21歳の女性。バレーボールで着地時に足関節痛を訴えた。検査法を図に示す。この検査で調べる靱帯損傷として正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
図に示されているのは足関節前方引き出しテストで、検者が脛骨を固定し、踵骨を把持して前方に引き出すことで、足関節が前方に動揺するかを確認する検査です。これは前距腓靱帯の損傷を評価するもので、21歳の女性がバレーボールで着地時に足関節痛を訴えたという機序は、足関節の内がえし捻挫による前距腓靱帯損傷に合致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 三角靱帯は足関節の内側にある靱帯で、外がえし捻挫で損傷します。今回の症例はバレーボールの着地時であり、一般的な足関節捻挫の機序(内がえし)から外側靱帯の損傷が考えられ、また前方引き出しテストは三角靱帯の損傷を調べる検査ではありません。正しくは:三角靱帯損傷を調べる場合は、外がえしストレス検査を行います。選びやすい理由:足関節の靱帯損傷という点で選択肢として挙げられやすいですが、損傷機序と検査法が異なります。混同注意:内がえし捻挫と外がえし捻挫における損傷靱帯の違い。
- 2. 踵腓靱帯も足関節の外側靱帯の一つで、内がえし捻挫で損傷しますが、前方引き出しテストで主に評価されるのは前距腓靱帯です。踵腓靱帯の損傷は、前方引き出しテストよりも内がえしストレス(Talar tilt test)で評価されることが多いです。正しくは:踵腓靱帯の損傷を調べる場合は、内がえしストレス検査(Talar tilt test)を行います。選びやすい理由:前距腓靱帯損傷とともに足関節内がえし捻挫で損傷しやすい靱帯であるため、選択肢として魅力的です。混同注意:足関節外側靱帯損傷の中でも、前方引き出しテストが評価する主要な靱帯が前距腓靱帯であること。
- 3. 正解。図に示された前方引き出しテストは、距骨が脛骨に対して前方にどれだけ動揺するかを評価する検査であり、これは前距腓靱帯の損傷を検出する目的で行われます。患者はバレーボールでの着地時に足関節痛を訴えており、これは内がえし捻挫による前距腓靱帯損傷の典型的な受傷機転と合致します。選びやすい理由:問題文の受傷機転と検査法が一致しているため、正しい選択肢です。
- 4. 前脛腓靱帯は、脛骨と腓骨を連結する靱帯で、足関節の安定性に寄与します。この靱帯は通常、足関節の背屈・外旋ストレスによって損傷する(高位足関節捻挫)ことが多く、前方引き出しテストで評価される主要な靱帯ではありません。正しくは:前脛腓靱帯損傷を調べる場合は、Squeeze testや外旋ストレス検査を行います。選びやすい理由:足関節の靱帯損傷全般に関する知識を問う問題と誤解して、足関節周囲の靱帯損傷の一つとして選んでしまう可能性があります。混同注意:一般的な内がえし捻挫と、高位足関節捻挫(Syndesmotic sprain)の違い。
- 5. 二分靱帯は、踵骨から立方骨と舟状骨に分かれて付着する靱帯で、足関節ではなく足根部の安定性に関与します。この靱帯の損傷は、前方引き出しテストで評価するものではありません。正しくは:二分靱帯損傷の評価には、他の足部検査が必要です。選びやすい理由:足部の靱帯損傷の一つとして知識として知っていると、足関節捻挫と混同して選択してしまう可能性があります。混同注意:足関節を構成する靱帯と、足根部を構成する靱帯の違い。
国試ポイント
足関節捻挫における主要な損傷靱帯と、その損傷を評価する徒手検査法(前方引き出しテスト、内がえしストレスなど)を理解しているかが問われます。
混同注意
足関節の内がえし捻挫では、前距腓靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯の順で損傷頻度が高いことを理解しておく必要があります。前方引き出しテストは特に前距腓靱帯の損傷を評価するのに特化した検査です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、足関節の徒手検査法が示された際には、どの方向に負荷をかけているのか、そしてそれによってどの靱帯がストレッチされるのかを正確に判断して、損傷が疑われる靱帯を特定します。特に内がえし捻挫の受傷機転と前方引き出しテストの関連性を確認します。
関連知識
足関節捻挫の約80%は内がえしによるもので、外側靱帯損傷がほとんどです。外側靱帯は前距腓靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯から構成されます。前方引き出しテストは前距腓靱帯損傷の特異度・感度が高いとされています。また、内がえしストレス(Talar tilt test)は踵腓靱帯の損傷も評価できます。