Danielsらの徒手筋力テストで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
徒手筋力テストを実施する際には、被験者が痛みを感じていないことを常に確認することが非常に重要です。痛みは筋力の発揮を阻害し、正確な評価を不可能にするだけでなく、被験者の不快感や状態悪化を招く可能性があるため、安全で信頼性の高い評価のためには不可欠な原則です。
選択肢ごとの解説
- 1. 徒手筋力テストは、検査者の触診や抵抗の負荷によって筋力を評価する定性的な検査であり、専用の計測機器(例:ダイナモメーター)は通常使用しません。しかし、測定対象の筋にのみ抵抗を加えるための補助具や、姿勢を保持するための安定化具などは用いることがあります。正しくは:徒手筋力テストの基本的な実施において、客観的な数値を測定する精密な計測機器は通常使用しない、と表現するのがより正確です。選びやすい理由:MMTが「徒手」で行われるテストであることから、機器を使わないという記述は正しそうに思えます。しかし、全く使わないわけではなく、あくまで「筋力そのものの定量測定」には使わない、という意味合いです。混同注意:客観的な数値を示すダイナモメーターなどの機器を用いた筋力測定と混同しやすい。
- 2. 正解。徒手筋力テストは、被験者に痛みがある場合、正確な筋力を発揮できないため、結果に影響が出ます。また、痛みを誘発することは倫理的にも避けるべきです。そのため、被験者の苦痛の有無を常に確認し、痛みがある場合は無理にテストを続行しないことが重要です。選びやすい理由:身体機能評価の基本原則として、患者の安全と快適さが最優先されるため、この選択肢は非常に妥当に見えます。混同注意:特に混乱する要素は少ないですが、痛みの確認が筋力評価の正確性に直結する重要な要素であるという認識がないと、他の技術的な選択肢に目が行きがちになります。
- 3. MMTを実施する際は、被験者の身体を安定させ、不必要な動きや代償動作を防ぐために、硬くて平らな表面が望ましいです。柔らかい表面では身体が沈み込み、安定性が損なわれ、正確な筋力評価が困難になります。正しくは:ベッドの表面は、身体が安定する硬く平らなものが望ましい。選びやすい理由:患者の快適性を考えると柔らかい方が良いと思われがちですが、MMTの正確性には適しません。混同注意:一般的な患者の快適性に対する配慮と、検査の正確性を確保するための環境条件とを混同しやすい。
- 4. MMTでは、重力の影響を排除するために、支持面上で肢体を滑らせて動かす「重力除去位」で筋力を評価する場合があります。この際、摩擦が大きいと動きが妨げられ、正確な評価ができません。そのため、摩擦は小さい方が望ましいです。正しくは:ベッドの表面の摩擦は、肢体の動きを妨げないよう小さい方が望ましい。選びやすい理由:患者の姿勢保持を考えると摩擦があった方が安定しそうに思えますが、MMTの特定のテスト体位では滑らかさが必要です。混同注意:患者の「安定性」と、検査における「動きの自由度」という二つの異なる要素を混同しやすい。
- 5. 徒手筋力テストを実施する際、検査者が適切な体勢で抵抗を加えたり、被験者の姿勢を保持したりするためには、ベッドの高さを検査者の体格やテストの部位に合わせて調整できることが重要です。高さ固定式では、検査者の負担が増えたり、正確な抵抗が加えにくくなったりする可能性があります。正しくは:ベッドは、検査者の体格やテスト部位に合わせて高さが調整できるものが望ましい。選びやすい理由:ベッドの「安定性」という意味で、固定式の方が良いと誤解しがちです。しかし、ここでは検査者の操作性や正確なテスト遂行の視点が重要です。混同注意:機器の「安定性」という一般的な安全性の視点と、検査における「操作性」「調整可能性」という専門的な要件を混同しやすい。
国試ポイント
徒手筋力テストの実施にあたっての基本的な原則や、正確な評価を阻害する要因について問われています。特に、被験者の安全や快適性といった倫理的・実用的な側面と、測定環境(ベッドの硬さや摩擦、高さなど)が評価結果に与える影響に関する知識が試されています。
混同注意
MMTに関する細かい技術的側面(例:重力除去位での肢位、安定化の重要性)と、評価全体に共通する患者配慮の原則とを混同しないよう注意が必要です。特に、「機器を使わない」「ベッドの硬さ」「摩擦」といった項目は、MMTの具体的な実施方法の知識と結びつけて考える必要があります。
次に同じ論点が出たら
徒手筋力テストに関する問題が次に出題された場合、各筋に対する具体的なテスト体位や、特定のグレード(例:MMT 2の判断基準)に関する知識、あるいは小児や高齢者など特別な対象者へのMMTの適用方法が問われる可能性があります。
関連知識
徒手筋力テストの各筋に対するテスト体位、抵抗の方向、代償動作、MMTのグレード分類(0~5)、重力除去位の適用条件、筋の起始・停止・作用、検査時の安定化の重要性。