関節リウマチ(Steinbrockerのステージ Ⅲ、クラス3)のADL指導で正しいのはどれか。
画像の選択肢を選ぶと答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
関節リウマチ患者のADL指導では、関節への負担を軽減し、変形を予防する工夫が重要である。選択肢4は、買い物袋を腕全体で抱えることで、手指や手首、肩関節への局所的な負担を避けているため、正しい指導といえる。これにより、関節の炎症や破壊の進行を抑制し、痛みを軽減できる。
選択肢ごとの解説
- 1. 椅子から立ち上がる際に指で椅子を押す動作は、指の関節に強い負担をかけるため、関節変形や疼痛増悪のリスクを高める。特にMCP関節などに負担がかかる。正しくは:手のひら全体で椅子を押し、手首や指の関節への負担を分散させる。または、肘掛けを利用して立ち上がる。選びやすい理由:立ち上がる際に自然と指先に力が入るため、関節保護の視点がないと選びやすい。混同注意:一般的な立ち上がり動作。健常者であれば問題ない動作が、関節リウマチ患者には不適切であるという点。
- 2. 栓抜きで瓶の蓋を開ける動作は、手指の関節に強い回旋力と握力を必要とし、尺側偏位などの変形がある場合には特に負担が大きい。この動作は、関節リウマチ患者の手指の変形を助長したり、痛みを悪化させる可能性がある。正しくは:電動のオープナーや、より少ない力で開けられる道具を使用するか、誰かに手伝ってもらう。選びやすい理由:一般的な生活動作であり、自助具の知識がないとこれが不適切だと判断しにくい。混同注意:自助具を用いた生活動作。自助具の利用によって負担を軽減できるという点を見落としやすい。
- 3. ハサミを使う動作、特にこのように深く指を入れて長時間使用する動作は、PIP関節やDIP関節、MCP関節に強い圧迫や剪断力を与え、変形や痛みを悪化させるリスクがある。特に、手指の腫脹や変形がある場合には困難である。正しくは:ループ状のハサミや、自動で開くハサミなど、握力の負担が少ない自助具を使用する。選びやすい理由:ハサミは日常生活で頻繁に使う道具であり、これが不適切だという認識が薄い可能性がある。混同注意:健常者のハサミの使用方法。リウマチ患者に特化した自助具の知識がないと誤りだと判断しにくい。
- 4. 正解。買い物袋を腕全体で抱える動作は、手指や手首といった小さな関節に局所的な負担を集中させるのではなく、腕全体や体幹で重さを分散させている。これは関節保護の原則に則った正しいADL指導である。選びやすい理由:買い物の際に袋を持つ一般的な方法の一つであり、関節保護の観点からも適切であるため、正しい選択肢として選びやすい。混同注意:一般的な荷物の持ち方と、関節に配慮した荷物の持ち方の区別。
- 5. 正座に近い姿勢で椅子に座る(片膝を立てて座る)動作は、膝関節や股関節に強い屈曲と圧迫の負担をかける。関節リウマチでは膝関節や股関節も障害されやすいため、このような姿勢は変形や疼痛を悪化させる可能性がある。正しくは:椅子には深く腰掛け、両足を床につけて膝関節と股関節を約90度にするなど、関節に負担がかからない姿勢を保つ。選びやすい理由:楽な姿勢と感じる人もいるため、関節への負担を考慮しないと誤って選択する可能性がある。混同注意:一般的な座位姿勢。関節に負担のかかる姿勢と、安楽な姿勢の区別。
国試ポイント
関節リウマチ患者に対する関節保護の原則に基づいたADL指導を理解しているか。
混同注意
日常生活動作の工夫と、関節に負担をかける動作との混同。特に、手や指の機能に配慮した動作指導と、一般的に行われる動作との違い。
次に同じ論点が出たら
関節リウマチ患者のイラスト問題が出た場合、関節に過度な負担(特に手指や手関節、肩関節)がかかっていないか、特定の関節にストレスが集中していないか、より広い範囲で負荷を分散しているかという視点で判断する。
関連知識
関節リウマチの関節保護の原則(痛みのない範囲での動作、関節を固定する、軽い関節を先に使う、負担の大きい関節を避けるなど)。また、Steinbrockerのステージ分類やADLクラス分類。