60歳の男性。右利き。歩行困難のため搬送された。発症7日目の頭部MRIと頭部MRA(別冊No. 3)を別に示す。 この患者に生じやすい症状はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
病態失認は、自己の身体や病状に対する認識の欠如を特徴とする症状です。これは非優位半球(多くの場合、右半球)の頭頂葉損傷、特に右頭頂葉の後部下頭頂小葉の損傷で頻繁に観察されます。患者はしばしば左半身麻痺を伴うことが多く、自身の麻痺を否定したり、無関心を示したりすることがあります。右半球頭頂葉は、自己の身体図式や空間認識、注意機能に関与しており、その損傷は病態失認の発症に直結します。
選択肢ごとの解説
- 1. 観念失行は通常、左半球の頭頂葉や前頭葉の損傷と関連が深く、複雑な一連の動作の計画や遂行が困難になる状態です。正しくは:左半球の頭頂葉・前頭葉損傷であれば生じやすい。選びやすい理由:失行という言葉から頭頂葉損傷と結びつけやすいですが、観念失行は両側性病変または左半球優位の損傷で生じやすい症状です。混同注意:観念運動失行(目的動作は理解しているが実行できない)と混同しやすいが、観念失行は動作のプランニング自体ができない点が異なります。
- 2. 左右失認はGerstmann症候群の一部であり、通常は左半球の角回領域(頭頂葉)の損傷と関連が深く、右半球損傷では生じにくいです。正しくは:左半球の頭頂葉損傷であれば生じやすい。選びやすい理由:頭頂葉損傷という点で関連がありそうに見えますが、左右失認は左半球優位の症状です。混同注意:他の高次脳機能障害(失認や失行)と混同しやすいですが、左右失認はGerstmann症候群の構成要素として覚えるべきです。
- 3. 純粋失読は通常、左後頭葉と脳梁膨大部の損傷によって引き起こされ、右半球の頭頂葉損傷では一般的に見られません。正しくは:左後頭葉と脳梁膨大部の損傷であれば生じやすい。選びやすい理由:高次脳機能障害の一つではありますが、損傷部位が異なります。混同注意:他の失読(失語性失読など)や、他の後頭葉損傷による視覚関連の障害と混同しやすいです。
- 4. 正解。病態失認は、自分の身体の障害や病気を認識できない症状であり、右半球の頭頂葉損傷、特に非優位半球(多くの場合右半球)の損傷によって頻繁に引き起こされます。混同注意:半側空間無視(空間の左側を認識できない)と関連が深いですが、病態失認は自己の障害に対する認識の欠如を指します。
- 5. 観念運動失行は、簡単な動作を命令されても模倣したり実行したりできない状態であり、通常は左半球の優位半球の頭頂葉または前頭葉の損傷によって引き起こされます。正しくは:左半球の頭頂葉・前頭葉損傷であれば生じやすい。選びやすい理由:観念失行と同様に、失行という言葉から頭頂葉損傷と結びつけやすいですが、左半球優位の症状です。混同注意:観念失行(動作プランニングの障害)と混同しやすいですが、観念運動失行は動作の「実行」ができない点で異なります。
国試ポイント
脳損傷部位とそれに対応する高次脳機能障害の典型的な関連性を問う問題です。特に左右の半球の機能差と、各葉(頭頂葉、側頭葉、前頭葉、後頭葉)の主要な役割を正確に理解しているかが試されます。失認、失行、失語などの各概念と、それぞれの原因となる病変部位を正確に結びつけられることが重要です。
混同注意
右半球の頭頂葉損傷では、半側空間無視もよく見られますが、病態失認とは異なる症状です。病態失認は自分の障害を認識できないことであり、半側空間無視は空間の特定の半分を認識できないことです。これらは併発することもありますが、概念としては区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、右半球損傷による高次脳機能障害(特に頭頂葉)、左半球損傷による高次脳機能障害(特に頭頂葉と優位半球)、および各失語症型と損傷部位の関連性が問われる可能性が高いです。
関連知識
ゲルストマン症候群(左半球角回損傷:手指失認、左右失認、失書、失算)、半側空間無視(右半球頭頂葉損傷)、失行の分類(観念失行、観念運動失行、肢節運動失行)、純粋失読の原因と症状、各失認の種類(相貌失認、物体失認など)