痙縮が出現し得るのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
痙縮は、錐体路(上位運動ニューロン)の障害によって引き起こされる筋緊張亢進です。選択肢の中で中枢神経系の脱髄性疾患であり、錐体路障害をきたす可能性があるのは多発性硬化症です。他の選択肢は、筋疾患または末梢神経疾患であり、痙縮の原因とはなりません。
選択肢ごとの解説
- 1. 筋強直性ジストロフィーは、筋肉自体の変性によって筋力低下や筋強直(弛緩障害)を特徴とする遺伝性疾患であり、上位運動ニューロンの障害による痙縮とは異なります。正しくは:筋強直性ジストロフィーでは、痙縮ではなく筋強直(ミオトニア)や筋力低下、萎縮などがみられます。選びやすい理由:「筋強直」という言葉から、痙縮と混同しやすい可能性があります。混同注意:痙縮(上位運動ニューロン障害)と筋強直(筋疾患による弛緩障害)
- 2. Guillain-Barré症候群は、末梢神経の脱髄性疾患であり、弛緩性麻痺や感覚障害を特徴とします。上位運動ニューロンの障害ではないため、痙縮は出現しません。正しくは:Guillain-Barré症候群では、弛緩性麻痺や感覚障害がみられます。選びやすい理由:急性発症の神経疾患であるため、神経症状全般と誤解されるかもしれません。混同注意:上位運動ニューロン障害による痙縮と、下位運動ニューロン障害による弛緩性麻痺
- 3. 多発性筋炎は、自己免疫性の炎症によって筋肉自体が障害される疾患(炎症性筋疾患)であり、上位運動ニューロンの障害による痙縮は起こりません。筋力低下が主な症状です。正しくは:多発性筋炎では、痙縮ではなく筋力低下や筋痛が主な症状です。選びやすい理由:筋肉に関連する疾患であるため、運動機能障害と関連付けてしまいやすいかもしれません。混同注意:筋疾患(筋肉自体の障害)と神経疾患(神経系の障害)
- 4. 正解。多発性硬化症は、中枢神経系(脳、脊髄、視神経)の脱髄性疾患であり、上位運動ニューロンが障害されることで痙縮が出現することがあります。他に感覚障害、視力障害、運動失調なども特徴です。
- 5. 腕神経叢麻痺は、末梢神経である腕神経叢の損傷により、支配筋の弛緩性麻痺や感覚障害を呈します。中枢神経系の障害ではないため、痙縮は出現しません。正しくは:腕神経叢麻痺では、弛緩性麻痺や感覚障害がみられます。選びやすい理由:麻痺という言葉から、中枢性の麻痺と混同してしまう可能性があります。混同注意:上位運動ニューロン障害による痙縮と、下位運動ニューロン障害による弛緩性麻痺
国試ポイント
痙縮の病態生理(上位運動ニューロン障害との関連)を理解し、その原因となる疾患群を正確に識別できるかを問う問題です。中枢神経系疾患と末梢神経疾患、筋疾患の鑑別が重要となります。
混同注意
筋強直と痙縮、末梢性麻痺と中枢性麻痺。特に「筋強直性ジストロフィー」の「筋強直」という言葉は、痙縮と誤解されやすい語です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、まず上位運動ニューロンの障害によって生じる症状が何であるかを思い出し、その症状を引き起こす疾患群を想起できるかを確認する。特に、症状名に類似した言葉を含む異なる病態の疾患(例: 筋強直と痙縮)に注意を払う。
関連知識
錐体路障害の症状(バビンスキー反射、クローヌス、深部腱反射亢進など)。各疾患の病態、主要症状、障害部位。筋強直性ジストロフィーにおけるミオトニアのメカニズム。Guillain-Barré症候群や腕神経叢麻痺における弛緩性麻痺のメカニズム。