急性炎症と比較した場合の慢性炎症の特徴はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
慢性炎症では、炎症が長期にわたるため、炎症部位における組織の破壊と修復が同時に進行します。この修復過程において、血管新生(新たな血管の形成)が起こる一方で、長期的な炎症による線維化や瘢痕形成に伴い、既存の毛細血管が閉塞したり、組織の再構築によって血管が減少し、血流が低下する傾向があります。特に、線維組織の成熟とともに毛細血管はむしろ減少することが一般的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性炎症の cardinal sign の一つであり、血管拡張と血管透過性亢進による血漿成分の漏出によって生じやすい。慢性炎症では線維化が主となり、必ずしも局所的な腫脹が前面に出るとは限らない。正しくは:急性炎症では局所的な腫脹が生じやすい。選びやすい理由:炎症といえば腫れをイメージするため。混同注意:急性炎症の局所症状(腫脹、発赤、熱感、疼痛、機能障害)。
- 2. 好中球は主に急性炎症の初期に多数集まる細胞である。慢性炎症ではマクロファージ、リンパ球、形質細胞などの単核球系細胞が主たる細胞浸潤を形成する。正しくは:好中球などの白血球が多数集まるのは急性炎症の一般的な特徴である。慢性炎症ではマクロファージやリンパ球などが集まる。選びやすい理由:炎症といえば白血球が集まることを連想するため。混同注意:急性炎症における炎症細胞(好中球)と慢性炎症における炎症細胞(単核球系細胞)。
- 3. フィブリンの組織内沈着は主に急性炎症、特に血管透過性が著しく亢進する滲出性炎症や線維素性炎症において顕著に見られる現象である。慢性炎症では線維化が主となるが、フィブリン沈着は急性期ほどではない。正しくは:フィブリンが組織内に沈着するのは主に急性炎症の特徴である。選びやすい理由:炎症による組織の変化としてフィブリンが関与することを知識として持っているため。混同注意:急性炎症におけるフィブリン沈着と、慢性炎症における線維化の病態。
- 4. 正解。慢性炎症では、線維化や瘢痕形成に伴い、組織が再構築される過程で、既存の血管が閉塞したり、新生血管の形成と消失のバランスにより、全体として毛細血管が減少する傾向がある。線維組織が成熟すると血管は乏しくなる。選びやすい理由:血管新生が起こるという知識があるため、増加すると誤解しやすい。混同注意:慢性炎症における血管新生の有無と、最終的な血管密度の変化。血管新生は修復過程で見られるが、線維化の進行とともに血管密度は減少傾向にある。
- 5. 血管の透過性亢進は、主に急性炎症における特徴であり、ヒスタミンやブラジキニンなどの炎症性メディエーターによって血管内皮細胞間の結合が緩み、血漿成分が血管外へ漏出することで生じる。慢性炎症では、このような急性期の著しい透過性亢進は通常見られない。正しくは:血管の透過性が亢進しているのは急性炎症の特徴である。選びやすい理由:炎症の初期反応として血管透過性亢進は非常に重要であり、慢性炎症でも何らかの血管反応があると考えやすい。混同注意:急性炎症における血管透過性亢進と、慢性炎症における血管透過性の維持。
国試ポイント
急性炎症と慢性炎症の病態生理学的特徴(細胞浸潤、血管反応、組織変化)を比較して理解する。
混同注意
急性炎症と慢性炎症における血管動態の違い。急性炎症では血管透過性亢進や血管拡張による血流増加が顕著だが、慢性炎症では組織再構築に伴う血管構造の変化が主となる。
次に同じ論点が出たら
炎症の期間、主となる炎症細胞、血管反応、組織修復の有無と種類に注目して判断する。
関連知識
慢性炎症に関与する細胞(マクロファージ、リンパ球、形質細胞)の役割、肉芽腫性炎症の概念、線維化の機序。