18歳の男子。野球肘の診断で理学療法を行うこととなった。上肢の関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)の運動と測定肢位の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
上肢の関節可動域測定において、肘関節の屈曲・伸展は前腕回外位で行い、前腕の回内・回外は肘関節90度屈曲位で行うのが日本整形外科学会および日本リハビリテーション医学会の定める標準的な測定法です。これにより、代償動作を防ぎ、対象とする関節の純粋な運動範囲を正確に評価できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 肩関節の屈曲・伸展を測定する際は、前腕は回内外中間位で行うのが一般的です。前腕回外位は尺骨回りの可動域に影響を与える可能性があります。正しくは:肩関節の屈曲・伸展は、前腕回内外中間位で行う。選びやすい理由:上肢の運動のため、前腕の肢位が意識されにくい。回外位は『力を入れやすい』と誤解する可能性がある。混同注意:他の肩関節運動(例:外転)と混同する可能性や、特定の筋力測定時の肢位と混同する可能性がある。
- 2. 肩関節の外旋・内旋を測定する際は、前腕は回内外中間位で行うのが標準です。回内位は肩関節周囲の筋の緊張や尺骨の動きに影響を与え、正確な測定を妨げる可能性があります。正しくは:肩関節の外旋・内旋は、前腕回内外中間位で行う。選びやすい理由:肩関節の外旋・内旋の測定に際し、前腕の肢位があまり意識されず、なんとなく選んでしまう可能性がある。混同注意:他の肘関節や手関節の測定肢位と混同する可能性。
- 3. 正解。日本整形外科学会および日本リハビリテーション医学会の基準では、肘関節の屈曲・伸展を測定する際の標準肢位として、前腕は回外位が指定されています。これは、上腕二頭筋が回外筋としても機能するため、前腕回外位で測定することで純粋な肘屈曲の可動域を評価しやすくするためと考えられます。選びやすい理由:特にありません。標準的な測定方法です。
- 4. 正解。前腕の回内・回外を測定する際には、肘関節を90度屈曲位に保つのが標準的な方法です。これは、肩関節の回旋運動による代償を防ぎ、純粋な前腕の回内・回外運動を正確に評価するためです。選びやすい理由:特にありません。標準的な測定方法です。
- 5. 手関節の屈曲・伸展を測定する際は、前腕は回内外中間位で行うのが一般的です。回内位では、尺骨の運動や前腕の筋緊張が手関節の可動域に影響を与え、正確な測定が困難になることがあります。正しくは:手関節の屈曲・伸展は、前腕回内外中間位で行う。選びやすい理由:手関節の測定では、前腕の回旋位がそれほど厳密に意識されないと誤解する可能性がある。混同注意:他の手関節や指関節の測定肢位と混同する可能性。
国試ポイント
理学療法士国家試験において、関節可動域測定は頻出テーマの一つです。特に、日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会基準に基づく測定肢位と運動の組み合わせは、基礎知識として確実に理解しておく必要があります。代償動作を防ぐための工夫や、特定の筋群の影響を考慮した肢位設定が問われることが多いです。2つ選べ形式は、正確な知識が求められるため、確実に正解肢を選べる準備が必要です。
混同注意
各関節の測定肢位、特に前腕の回内外位や肘の屈曲角度が混同されやすいです。例えば、肩関節の回旋運動と前腕の回旋運動の測定肢位、肘関節の屈曲・伸展と前腕の回旋運動の測定肢位など、似たような運動が含まれるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず各運動の主動作筋と補助筋の解剖学的知識を確認し、その運動を純粋に評価するためにどのような肢位が適切かを判断する視点が重要です。また、代償動作を引き起こしやすい関節運動と、それを抑制するための標準的な肢位を具体的にイメージできるかどうかが鍵となります。
関連知識
関節可動域測定の目的(治療効果判定、機能評価など)、ゴニオメーターの使用法、代償動作の理解と防止策、各関節の解剖学的な運動軸と筋の作用。他関節の測定基準(例:股関節、膝関節、脊柱など)も合わせて学習することで、出題範囲全体に対応できます。