60歳の男性。右利き。歩行困難のため搬送された。発症7日目の頭部MRIと頭部MRA(別冊No. 3)を別に示す。 閉塞している動脈はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
別冊No. 3の頭部MRIと頭部MRAから、閉塞している動脈は右中大脳動脈と判断されます(公式正答2)。右中大脳動脈の閉塞では右大脳半球の外側面が障害され、左片麻痺・左半身の感覚障害に加えて、左半側空間無視や病態失認などの右半球症状が生じやすくなります(問15)。右前大脳動脈の閉塞では左下肢優位の麻痺が、内頸動脈の閉塞では中大脳動脈と前大脳動脈の両方の領域にわたる広い障害が、椎骨動脈・脳底動脈の閉塞では脳幹・小脳・後頭葉の症状が中心となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 右前大脳動脈の閉塞では、主に左下肢優位の運動麻痺・感覚障害が生じます。別冊の所見からは右中大脳動脈の閉塞と判断されます。正しくは:画像所見から右中大脳動脈の閉塞と判断します。選びやすい理由:大脳の主要な動脈として選びやすい選択肢です。混同注意:前大脳動脈と中大脳動脈の支配領域
- 2. 正解。別冊の頭部MRI・MRAから、右中大脳動脈の閉塞と判断されます(公式正答)。
- 3. 内頸動脈の閉塞では、中大脳動脈と前大脳動脈の両方の領域に障害が及ぶことがあります。別冊の所見は右中大脳動脈の閉塞を示します。正しくは:画像所見から右中大脳動脈の閉塞と判断します。選びやすい理由:中大脳動脈の上流の血管のため選びやすい選択肢です。混同注意:内頸動脈閉塞と中大脳動脈閉塞
- 4. 椎骨動脈の閉塞では、脳幹・小脳の症状(めまい、運動失調など)が中心となります。正しくは:画像所見から右中大脳動脈の閉塞と判断します。選びやすい理由:歩行困難から小脳症状を連想して選びやすい選択肢です。混同注意:前方循環と後方循環
- 5. 脳底動脈の閉塞では、意識障害・四肢麻痺など脳幹の重い症状が生じます。正しくは:画像所見から右中大脳動脈の閉塞と判断します。選びやすい理由:重症の脳梗塞として選びやすい選択肢です。混同注意:前方循環と後方循環
国試ポイント
頭部MRI・MRAの所見から閉塞血管を判断し、その血管の支配領域と症状を結びつけられるかが問われています。
混同注意
中大脳動脈と内頸動脈の閉塞は症状が似ることがあります。内頸動脈の閉塞では前大脳動脈の領域にも障害が及びます。
次に同じ論点が出たら
右半球症状(左半側空間無視・病態失認など)の有無を評価し、歩行や日常生活動作の練習で安全面に配慮する。
関連知識
前大脳動脈:前頭葉内側・頭頂葉内側(対側下肢優位の麻痺)。中大脳動脈:大脳半球外側面(対側の上肢・顔面優位の麻痺、感覚障害。優位半球で失語、非優位半球で半側空間無視・病態失認)。後大脳動脈:後頭葉(同名半盲)。