脊髄損傷で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
脊髄損傷による核上型神経因性膀胱は、膀胱の脊髄反射弓が保たれているため、外部からの刺激(例:下腹部の叩打や圧迫)によって反射的に排尿を誘発することが可能です。これは自律神経系の反射を利用した排尿管理法の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 脊髄損傷直後は脊髄ショック期にあり、膀胱は弛緩し、尿閉状態になることが多い。この時期は尿失禁よりもむしろ尿が排出できない状態(尿閉)となるのが一般的である。正しくは:脊髄損傷直後は、脊髄ショックにより膀胱が弛緩し、尿閉状態となることが多い。選びやすい理由:損傷により神経支配が失われるため、排尿機能がコントロールできなくなるという漠然としたイメージから、尿失禁が起こると誤解しやすい。混同注意:反射性排尿(核上型損傷で起こりうる)による失禁と、脊髄ショック期の尿閉を混同している可能性がある。
- 2. 脊髄損傷、特に核上型神経因性膀胱(脊髄レベルの損傷)では、排尿筋と外尿道括約筋の協調不全(DSD: Detrusor-Sphincter Dyssynergia)が高頻度に発生する。これは膀胱が収縮しようとするときに、尿道括約筋が弛緩せずに収縮してしまう状態を指す。正しくは:脊髄損傷による核上型神経因性膀胱では、排尿筋と尿道括約筋の協調不全が生じやすい。選びやすい理由:排尿筋と括約筋は本来協調して働くため、損傷によってそのバランスが崩れることをイメージしにくいかもしれない。混同注意:正常な排尿機能と、脊髄損傷による病的な排尿機能(協調不全)を混同している。
- 3. 一般的に、残尿量が100mLを超える場合は、尿路感染症のリスク増加や腎機能への影響が懸念されるため、導尿の適応を検討すべきとされる。150mLは明確に導尿の検討が必要な量である。正しくは:残尿量が150mLの場合、尿路感染症などのリスクを考慮し、導尿の必要性を検討すべきである。選びやすい理由:具体的な数値の基準を知らない場合、少し多い程度なら問題ないと判断してしまう可能性がある。混同注意:残尿の正常値(通常50mL以下)と、導尿が必要となる閾値を混同している。
- 4. 尿道カテーテルの長期留置は、尿路感染症、尿道狭窄、膀胱結石などの合併症リスクが高いため、可能な限り避けるべきである。核・核下型神経因性膀胱では、間欠的導尿が選択されることが多い。正しくは:核・核下型神経因性膀胱では、合併症リスクを考慮し、可能な限り間欠的導尿が選択される。選びやすい理由:排尿困難が続くため、持続的な排尿管理が必要という発想から、カテーテル長期留置が適切と誤解しやすい。混同注意:急性期の管理や、他の原因による尿閉の管理方法と混同している。長期管理における合併症リスクの認識が不足している。
- 5. 正解。核上型神経因性膀胱(脊髄反射弓が保たれている場合)では、脊髄反射を利用した排尿が可能となる。下腹部(トリガーポイント)の叩打や圧迫、陰部神経支配領域への刺激などにより、反射性の排尿を誘発する試みがなされる。これは「反射性排尿」と呼ばれる。選びやすい理由:反射を利用した排尿は、自律神経反射の知識がある学生にとっては比較的理解しやすい選択肢である。混同注意:核下型(弛緩性)と核上型(痙性、反射性)の排尿パターンを明確に区別できていない場合、この刺激がどちらに有効か判断に迷う可能性がある。
国試ポイント
脊髄損傷における神経因性膀胱の病態理解と、それに応じた排尿管理法の選択が問われています。特に、核上型(反射性膀胱)と核下型(弛緩性膀胱)の生理学的特徴とその管理の違いが重要です。
混同注意
核上型(反射性、痙性)と核下型(弛緩性)の神経因性膀胱の症状、病態、そして各々に適した排尿管理法を混同しやすい。また、脊髄ショック期の排尿状態(尿閉)と慢性期の排尿状態(失禁、協調不全)の違いも混乱を招きやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各神経因性膀胱のタイプ(核上型、核下型)と、それぞれの管理方法(例:導尿、反射排尿、薬物療法など)の具体的な組み合わせが適切であるかを問う問題が出る可能性があります。また、合併症(尿路感染症、水腎症など)の予防策や、排尿機能評価の方法も問われるでしょう。
関連知識
神経因性膀胱の分類(核上型、核下型)、脊髄ショック、排尿筋-括約筋協調不全(DSD)、間欠的導尿、持続的導尿の適応と合併症、残尿量の基準、排尿管理におけるリハビリテーションの役割。