50歳の女性。2日前に階段を下りた際に膝を捻った。その直後から左膝の痛みが続いているため受診した。左膝内側および膝窩部に痛みがあり、McMurrayテスト陽性であった。エックス線写真では明らかな異常所見を認めない。次に確認すべき検査はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
50歳女性が膝をひねり、膝内側と膝窩部に痛みがあり、McMurrayテスト陽性という所見は、半月板損傷を強く示唆します。X線写真で骨に異常がないことから、骨以外の軟部組織の損傷が疑われます。MRIは、半月板、靭帯、軟骨といった軟部組織の詳細な構造を最も明確に描出できる検査であり、半月板損傷の診断において非常に高い感度と特異度を持ちます。したがって、次に確認すべき検査としてMRIが最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 関節造影は関節内の構造、特に軟骨や靱帯の状態を評価するのに用いられますが、侵襲性があり、MRIと比較して詳細な情報や多方向からの評価が困難です。正しくは:非侵襲的でより広範囲な評価が可能な検査を優先すべきです。選びやすい理由:関節内の構造を見る検査として想起されるかもしれませんが、より優れた選択肢があります。混同注意:CTやMRIといった非侵襲的な画像診断法が普及した現在では、関節造影が第一選択となることは稀です。
- 2. CTは骨病変の評価に優れていますが、軟骨、半月板、靭帯などの軟部組織の詳細な評価にはMRIがより適しています。本症例ではX線で骨に異常がないことが確認されており、軟部組織の損傷が疑われるため、CTは最適な選択肢ではありません。正しくは:軟部組織の損傷が疑われる場合、MRIがより適切な選択肢となります。選びやすい理由:X線より詳細な画像が得られるため選択肢になりがちですが、軟部組織の評価においてはMRIに劣ります。混同注意:骨折や脱臼など骨の構造を詳細に見る場合には有用ですが、半月板損傷のような軟部組織の病変には不向きです。
- 3. 正解。MRIは、半月板、靭帯、軟骨、関節包など膝関節の軟部組織病変の評価に非常に優れています。McMurrayテスト陽性という所見から半月板損傷が強く疑われ、X線写真で骨に異常がないことから、次に半月板や靭帯の状態を詳細に評価するためにMRIが最も適切な検査です。正しくは:この症例のように、半月板損傷や靭帯損傷が疑われる場合に、MRIは病変の存在、部位、程度の診断に不可欠です。選びやすい理由:画像診断の一般的な選択肢の一つであり、その有用性は高いです。混同注意:放射線被曝がなく、多方向からの詳細な画像が得られるため、軟部組織病変の診断には非常に有用です。
- 4. PETは主に腫瘍の診断や転移の評価、炎症性疾患の活動性評価に用いられる機能画像診断法であり、膝関節の半月板損傷や靭帯損傷のような形態的異常の診断には適していません。正しくは:半月板や靭帯などの形態的損傷の診断には、形態情報を得るMRIが適切です。選びやすい理由:画像診断法の一つではありますが、目的が大きく異なります。混同注意:悪性腫瘍や脳機能評価などに用いられる特殊な検査であり、外傷による膝の痛みの原因究明には不向きです。
- 5. SPECTは骨シンチグラフィなどで用いられ、骨代謝の亢進や血流の変化などを評価する機能画像診断法です。骨病変の活動性評価には有用ですが、半月板損傷や靭帯損傷などの軟部組織の形態的損傷の診断には適していません。正しくは:軟部組織の形態的損傷の評価には、形態情報を詳細に描出できるMRIが適切です。選びやすい理由:核医学検査の一種であり、身体のどこかに異常があることを示すことはできますが、損傷の具体的な部位や種類を特定するには不十分です。混同注意:PETと同様に機能評価が主目的であり、外傷による軟部組織損傷の診断には直接的な情報を提供しません。
国試ポイント
膝関節の外傷性疾患、特に半月板損傷が疑われる場合の診断の流れと、各種画像診断法の適応を理解しているかが問われる問題です。McMurrayテスト陽性という理学所見と、X線で異常がないという所見から、軟部組織損傷、特に半月板損傷を念頭に置いた上で、最も適切な画像診断法を選択できるかが重要です。
混同注意
CTとMRIの使い分けは頻出のポイントです。CTは骨病変、MRIは軟部組織病変に優れるという原則を理解しておく必要があります。また、PETやSPECTのような核医学検査は、外傷性疾患の形態診断には通常用いられないことを明確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
MRIの結果、半月板損傷が確定した場合、損傷の程度や患者の症状に応じて、保存療法(リハビリテーション、装具など)または手術療法(関節鏡下半月板縫合術、部分切除術など)の選択肢を検討します。理学療法士としては、損傷の評価と術前・術後のリハビリテーション計画の立案が次の重要なステップとなります。
関連知識
膝関節の理学所見(McMurrayテスト、Lachmanテスト、前方引き出しテスト、Appley圧迫テストなど)、各画像診断法(X線、CT、MRI、超音波、関節造影、PET、SPECT)の原理と適応疾患、半月板損傷の病態と治療法。