若年者と比較した高齢者の歩行で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
高齢者の歩行では、体幹の回旋が減少するため、これに伴い腕の振りも小さくなります。これはバランス能力の低下や、歩行の安定性を保とうとする代償動作の一環として見られます。他の選択肢は、高齢者の歩行特性としては逆の記述であるか、不正確です。
選択肢ごとの解説
- 1. 高齢者の歩行では、バランスの安定性を保つために歩隔(足と足の間隔)が広くなる傾向があります。正しくは:歩隔は広くなる。選びやすい理由:一見、全体的に活動量が減るから歩幅も狭くなる、と連想しやすいかもしれない。混同注意:歩幅が狭くなることと混同しやすい。
- 2. 高齢者の歩行では、筋力低下やバランス能力の低下により、歩幅(一歩の長さ)は小さくなる傾向があります。正しくは:歩幅は小さくなる。選びやすい理由:若年者と比較して、歩幅を大きく保つことで速く歩けるというイメージから誤解しやすい。混同注意:歩隔の広さと混同しやすい。
- 3. 正解。高齢者の歩行では、体幹の回旋運動が減少するため、それに伴って腕の振りも小さくなる傾向があります。これは、バランス維持やエネルギー効率の低下が関係しています。正しくは:正しいため修正不要。
- 4. 高齢者の歩行では、バランスの不安定性を補うために、両脚で地面を支持する期間(両脚支持期)が長くなる傾向があります。正しくは:両脚支持期は長くなる。選びやすい理由:一見、動作が緩慢になるから両脚支持期も短くなる、と誤解しやすいかもしれない。混同注意:単脚支持期と混同しやすい。
- 5. 高齢者の歩行では、下肢挙上能力の低下や関節可動域の制限により、遊脚相(足を振り出す相)において足尖が床面に近いままになり、距離は小さくなる傾向があります。これによりつまづきやすくなります。正しくは:遊脚相における足尖と床面との距離は小さくなる。選びやすい理由:つまづきやすいという知識から、足が上がらない=距離が小さい、と正しく考えられるかどうかがポイント。混同注意:足関節背屈筋力の低下による足尖の下垂と混同しやすい。
国試ポイント
若年者と比較した高齢者の歩行特性について、各歩行周期のフェーズや運動学的特徴を正確に理解しているかを問う問題です。特に、バランス機能の低下とそれに対する代償動作に着目した知識が重要になります。
混同注意
各歩行パラメータの変化(歩幅、歩隔、両脚支持期など)は、若年者と高齢者で逆の傾向を示すことが多いため、混同しやすいポイントです。また、歩行速度や筋力低下が各パラメータにどう影響するかを理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、歩行速度、ケイデンス(律動)、重心動揺、転倒リスクとの関連性、特定の疾患(例:パーキンソン病、変形性膝関節症)における歩行の特徴など、より応用的な側面から問われる可能性があります。
関連知識
高齢者の歩行は、加齢による筋力低下(特に下肢伸筋群、足関節背屈筋群)、関節可動域制限、バランス能力の低下(前庭機能、視覚機能、体性感覚機能の低下)、重心動揺の増加などが複合的に影響して変化します。これらは転倒リスクの増加に直結するため、理学療法士として重要な知識です。歩行周期の各相(立脚相、遊脚相、両脚支持期、単脚支持期)における運動学的・運動力学的変化を詳細に学ぶことが望ましいです。