傷部位と高次脳機能障害の関連性は複雑で、片側性の症状に対して安易に同側または対側と結びつけてしまいがちです。混同注意:半側空間無視の優位半球(右半球)と、症状の出現側(左側)の関連性を混同しやすいです。
- 5. 放線冠は白質であり、大脳皮質と脳幹を結ぶ神経線維の束です。感覚性失語は主に左上側頭回(Wernicke野)の損傷によって生じます。放線冠の損傷は、運動麻痺や感覚障害を引き起こすことがありますが、直接的に感覚性失語を主症状とすることはありません。正しくは:左上側頭回(Wernicke野) ― 感覚性失語選びやすい理由:放線冠が広範囲の白質であるため、様々な症状と関連付けられると思いがちです。また、言語中枢が左半球にあることは正しいですが、その具体的な位置が問われています。混同注意:放線冠が広範囲の神経線維の束であることと、具体的な皮質中枢の機能を混同しやすいです。
国試ポイント
脳の主要な構造と機能、特に神経路の交叉性や高次脳機能障害の局在に関する基礎知識が問われます。運動麻痺、感覚障害、失語症、高次脳機能障害といった基本的な症状と、それに対応する脳の部位(皮質、白質、脳幹、小脳など)の組み合わせを正確に理解しているかが重要です。
混同注意
脳の機能の交叉性(大脳皮質運動野、感覚野、視床など)と同側性(小脳)の区別。失語症の種類(運動性、感覚性)と関連する脳領域。高次脳機能障害(例:半側空間無視、遂行機能障害)の病態生理と責任病巣。
次に同じ論点が出たら
今後も脳血管障害の病巣と症状の組み合わせは頻出します。特に、大脳皮質、基底核、内包、視床、脳幹、小脳といった主要な部位が損傷した場合にどのような特徴的な症状が出現するか、また神経路の交叉性・同側性を考慮して症状が左右どちらに出るかを正確に判断できるかが重要になります。
関連知識
錐体路の走行(皮質→内包→脳幹(交叉)→脊髄)、Wernicke野とBroca野の機能、小脳の機能(平衡、協調運動)と同側性支配、前頭前野の機能(遂行機能、注意、記憶など)、頭頂葉の機能(感覚統合、空間認知)。