75歳の女性。Parkinson病。Hoehn & Yahrの重症度分類ステージⅣ。歩行時に小刻み歩行、突進現象、すくみ足が出現する。歩行練習として適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
パーキンソン病患者、特にHoehn&YahrステージⅣで小刻み歩行、突進現象、すくみ足が見られる場合、転倒のリスクが非常に高いです。そのため、歩行練習を行う際には、まず安全な環境を確保することが最も重要となります。広い場所であれば、方向転換の際のつまずきや転倒の危険性を減らし、姿勢制御に集中しやすくなります。狭い場所や障害物のある場所、あるいはバランスを強く要求される状況は避けるべきです。また、他の選択肢は患者の現在の状態では転倒リスクを高めるか、適切でない方法を示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. パーキンソン病患者、特に突進現象や小刻み歩行がある場合、速く歩くことは転倒のリスクを高め、症状を悪化させる可能性があります。正しくは:ゆっくりとした、安定したペースで歩くことを促すべきです。選びやすい理由:一見すると運動負荷を高めることで改善に繋がるように思えるかもしれませんが、パーキンソン病の特性上、過度な速度は危険です。混同注意:健常者への一般的な運動指導と混同しやすいです。
- 2. 正解。パーキンソン病患者は方向転換や狭い場所での歩行が苦手であり、転倒リスクが高まります。広い場所で練習することで、安全性を確保し、比較的自由に動きやすくなります。特にHoehn&YahrステージⅣではバランス能力が低下しているため、安全な環境設定が重要です。
- 3. 一本線上を歩くことは、バランス能力や協調性を高度に要求するため、Hoehn&YahrステージⅣのパーキンソン病患者にとっては非常に難しく、転倒のリスクを増大させます。すくみ足や小刻み歩行がある状況では特に危険です。正しくは:広々とした空間で、まずは足元を気にせず、リズムに合わせて歩く練習から始めるべきです。選びやすい理由:バランス能力の向上を目的とした練習のように思えるかもしれませんが、現在の患者の状態には適していません。混同注意:バランス訓練の初期段階や、より軽度な患者への訓練と混同しやすいです。
- 4. パーキンソン病患者の突進現象や姿勢保持の困難を考慮すると、目標地点の直前を下向きに注視することは、さらに重心が前方に移動し、前傾姿勢を強め、転倒リスクを高める可能性があります。前方遠くの目標物を見る方が姿勢の安定に繋がりやすいです。正しくは:進行方向のやや遠い場所や、目線を上げて前方を広く見て歩くように促すべきです。選びやすい理由:足元に注意を払うことで安全性が高まるように思えるかもしれませんが、パーキンソン病の特性上、姿勢制御には逆効果です。混同注意:健常者が不慣れな場所を歩く際に足元を注意する行動と混同しやすいです。
- 5. お盆にコップを載せて運ぶ動作は、両手が塞がるため、転倒時の防御反応が取れません。また、視線が手元に集中しやすく、姿勢保持の難易度が非常に高まります。Hoehn&YahrステージⅣの患者には転倒リスクが非常に高く、適切ではありません。正しくは:まずは安定した環境で、両手が自由に使える状態で歩行練習を行うべきです。選びやすい理由:日常生活動作の練習として有用に見えるかもしれませんが、患者の現在の身体状況にはリスクが高すぎます。混同注意:二重課題訓練の一般的な例と混同しやすいですが、患者の現在の能力レベルに見合っていません。
国試ポイント
パーキンソン病の病態と症状理解に基づいて、患者の重症度に応じた適切な理学療法介入を選択できるか。特に、転倒予防と安全管理の観点が重要です。問題文から患者の具体的な症状(小刻み歩行、突進現象、すくみ足)と重症度(Hoehn&YahrステージⅣ)を正確に読み取り、それに合わせた選択肢を選べるかが問われます。
混同注意
パーキンソン病の比較的軽度な患者に対する訓練内容や、バランス能力を向上させるための高度な訓練内容と混同しやすい。患者の現在の重症度レベルを正確に判断し、安全性を最優先する視点が求められる。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、患者の疾患(パーキンソン病以外の疾患も含む)、重症度、具体的な症状から、その患者にとって「最も安全で効果的な介入」は何かを判断する。特に転倒リスクの高い患者については、安全管理を最優先とした選択肢が正答になる傾向がある。
関連知識
Hoehn&Yahr重症度分類(各ステージの症状と身体機能の目安)。パーキンソン病の歩行障害(小刻み歩行、突進現象、すくみ足)の特徴と機序。転倒予防のための環境設定や運動指導の原則。視覚フィードバック、聴覚キュー(メトロノームなど)の利用。