65歳の男性。入浴中、軽度の意識障害および左片麻痺が突然出現したため救急車で搬送された。救急外来到着時の頭部単純CT(別冊No. 1)を別に示す。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
下に示す頭部単純CT画像では、右大脳基底核付近に高吸収域が認められます。これは新鮮な血液を示唆しており、突然発症した意識障害と左片麻痺という症状と合わせて、脳出血と診断するのが適切です。脳出血は高血圧などを背景に入浴中の血圧変動で起こりやすく、典型的には対側の片麻痺を呈します。
選択肢ごとの解説
- 1. 慢性硬膜下血腫は、通常、外傷から数週間〜数ヶ月後に発症し、画像では三日月状または低吸収域として現れることが多いです。本症例のような急性の意識障害と片麻痺には直接結びつきにくいです。正しくは:急性発症の意識障害や片麻痺を呈する画像所見ではありません。頭部CTでは、通常、三日月状の低吸収域として描出されます。選びやすい理由:頭部CT画像を見るため、出血性の病変の一つとして想起されるかもしれませんが、特徴的な画像所見が異なります。混同注意:急性硬膜下血腫や他の出血性病変と混同しやすいです。
- 2. くも膜下出血は、通常、CT画像で脳溝やくも膜下腔に高吸収域として描出されます。本症例の画像では、脳実質内に限局した高吸収域が見られ、くも膜下腔の広範な出血像ではありません。正しくは:くも膜下出血であれば、脳槽やくも膜下腔に沿って高吸収域が認められます。画像は脳実質内の病変を示しています。選びやすい理由:突然発症の意識障害という症状から出血性病変が疑われるため、鑑別の一つとして挙がりやすいです。混同注意:他の出血性脳卒中、特に脳出血と混同しやすいです。
- 3. 脳梗塞の急性期(発症直後)の頭部単純CTでは、通常、目立った変化は見られないか、ごく軽微な低吸収域として現れます。本症例のCT画像では、明らかに高吸収域が認められるため、脳梗塞とは異なります。正しくは:脳梗塞の急性期CTでは、通常、高吸収域ではなく低吸収域が見られるか、あるいは異常所見がはっきりしないことが多いです。選びやすい理由:突然発症の片麻痺は脳梗塞の主要症状であり、意識障害を伴うこともありますが、CT画像所見が異なります。混同注意:脳出血と脳梗塞は症状が類似することが多く、急性期診断でCT所見を混同しやすいです。
- 4. 脳挫傷は外傷によって脳組織が損傷し、出血を伴う状態を指します。本症例は入浴中に突然発症しており、外傷のエピソードがないため、脳挫傷とは考えにくいです。画像も特定の外傷性変化を示していません。正しくは:脳挫傷は頭部外傷が原因で発生します。患者に外傷のエピソードはありません。選びやすい理由:出血を伴う病変として脳出血と類似する画像所見を示すこともありますが、発症機序が全く異なります。混同注意:脳出血や他の外傷性脳損傷と混同しやすいです。
- 5. 正解。頭部単純CT画像において、脳実質内に高吸収域(白く映る部分)が認められる場合、これは新鮮な血液を示しており、脳出血の典型的な所見です。患者が突然の意識障害と片麻痺を発症したという臨床経過とも一致します。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:この選択肢は正しいです。混同注意:脳梗塞や他の出血性疾患と混同されやすいですが、画像所見(高吸収域)と臨床経過(突然発症の意識障害・麻痺)が最も整合します。
国試ポイント
脳卒中の急性期診断において、頭部単純CT画像所見と臨床症状を正確に結びつけられるかが問われています。特に、脳出血と脳梗塞のCT所見の違い(高吸収域 vs. 低吸収域/変化なし)を理解していることが重要です。
混同注意
脳出血と脳梗塞は、症状が類似することが多いため、急性期診断でCT所見を混同しやすいです。また、他の出血性疾患(くも膜下出血、硬膜下血腫)との鑑別も重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の画像問題が出た場合、まずCT画像の「色調(高吸収域か低吸収域か)」と「部位」を確認し、次に「患者の症状の突然性」と「外傷の有無」を総合的に判断します。高吸収域が脳実質内にある場合は脳出血、脳槽内ならくも膜下出血を疑い、外傷エピソードがある場合は脳挫傷や硬膜下血腫も考慮します。低吸収域や目立った変化がない場合は脳梗塞を考慮します。
関連知識
脳出血は、高血圧性脳出血(特に被殻、視床、橋、小脳に好発)、脳動静脈奇形破裂、アミロイド血管症など様々な原因で発生します。片麻痺は出血部位と反対側に生じます。急性期の治療は血圧管理、止血、脳圧コントロールが中心となります。脳卒中ガイドラインに基づいた早期リハビリテーション介入も重要です。