8歳の男児。脳性麻痺による痙直型両麻痺。GMFCSレベルⅢであり、床上はバニーホッピングで移動している。学校内の移動は車椅子駆動で自立している。車椅子の設定で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
GMFCSレベルⅢの男児は、車椅子の自立駆動が可能であり、床上移動にはバニーホッピングを使用していることから、車椅子への乗り降りや移乗動作が日常的に行われると推測されます。スイングアウト式フットサポートは、フットサポートを側方へ開くことで、乗り降りや移乗時の足元スペースを確保し、安全かつスムーズな動作を可能にします。この機能は、自立した移乗動作を重視する利用者に特に有効な選択肢です。
選択肢ごとの解説
- 1. GMFCSレベルⅢの児童は通常、座位での頭部保持が可能であり、頭部の支持は不要です。重度の脳性麻痺で頭部コントロールが困難な場合に考慮されます。正しくは:GMFCSレベルⅢで頭部コントロールが自立している場合は、ヘッドサポートは不要です。選びやすい理由:脳性麻痺という診断名から、重度な運動制限があると思い込みやすい。しかし、GMFCSレベルと学校内での車椅子自立という情報から、頭部コントロールは保たれていると判断できます。混同注意:重度の脳性麻痺やGMFCSレベルⅣ、Ⅴの患者の車椅子設定と混同しやすい。
- 2. 座面高を高くすると、足漕ぎでの駆動が困難になり、重心が高くなるため転倒リスクが増大します。自分で車椅子を駆動している状況を考慮すると不適切です。正しくは:足漕ぎで駆動している場合は、地面に足がしっかりとつくように座面高を調整する必要があります。そのため、標準より低く設定することが多いです。選びやすい理由:車椅子利用者の身体状況によっては高さを調整することがあるため、一見正しいように見えるかもしれない。混同注意:介助者が押すタイプの車椅子や、足漕ぎ駆動ではない車椅子の設定と混同しやすい。
- 3. 肩までの高さの背もたれは体幹の動きを大きく制限し、本人が自立して車椅子を駆動する(足漕ぎなど)際に邪魔になります。GMFCSレベルⅢで自立駆動可能な場合、体幹の安定は保たれていることが多いため、肩甲骨下縁程度までの低背が望ましいです。正しくは:自立駆動を考慮すると、背もたれは肩甲骨下縁程度までの低背が適切です。選びやすい理由:体幹の支持を強化する必要があるケースでは高背が良いとされるため、その知識と混同しやすい。混同注意:体幹の支持が不十分な場合(GMFCSレベルⅣ、Ⅴなど)の高背サポートと混同しやすい。
- 4. リクライニング機能は、体位変換や休息が必要な場合、あるいは重度な身体変形がある場合に有効ですが、GMFCSレベルⅢで学校内を自立して駆動している児童には、通常は不必要です。むしろ重量増加や操作の複雑さにつながります。正しくは:学校内での自立駆動が中心であれば、リクライニング機能は通常不要です。選びやすい理由:リクライニング機能は身体状況に合わせて調整できるメリットがあるため、万能なオプションだと捉えやすい。混同注意:重度肢体不自由者や長時間同一体位となる患者、姿勢保持が困難な患者の車椅子設定と混同しやすい。
- 5. 正解。スイングアウト式フットサポートは、足元のスペースを確保できるため、車椅子への乗り降りや、ベッドなどへの移乗が容易になります。また、足漕ぎでの駆動時に邪魔にならないよう、フットサポートを一時的に避ける際にも有効です。GMFCSレベルⅢでバニーホッピングによる床上移動もしていることから、乗り降りや移乗のしやすさは重要です。正しくは:この選択肢は正しいです。
国試ポイント
脳性麻痺患者のGMFCSレベルに応じた車椅子の適切な設定に関する知識が問われています。特に、自立度が高い(GMFCSレベルⅢ程度)患者の場合、活動性や移乗のしやすさを考慮した選択肢が重要となる点を見極める必要があります。単に重度だから高機能なものを、という短絡的な判断ではなく、個別の活動レベルに合わせた設定が求められます。
混同注意
脳性麻痺の重症度(GMFCSレベル)と、それに対応する車椅子のサポートレベルが混同されやすい。GMFCSレベルが低いほど(つまり自立度が高いほど)、過度なサポートは活動の妨げになります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、GMFCSレベルの具体的な内容と、患者の日常生活活動(ADL)や移動方法に関する記述から、その患者がどのような車椅子機能(サポート、駆動性、移乗性など)を最も必要としているかを判断する力が問われるでしょう。
関連知識
GMFCS(Gross Motor Function Classification System)の各レベルの特徴、およびそれに応じた移動補助具の選択。車椅子の各部位(ヘッドサポート、背もたれ、座面高、フットサポートなど)が、利用者の身体状況や活動目的によってどのように調整されるべきかという基本知識。