膝関節内反変形のある変形性膝関節症患者にみられる歩行の特徴はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
膝関節内反変形のある変形性膝関節症患者では、立脚相での膝関節の内側負荷増大や不安定性が生じます。この負荷を軽減し、痛みや不安定感を代償するために、1. 外側スラスト(膝を外側に突き出す動き)と、2. 立脚側への体幹傾斜(患側荷重を減らす目的)が特徴的な歩行パターンとして観察されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。膝関節内反変形がある場合、立脚相で重心線が膝関節の中心より内側にずれ、内側への圧迫が増大します。これを代償するために、歩行時に膝が外側へ逸脱するような「外側スラスト」が生じることがあります。これは痛みの軽減や不安定性の改善を目的とした代償運動です。
- 2. 正解。膝関節に痛みや不安定性がある場合、立脚期の荷重を軽減し、膝関節への負担を減らすために、立脚側(患側)へ体幹を傾けることで重心を内側に移動させ、てこの原理で外転筋の働きを効率化したり、膝関節の内側への負荷を減らそうとします。これにより痛みや不安定感を軽減させようとします。
- 3. 変形性膝関節症による内反変形では、通常、膝の屈曲拘縮や不安定性が問題となりますが、反張膝はまれです。むしろ、膝関節の伸展制限を伴うことが多いです。正しくは:立脚期に、体重を支えている脚の膝が屈曲位となる(膝屈曲拘縮)。選びやすい理由:膝の不安定性から反張膝を連想するかもしれませんが、変形性膝関節症における反張膝は一般的ではありません。リウマチ性疾患などで靭帯が弛緩した場合などに見られます。混同注意:膝関節の不安定性と反張膝が混同されやすい。変形性膝関節症の一般的な病態とは異なります。
- 4. 「分回し歩行(ぶんまわし歩行)」は、一般的に股関節の屈曲や膝関節の屈曲が困難な場合、または下肢全体の伸展共同運動パターンが強い場合にみられる歩行パターンです。例として、脳卒中片麻痺(痙性麻痺)患者によく見られます。変形性膝関節症の内反変形が直接の原因となることは稀です。正しくは:遊脚期に、痛みのある膝を避けるように、小さく足を出す。選びやすい理由:膝の可動域制限や痛みから、何らかの代償動作が生じると考えるかもしれませんが、分回し歩行の主な原因とは異なります。混同注意:変形性膝関節症による歩行パターンと、脳卒中片麻痺など他の疾患による特徴的な歩行パターンが混同されやすいです。
- 5. 遊脚期の骨盤下制(トレンデレンブルグ徴候)は、立脚側の股関節外転筋力低下が原因で生じるものです。変形性膝関節症の内反変形が直接の原因となることは考えにくいです。もし立脚側の外転筋が機能不全に陥っていれば生じますが、内反変形それ自体とは直接関係しません。正しくは:遊脚期に、立脚側の股関節外転筋の筋力低下により、遊脚側の骨盤が下制する。選びやすい理由:股関節の問題と歩行の関連性を考えるかもしれませんが、変形性膝関節症の内反変形から直接は導き出されません。混同注意:股関節疾患や外転筋力低下による歩行パターン(トレンデレンブルグ歩行)と、膝関節疾患による歩行パターンが混同されやすいです。
国試ポイント
この問題は、変形性膝関節症、特に内反変形を有する患者さんの具体的な歩行パターンを理解しているかを問うものです。疾患の病態とそれに伴う代償動作や痛みの回避行動を結びつけて考える能力が求められます。単に症状を覚えるだけでなく、なぜその症状が出現するのかという因果関係を理解することが重要です。
混同注意
他の疾患(脳卒中片麻痺、股関節疾患など)による特徴的な歩行パターンと、変形性膝関節症の歩行パターンが混同されやすいです。特に「分回し」や「トレンデレンブルグ」などの専門用語は、それぞれの原因疾患を明確に把握しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後、同じ論点が出題される場合、変形性股関節症や、脳卒中片麻痺などの疾患における典型的な歩行パターンとその原因が問われる可能性が高いです。また、X脚(外反膝)変形の場合の歩行パターン(例:内側スラスト)との対比も重要です。歩行分析の基本原則と、各疾患による具体的な症状・徴候を結びつけられるかがポイントとなります。
関連知識
変形性膝関節症の病態生理(軟骨変性、骨棘形成、滑膜炎)、痛みと歩行の関係、バイオメカニクス(重心線、モーメントアーム)、各関節の可動域制限と筋力低下が歩行に与える影響、およびそれらに対する代償動作。