診断においてMRI拡散強調像が最も有用なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
MRI拡散強調像(DWI)は、組織内の自由水分子の拡散運動を画像化する技術です。脳梗塞の急性期には、虚血により細胞膜の機能が障害され、細胞内外の水分移動が変化し、細胞内浮腫が生じます。これにより細胞外空間が狭くなり、水分子の自由拡散が著しく制限されるため、DWIで非常に早期から高信号として検出されます。これは発症から数分〜数時間以内といった超急性期診断に優れており、治療方針の決定に極めて重要な情報を提供します。
選択肢ごとの解説
- 1. 頭蓋底骨折の診断には、骨構造を詳細に評価できるCTスキャンが最も有用です。MRI拡散強調像は軟部組織や急性期の虚血性病変の評価に特化しており、骨折の描出には適していません。正しくは:頭蓋底骨折の診断にはCTスキャンが最も有用です。選びやすい理由:頭部外傷に伴う病変として脳実質内の損傷を想起するかもしれませんが、骨折自体の評価にはDWIは不向きです。混同注意:頭蓋内の他の軟部組織損傷の評価と混同する可能性があります。
- 2. 脳室内出血の診断には、出血を迅速かつ明確に描出できるCTスキャンが最も有用です。MRIでも出血は検出可能ですが、CTと比較して時間がかかり、急性期出血の評価におけるDWIの優位性は限定的です。正しくは:脳室内出血の診断にはCTスキャンが最も有用です。選びやすい理由:出血性病変もMRIで評価できるため、選択肢として考慮されがちですが、急性期の出血はCTが第一選択です。混同注意:DWIが高信号を示す他の病変(例:脳梗塞)と、出血を混同する可能性は低いですが、MRIの多種多様なシーケンスの使い分けで迷うことがあります。
- 3. 正解。脳梗塞の急性期には、細胞内浮腫により自由水の拡散が制限され、MRI拡散強調像(DWI)で非常に早期(発症数分〜数時間以内)から高信号として描出されます。これは他の画像診断法よりも感度が高く、急性期脳梗塞の診断に最も有用とされています。選びやすい理由:DWIの主な適応症の一つであるため、知識があれば正答しやすいです。混同注意:他のMRIシーケンス(T1強調像、T2強調像、FLAIRなど)との鑑別が曖昧だと迷う可能性があります。
- 4. 脳出血の急性期診断には、出血の有無と部位を迅速かつ正確に確認できるCTスキャンが最も有用です。MRI拡散強調像は、出血そのものの描出に特化しているわけではなく、特に超急性期の出血ではDWIが高信号を示さないこともあります。正しくは:脳出血急性期診断にはCTスキャンが最も有用です。選びやすい理由:脳内の急性期病変であるため、MRIが有用だと考えるかもしれませんが、出血はCTで迅速に診断するのが標準的です。混同注意:脳梗塞との鑑別が重要であり、DWIが高信号を示すことが梗塞の特徴であることを理解していないと間違えやすいです。
- 5. くも膜下出血の急性期診断には、血液が髄液腔に広がる様子を明瞭に描出できるCTスキャンが最も有用です。MRI拡散強調像は、出血そのものの診断においてはCTに劣り、特に急性期ではDWIの診断的価値は限定的です。正しくは:くも膜下出血急性期診断にはCTスキャンが最も有用です。選びやすい理由:急性期の頭蓋内病変としてMRIの適用範囲を広く捉えるかもしれませんが、出血性疾患の第一選択はCTです。混同注意:脳出血と同様に、DWIの役割を他のMRIシーケンスやCTと混同しやすいです。
国試ポイント
MRIの様々なシーケンス(T1、T2、FLAIR、拡散強調像など)がどのような病変の診断に有用か、またCTスキャンとの使い分けについて問われることが多いです。特に急性期脳梗塞における拡散強調像の特異な有用性は頻出です。画像診断の基本的な知識と、各モダリティの臨床的意義を理解しているかが試されます。
混同注意
MRIの他のシーケンス(T2強調像やFLAIR像も浮腫や病変を描出するため)や、急性期出血に対するCTスキャンの有用性と混同されやすいです。特に「急性期」という言葉から、全ての急性期病変にDWIが有用だと誤解する可能性があります。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、まず「急性期」と「拡散強調像」というキーワードに注目し、拡散強調像が最も感度高く異常を検出する病態(特に脳梗塞)を想起する。次に、他の選択肢がCTスキャンなど別の画像診断法でより適切に評価される病態であるかを確認する。
関連知識
MRI拡散強調像の原理(細胞内浮腫と自由水拡散制限)、ADCマップ(見かけの拡散係数マップ)の解釈、急性期脳梗塞の診断アルゴリズム(CTとMRIの使い分け)、虚血性脳血管障害における時間的経過に伴う画像変化。