62歳の女性。約半年前から歩行中にふらつき、しゃべりにくいことに気付いていたが、最近これらの症状が悪化してきた。その他、四肢協調運動障害、頭部CTで小脳および脳幹萎縮を指摘されている。この症例の評価指標として適切でないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
FMA(Fugl-Meyer Assessment)は、脳卒中後の片麻痺患者の運動機能、感覚、関節可動域、バランスなどを評価するスケールであり、小脳性運動失調の評価には特異的ではありません。小脳病変による協調運動障害は脳卒中後の運動麻痺とは病態が異なるため、FMAは不適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. FBS(Functional Balance Scale)は、バランス能力を評価するための指標であり、小脳性運動失調による歩行時のふらつきを客観的に評価する上で適切です。選びやすい理由:バランス能力の評価は小脳性運動失調の重要な側面であるため、適切だと判断しやすい。混同注意:他の運動失調評価スケールとの区別。
- 2. 踵膝試験は、下肢の協調運動機能を評価する神経学的検査であり、小脳性運動失調による四肢の協調運動障害の有無や程度を確認するために適切です。選びやすい理由:具体的な検査手技として、小脳機能を評価する代表的な項目であるため、適切だと判断しやすい。混同注意:筋力検査や感覚検査。
- 3. 鼻指鼻試験は、上肢の協調運動機能を評価する神経学的検査であり、小脳性運動失調による四肢の協調運動障害の有無や程度を確認するために適切です。選びやすい理由:具体的な検査手技として、小脳機能を評価する代表的な項目であるため、適切だと判断しやすい。混同注意:筋力検査や感覚検査。
- 4. 正解。FMA(Fugl-Meyer Assessment)は、主に脳卒中後の片麻痺患者の運動機能回復度を評価する指標であり、小脳性運動失調の評価には特異的ではないため、本症例の評価指標として適切ではありません。正しくは:FMAは脳卒中後の運動麻痺の評価に用いる。選びやすい理由:「運動機能の評価」という広範な意味では一見適切に思えるため、脳卒中以外の神経疾患にも適用できると誤解しやすい。混同注意:脳卒中後の運動麻痺評価スケールと小脳性運動失調評価スケール。
- 5. SARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)は、小脳性運動失調の重症度を客観的に評価するために開発された国際的な評価スケールであり、本症例の評価指標として非常に適切です。選びやすい理由:Ataxiaという名称から直接的に小脳性運動失調に関連すると分かりやすいため、適切だと判断しやすい。混同注意:他の全身的な機能評価スケール。
国試ポイント
小脳性運動失調の評価スケールと、脳卒中後の運動麻痺評価スケールの区別を覚える。特に各スケールの目的と適応疾患を理解することが重要です。
混同注意
脳卒中後の運動麻痺と小脳性運動失調による症状の混同。脳卒中では主に錐体路障害による麻痺が、小脳病変では協調運動障害が中心である。
次に同じ論点が出たら
症例の症状(ふらつき、発語困難、四肢協調運動障害)と頭部CT所見(小脳と脳幹の萎縮)から、小脳性運動失調の評価項目が問われていると判断し、脳卒中後の運動麻痺評価スケールを除外して判断します。
関連知識
小脳失調の主な症状(運動失調、企図振戦、構音障害、眼振など)とその評価方法。また、他の疾患(パーキンソン病、多発性硬化症など)における評価スケールについても関連付けて学習すると良い。