筋電図検査について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
脱髄病変はミエリン鞘の損傷を伴い、これにより神経インパルスの伝達効率が低下するため、神経伝導速度が遅くなるのが特徴です。これは筋電図検査の基本的な所見の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 神経原性変化(例:前角細胞病変)では、運動単位の脱落と残存運動単位の肥大により、活動電位の振幅は「高振幅」となり、持続時間は「延長」します。正しくは:針筋電図の神経原性変化では、高振幅・長持続電位波形が出現します。選びやすい理由:低振幅や短持続という表現が、神経へのダメージと直感的に結びつきやすいため、誤って選択しがちです。混同注意:筋原性変化(例:筋ジストロフィー)と混同しやすいです。筋原性変化では、筋線維の変性により低振幅・短持続電位がみられます。
- 2. 軸索変性とは、神経の軸索そのものが変性・消失する状態を指します。これにより、インパルスを伝達する軸索が減少するため、複合筋活動電位(CMAP)や複合神経活動電位(SNAP)の振幅は「低下」します。正しくは:軸索変性がある場合、活動電位の振幅は低下します。選びやすい理由:神経伝導速度の低下が脱髄病変の特徴であるため、軸索変性では速度以外の要素は変化しないと誤解しやすいためです。混同注意:脱髄病変と混同しやすいです。脱髄病変では主に伝導速度が低下しますが、軸索変性では振幅の低下が主要な所見となります。
- 3. 正解。脱髄病変は、神経線維を覆うミエリン鞘が損傷する病態です。ミエリン鞘は神経インパルスの伝導速度を速める役割があるため、これが障害されると、跳躍伝導が効果的に行われなくなり、神経伝導速度が低下します。選びやすい理由:筋電図に関する基本的な知識を問うため、これを正しく理解しているかどうかが鍵となります。混同注意:軸索変性では振幅が低下することと対比して理解することが重要です。
- 4. 感覚神経の伝導速度は、刺激部位と記録部位の間の距離と伝導時間から計算することが可能です。通常、体表面から刺激・記録を行い、感覚神経活動電位(SNAP)を測定します。正しくは:感覚神経の伝導速度は測定できます。選びやすい理由:運動神経に比べて測定が難しいイメージがあるため、測定できないと誤解しやすいです。特に、運動神経の複合筋活動電位(CMAP)測定に比べて、感覚神経活動電位(SNAP)は振幅が小さく、ノイズの影響を受けやすいという側面があるためです。混同注意:運動神経伝導速度(MCV)と感覚神経伝導速度(SCV)の両方が測定可能であることを理解しておく必要があります。
- 5. 筋疾患(例:筋ジストロフィー、多発性筋炎)は、神経ではなく筋線維そのものの障害です。神経の機能は正常であるため、神経伝導速度は「正常範囲内」であることが特徴です。正しくは:筋疾患では神経伝導速度は通常、正常範囲内です。選びやすい理由:筋疾患も運動機能に影響を与えるため、神経伝導にも影響があるのではと連想してしまいがちです。特に、筋原性変化と神経原性変化の区別が曖昧な場合に選びやすい選択肢です。混同注意:神経疾患と筋疾患の病態生理の違い、特に神経伝導に影響が出るのは神経疾患であり、筋疾患は筋そのものの障害であることを理解することが重要です。
国試ポイント
筋電図検査における、神経原性変化と筋原性変化の区別、軸索変性と脱髄病変の鑑別、運動神経と感覚神経伝導速度測定の可否、およびそれぞれの病態生理と所見の対応を問う問題です。基本的な知識の正確な理解が求められます。
混同注意
神経原性変化と筋原性変化での針筋電図所見の違い(高振幅長持続と低振幅短持続)、および軸索変性(振幅低下)と脱髄病変(伝導速度低下)の主要な所見は混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、各病態におけるCMAP/SNAPの振幅・潜時・伝導速度の変化、および針筋電図における単位電位の形態(振幅、持続時間、多相性)がどのように変化するかを詳細に確認する問題が考えられます。特に、具体的な疾患名と所見の組み合わせを問う形式に注意が必要です。
関連知識
神経伝導検査、針筋電図検査の原理。運動単位、ミエリン鞘の機能、軸索の機能。各種神経筋疾患(ALS、ギランバレー症候群、筋ジストロフィーなど)の電気生理学的所見。