高齢者の転倒リスクに関連性が低いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
高齢者の転倒リスク要因には、身体的要因(筋力低下、バランス能力低下、視覚・聴覚障害、神経学的疾患など)、薬学的要因(多剤併用、向精神薬など)、環境要因(段差、滑りやすい床など)、行動的要因(不活動、リスク行動など)など多岐にわたります。一般的に、女性は男性に比べて転倒しやすい傾向があるため、「男性であること」自体は他の選択肢に比べて転倒リスクとの関連性が低いと判断されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。一般的に、高齢者の転倒リスクは女性の方が高いとされています。これは骨粗鬆症による骨折リスクの高さ、筋力の相対的な低さ、屋外活動の頻度などが影響していると考えられます。男性であること自体は、女性と比較して転倒リスクが低い傾向にあります。正しくは:女性であること、が転倒リスクと関連性が高い。選びやすい理由:男性も転倒するイメージがあるため、リスク要因と感じてしまう可能性があります。特に、転倒による重症化(大腿骨頸部骨折など)のリスクは男女共に高く、男性だから安全とは言い切れないため。混同注意:性差による転倒発生率と、転倒時の重症化率との混同。
- 2. 視力障害や視野狭窄などの視機能の低下は、周囲の状況を正確に把握する能力を低下させ、段差や障害物を見落としやすくなるため、転倒リスクを高める主要な要因の一つです。正しくは:視機能の低下は転倒リスクと関連性が高い。選びやすい理由:誰もが経験する可能性のある老化現象であるため、特にリスク因子であることに疑念を抱きにくい。混同注意:加齢による自然な変化と、リスク因子としての変化の程度の混同。
- 3. 下肢筋力の低下は、バランス能力の低下や歩行の不安定性につながり、わずかな段差やつまずきでも姿勢を立て直すことが難しくなるため、転倒リスクを大幅に高めます。正しくは:下肢の筋力低下は転倒リスクと関連性が高い。選びやすい理由:身体活動性の低下と直接的に結びつくため、リスク因子であると判断しやすい。混同注意:全身性の筋力低下と、特に下肢の筋力低下が転倒に与える影響の度合いの混同。
- 4. 認知機能の低下(特に注意機能や実行機能の障害)は、危険予測能力の低下、注意散漫、環境への適応困難などを引き起こし、転倒リスクを顕著に増加させます。正しくは:認知機能の低下は転倒リスクと関連性が高い。選びやすい理由:身体的な要因だけでなく、精神・神経系の要因も転倒リスクに影響すると理解している場合、この選択肢がリスク因子であると判断しやすい。混同注意:軽度な物忘れと、転倒リスクを高めるような認知機能障害のレベルの混同。
- 5. 過去に複数回転倒していることは、今後の転倒の強い危険因子です。
国試ポイント
高齢者の転倒リスク因子に関する基本的な知識が問われています。身体的側面だけでなく、性別による一般的な傾向についても理解している必要があります。特に、様々なリスク因子の中から『関連性が低いもの』を選ぶ形式のため、個々の因子の影響度合いを相対的に比較する判断力が求められます。
混同注意
高齢者の転倒リスクは複合的であるため、一見してリスク因子に見えるものが、実は他の因子と比較して影響度が低い、または逆の傾向がある場合と混同しやすい。特に「性別」のような普遍的な要素については、一般的な疫学的知見を正確に覚えておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、高齢者の転倒リスク因子を具体的に分類し(内的要因/外的要因、可逆的/不可逆的など)、それぞれの因子が転倒に与える影響度合いを相対的に比較できるかを確認する必要があります。特に、疫学的なデータに基づいた性差や年齢の影響についても注意を払うようにします。
関連知識
女性の転倒リスクが高い理由として、骨粗鬆症による骨折リスクの増加、閉経によるホルモンバランスの変化、低身長・低体重傾向、屋外での活動性などによるものが挙げられます。また、男性は転倒した場合に重症化しやすい傾向がありますが、転倒発生率自体は女性の方が高いとされています。