MRC〈Medical Research Council〉sum scoreによる筋力が集中治療室獲得性筋力低下〈ICU-AW〉の判定を満たすのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
MRC sum-scoreは、左右の肩関節外転、肘関節屈曲、手関節伸展、股関節屈曲、膝関節伸展、足関節背屈の計12項目を0~5点で評価し、合計最大60点です。集中治療室獲得性筋力低下(ICU-AW)の診断基準として、この合計スコアが48点未満、すなわち1項目あたりの平均点が4点未満であることが用いられます。
選択肢ごとの解説
- 1. MRC sum-scoreは、評価対象となる各筋群の運動機能に応じて、最適な体位で測定されるべきです。必ずしも全ての項目を同一の仰臥位で測定するわけではありません。特に患者の意識レベルや協力度に応じて、可能な範囲で評価が行われます。正しくは:評価対象となる各筋群は、患者の状態や運動機能に応じて適切な体位で測定される。選びやすい理由:集中治療室の患者は安静臥床が多いため、仰臥位での測定が一般的であるという印象から、正しい選択肢だと誤解しやすいです。混同注意:一般的な筋力測定の原則と、ICU患者の特殊な状況下での測定制約。
- 2. ICU-AWは、集中治療室入室後に新たに発症する筋力低下を指します。そのため、入室前の既往歴や入室時の検査で神経筋疾患が確認されない患者において、入室後に筋力低下が明らかになった場合に診断されます。通常、入室後数日経過してからの評価が一般的です。正しくは:ICU入室後に新たに発症した筋力低下を判定する。選びやすい理由:病態の早期発見やベースライン評価の重要性から、入室時の評価が診断に直結すると誤解する可能性があります。混同注意:入室時の初期評価と、ICU-AWの診断が確定するタイミング。
- 3. 正解。MRC sum-scoreは、左右それぞれ肩関節外転、肘関節屈曲、手関節伸展、股関節屈曲、膝関節伸展、足関節背屈の6つの主要筋群(合計12項目)を徒手筋力テスト(MMT)で0~5点の6段階で評価します。満点は12項目×5点=60点であり、ICU-AWの診断基準として合計48点未満が用いられます。
- 4. 握力は全身の筋力を評価する指標の一つですが、MRC sum-scoreの評価項目には含まれていません。MRC sum-scoreは特定の6つの主要筋群の評価に特化しています。正しくは:MRC sum-scoreの診断基準に握力は含まれない。選びやすい理由:握力は簡便かつ一般的な筋力測定法であるため、ICU患者の筋力低下の指標として有効であると捉えられ、正解肢と誤解されやすいです。混同注意:MRC sum-scoreの特定の評価項目と、一般的な筋力評価としての握力測定。
- 5. 正解。MRC sum-scoreは合計12項目で評価され、満点は60点です。合計スコアが48点未満という診断基準は、1項目あたりの平均点に換算すると48点÷12項目=4点未満ということになります。したがって、「合計48点未満」と「平均4点未満」は同じ診断基準を意味します。
国試ポイント
この問題は、集中治療室獲得性筋力低下(ICU-AW)の診断に用いられるMRC sum-scoreの具体的な基準値(合計点と平均点)に関する知識を問うものです。ICU-AWの定義、評価方法、および診断時期について正確な理解が求められます。
混同注意
MRC sum-scoreの合計点(48点未満)と平均点(4点未満)は同じ診断基準ですが、異なる表現で問われることで混同しやすいです。また、ICU入室時の評価と入室後のICU-AW診断のタイミング、MRC sum-scoreの評価項目と一般的な筋力指標(握力など)が混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次回同様の論点が出題された場合、MRC sum-scoreの評価対象となる具体的な筋群名、ICU-AWの危険因子、予防策、または治療介入に関する知識が問われる可能性があります。また、MRC sum-score以外のICU-AW評価スケールや、機能予後との関連性についても確認が必要です。
関連知識
ICU-AWの病態生理(不動、全身性炎症、多臓器不全など)、ICUにおけるリハビリテーションの重要性、MMT(徒手筋力テスト)の正確な実施方法、ICU-AW以外の神経筋疾患との鑑別診断、電気生理学的検査(神経伝導検査、筋電図検査)によるICU-AWの評価。