呼吸器の解剖について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
右主気管支は、左主気管支に比べて短く、太く、かつ垂直に近い走行をしています。この解剖学的特徴は、異物の誤嚥時に右肺に侵入しやすい理由として重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 細気管支(気管支の最終分岐で直径1mm以下)には軟骨がなく、平滑筋の収縮・弛緩によって気道の抵抗が調節されます。軟骨は気管や主気管支といった太い気道にのみ存在し、気道の構造を保つ役割があります。正しくは:細気管支には軟骨がありません。選びやすい理由:気管支という名称から、太い気管支の構造と混同しやすいかもしれません。混同注意:気管や主気管支の構造と混同しやすい。
- 2. 胸膜腔は胸膜の間に存在するわずかな空間であり、常に陰圧に保たれています。吸気時に胸郭が拡大するとともに肺も拡大しますが、胸膜腔自体が容積を大きく増大させるわけではありません。胸膜腔内の陰圧が保たれることで、肺は胸壁に追従して膨らみます。正しくは:胸膜腔の容積は、呼吸運動によって大きく変化するわけではありません。むしろ、常にわずかな陰圧が保たれており、肺の拡張を助けています。選びやすい理由:吸気時に肺が膨らむことから、その周囲の空間も大きく拡大すると誤解しやすい。混同注意:肺の容積変化と胸膜腔の容積変化を混同しやすい。
- 3. 肺動脈は全身から心臓に戻ってきた酸素濃度の低い血液を肺へ運び、ガス交換を行う血管です。肺組織そのものに酸素や栄養を供給する血管は気管支動脈(大動脈の枝)です。正しくは:肺の栄養血管は気管支動脈です。選びやすい理由:肺動脈が肺に関連する主要な血管であるため、栄養供給も行っていると誤解しやすい。混同注意:肺動脈(ガス交換用)と気管支動脈(栄養血管)の役割を混同しやすい。
- 4. 肺尖は鎖骨よりも約2~3cm上方に位置しており、胸郭の開口部から頸部にわずかにはみ出しています。これは「肺尖部胸郭上口症候群」などで臨床的に重要となります。正しくは:肺尖は鎖骨よりも上方に位置します。選びやすい理由:鎖骨は胸郭の上縁にあるため、その延長線上に肺尖があると考えやすい。混同注意:肺と胸郭、鎖骨の相対的な位置関係を誤解しやすい。
- 5. 正解。右主気管支は左主気管支よりも短く、太く、垂直に近い走行をしています。そのため、誤嚥した異物が右肺に入りやすい傾向があります。
国試ポイント
呼吸器の解剖学に関する基本的な知識、特に臨床的な意義を持つ構造的特徴が問われています。各部位の名称だけでなく、その役割や、他の構造との位置関係についても理解が求められます。
混同注意
肺動脈と気管支動脈の役割、気管支と細気管支の構造、肺の各部位と周囲の骨格との位置関係などが混同されやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、気管支の分岐角度と異物誤嚥の関係性、あるいは肺の各葉と区域の解剖、胸膜と胸水に関する知識が問われる可能性があります。また、呼吸生理と関連付けて、各構造の機能的意義も問われるでしょう。
関連知識
気管分岐部の角度、左右の肺葉数、胸膜の構造と機能、ガス交換に関わる組織構造(肺胞、毛細血管など)、呼吸筋の解剖。