75歳の男性。身長170 cm、体重48 kg、BMI 16.6。約10年前から呼吸困難が出現し自宅近くの医院で加療していた。徐々に呼吸困難感が増悪してきており、50 m程度の連続歩行で呼吸困難感のため休息が必要である。動脈血ガス分析PaO₂ 65 Torr、PaCO₂ 48 Torr、肺機能検査%VC 81 %、FEV₁% 31 %であった。患者の胸部エックス線写真(別冊No. 2)を別に示す。 予測されるフローボリューム曲線として最も適切なのはどれか。


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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
フローボリューム曲線は、呼吸機能検査の一つであり、強制呼出・吸入時の流量(フロー)と容量(ボリューム)の関係を示します。特別な条件や病態が示されていない場合、予測されるフローボリューム曲線は健康な個人の標準的な曲線形状であるべきです。選択肢⑤は、呼気相でピークフローから徐々に流量が減少し、吸気相で下向きの半円を描く、健康な成人の典型的なフローボリューム曲線を示しています。他の選択肢は、閉塞性換気障害(①、②)、拘束性換気障害(④)、あるいは非典型的なパターン(③)を示唆しており、問題文の文脈において最も適切ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. この選択肢の図は、上気道閉塞を示唆する平坦化が吸気・呼気の両方で見られる曲線と類似していますが、問題文に特定の病態が示されていないため、最も適切な予測曲線とは言えません。正しくは:提示された情報からは、特定の病態を示唆するものではなく、一般的な呼吸機能を示す曲線が適切です。選びやすい理由:もし閉塞性障害の具体的な情報があれば、この曲線も検討の対象となりえます。混同注意:吸気・呼気フローがともに減少しているように見えるため、上気道閉塞と混同しやすいかもしれません。
- 2. この選択肢の図は、呼気相に閉塞パターンを示唆するくぼみが見られますが、典型的な閉塞性換気障害のフローボリューム曲線とはやや異なります。また、問題文には特定の病態が示されていないため、一般的な予測曲線としては不適切です。正しくは:予測される曲線は、健康な状態または与えられた条件に基づいているべきです。選びやすい理由:軽度の閉塞性障害の曲線と捉えられる可能性もありますが、最も適切な曲線としては一般的な形を考慮すべきです。混同注意:呼気フローの低下は閉塞性障害の特徴ですが、この曲線の形状は典型的ではありません。
- 3. この選択肢の図は、フローボリューム曲線としては非典型的であり、特定の呼吸器病態を示すものでもありません。予測される曲線としては誤りです。正しくは:フローボリューム曲線は、通常、特徴的なループ状の形状を示します。選びやすい理由:グラフの形状が独特であるため、何か特殊な状態を示すのかと考えるかもしれませんが、一般的な生理的曲線ではありません。混同注意:曲線全体の形状が不自然であり、誤りだと認識しやすいでしょう。
- 4. この選択肢の図は、呼気フローのピークが著しく低く、全体的に肺活量が小さい、いわゆる拘束性換気障害のパターンを示唆しています。しかし、問題文に拘束性換気障害を示す情報がないため、最も適切な予測曲線とは言えません。正しくは:特別な情報がない限り、予測される曲線は正常な呼吸機能を示すべきです。選びやすい理由:拘束性障害の知識があれば、この曲線も有力な候補となりえますが、設問に情報がありません。混同注意:曲線が細長く、特に呼気フローが低い形状は拘束性換気障害のそれと似ています。
- 5. 正解。この選択肢の図は、健康な成人のフローボリューム曲線として典型的な形状を示しています。最大呼気流量が始まりで高く、その後徐々に下降し、最大吸気流量もスムーズな曲線を描いています。特別な病態が示されていない場合、フローボリューム曲線の予測として最も適切なのは、このような正常な曲線です。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため該当せず)混同注意:(正答のため該当せず)
国試ポイント
フローボリューム曲線の正常パターンと、代表的な呼吸器疾患(閉塞性換気障害、拘束性換気障害、上気道閉塞など)における特徴的なパターンを理解しているかどうかが問われています。各疾患のフローボリューム曲線の形状を正確に識別できることが重要です。
混同注意
各選択肢が示す曲線は、それぞれ異なる呼吸器病態を示唆しているため、それぞれの病態と曲線の対応関係を正確に覚えていないと混同しやすいです。特に、閉塞性換気障害と拘束性換気障害の曲線の違い、上気道閉塞の特徴的な平坦化を区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
もし問題に「慢性閉塞性肺疾患の患者」や「肺線維症の患者」といった情報が追加された場合、それに合致するフローボリューム曲線を選択できるかどうかが次の判断ステップとなります。
関連知識
フローボリューム曲線は、肺活量、1秒量、最大呼気流量、1秒率などの指標と関連付けて理解する必要があります。閉塞性換気障害ではFEV1/FVCの低下、拘束性換気障害ではFVCの低下が特徴です。また、喘息、COPD、肺線維症などの疾患がそれぞれどのようなフローボリューム曲線を示すかを具体的な例で学習すると理解が深まります。