慢性非特異的腰痛の理学療法介入方法について、理学療法診療ガイドラインで強く推奨されているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
慢性非特異的腰痛の理学療法において、認知行動療法は国際的な診療ガイドラインで一貫して強く推奨されている介入方法の一つです。これは、単なる身体的な痛みだけでなく、心理社会的要因が慢性化に大きく影響することを認識し、それらに対処することで患者の疼痛管理能力を高め、活動性を向上させることを目的とします。
選択肢ごとの解説
- 1. 慢性非特異的腰痛に対する超音波治療は、理学療法診療ガイドラインにおいて有効性を示す十分な根拠がないため、強く推奨されていません。正しくは:超音波治療は、筋スパズムの緩和や組織の治癒促進を目的として用いられることがありますが、慢性非特異的腰痛に対するエビデンスは不十分です。選びやすい理由:物理療法として広く知られているため、効果があると思われがちです。混同注意:急性腰痛や特定の病態での効果と混同しやすいです。
- 2. 慢性非特異的腰痛に対するTENSは、理学療法診療ガイドラインにおいて推奨度が低い、または推奨されていないことが多いです。疼痛緩和の効果は限定的か、エビデンスが不十分とされています。正しくは:TENSは急性疼痛や神経原性疼痛に対して用いられることがありますが、慢性非特異的腰痛に対する長期的な有効性は確立されていません。選びやすい理由:一時的な疼痛緩和に効果があると感じる患者もいるため、有効な治療法と誤解されやすいです。混同注意:他の種類の痛みに対する電気刺激療法と混同しやすいです。
- 3. 慢性非特異的腰痛に対する腰椎牽引療法は、理学療法診療ガイドラインにおいて有効性が認められておらず、むしろ推奨されていないことが多いです。正しくは:腰椎牽引療法は、椎間板ヘルニアなど特定の病態に対して試みられることがありますが、慢性非特異的腰痛全般への効果は否定されています。選びやすい理由:古くから行われている治療法であり、脊柱の減圧効果を期待して効果があると考えられがちです。混同注意:神経根症状を伴う腰痛など、特定の疾患に対する治療法と混同しやすいです。
- 4. 慢性非特異的腰痛に対する寒冷療法は、理学療法診療ガイドラインにおいて強く推奨されていません。主に急性期の炎症や疼痛の緩和に用いられることが多いです。正しくは:寒冷療法は、急性期の炎症や浮腫、筋スパズムの軽減に有効とされることがありますが、慢性期の非特異的腰痛に対する長期的な効果は期待できません。選びやすい理由:痛みを伴う場合に手軽に行える方法であるため、効果があると感じられやすいです。混同注意:急性期の痛みや炎症に対する初期対応と混同しやすいです。
- 5. 正解。理学療法診療ガイドラインでは、慢性非特異的腰痛に対して、疼痛に対する誤った認識や行動パターンを修正する認知行動療法が、その有効性を示す多くのエビデンスに基づいて強く推奨されています。これは疼痛の管理と機能改善に寄与します。
国試ポイント
この問題は、慢性非特異的腰痛に対するエビデンスに基づいた理学療法介入の知識を問うものです。特に、ガイドラインで「強く推奨」されている治療法を正確に理解しているかが試されます。近年、慢性疼痛管理における心理社会的アプローチの重要性が増しているため、認知行動療法のような介入が注目されています。
混同注意
他の物理療法や伝統的な治療法が、慢性疼痛のどの段階やどの病態に対して推奨されているのか、あるいは全く推奨されていないのかを混同しやすいです。特に、急性期の対応と慢性期の対応を区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、慢性非特異的腰痛に対する「推奨度が低い」「推奨されない」治療法や、「強く推奨される」運動療法や教育内容についても確認しましょう。また、どのガイドライン(例:日本整形外科学会、日本腰痛学会、国際的なガイドラインなど)に基づいているかにも注意してください。
関連知識
慢性疼痛の機序(痛みの悪循環、中枢性感作)、心理社会的アプローチ(恐怖回避行動、破局的思考)、ガイドラインにおける推奨グレードの理解、運動療法(特に活動性の維持・向上)、教育・指導の重要性。