大腿切断術後の切断肢で股関節の屈曲拘縮予防が図れる肢位はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
大腿切断術後の股関節屈曲拘縮は非常に発生しやすい合併症であり、その予防には股関節を伸展位に保つことが不可欠です。腹臥位は、重力と体幹の重みを利用して股関節が自然に伸展位に保たれるため、最も効果的な予防肢位とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。腹臥位(うつ伏せの姿勢)は、股関節を自然と伸展位に保つことができるため、屈曲拘縮の予防に最も効果的です。特に、定期的にこの姿勢を取ることで、股関節前方の組織が短縮するのを防ぎます。
- 2. 長時間の車椅子座位は、股関節を常に屈曲させた状態に保つため、屈曲拘縮を助長してしまいます。正しくは:股関節の屈曲位が続く時間を避け、定期的に股関節伸展位をとる時間を設けることが重要です。選びやすい理由:日常生活で車椅子を使用する患者さんが多いため、具体的な生活場面を想像しやすいことから、無意識に選択してしまう可能性があります。しかし、予防という観点からは誤りです。混同注意:車椅子での移動や活動そのものと、その姿勢が長時間続くことによる影響を混同しやすいです。
- 3. 大腿の下に枕を入れると、股関節がさらに屈曲した状態になるため、屈曲拘縮を悪化させる危険性があります。正しくは:股関節の屈曲拘縮を予防するためには、大腿の下に枕を入れず、股関節を伸展位に保つか、むしろ残肢の端をベッドから出すなどして軽い伸展位をとる工夫をします。選びやすい理由:痛みや不快感を軽減するために枕を当てる処置が他にあるため、無意識に良い姿勢だと考えてしまうかもしれません。混同注意:膝関節の過伸展を防ぐなどの目的で、ごく短時間、膝窩部にタオルなどを当てる場合と混同する可能性がありますが、股関節屈曲拘縮予防の観点では異なる目的です。
- 4. 股関節を屈曲位に保つため、屈曲拘縮の予防には不適切です。正しくは:股関節伸展位を保つ、または伸展方向に誘導できるような側臥位の工夫が必要です。例えば、上側の残肢を後方に引き、股関節を伸展させるよう調整します。選びやすい理由:一般的な快適な側臥位としてよく見られる姿勢であり、安楽肢位と混同して選択してしまう可能性があります。混同注意:安楽な側臥位と、治療的な目的を持つ拘縮予防肢位を混同しやすいです。
- 5. この体位は股関節の外転拘縮予防には有効ですが、股関節の屈曲拘縮予防とは直接関係がありません。股関節屈曲位に影響しないか、場合によっては軽度屈曲位を助長する可能性もあります。正しくは:股関節の屈曲拘縮予防のためには、枕で股関節の伸展位を保つ必要があります。選びやすい理由:他の拘縮予防(外転拘縮)のための肢位として正しい知識があり、それと混同して選択してしまう可能性があります。混同注意:股関節の「外転拘縮」予防と「屈曲拘縮」予防のための肢位を混同しやすいです。
国試ポイント
本問題は、大腿切断術後のリハビリテーションにおける基本的な姿勢管理と拘縮予防の知識を問うものです。特に、切断肢の部位と、その部位に発生しやすい拘縮の種類、そしてそれを予防するための適切な肢位の組み合わせを正確に理解しているかが問われます。
混同注意
股関節の「屈曲拘縮」と「外転拘縮」の予防肢位、あるいは「膝関節拘縮」の予防肢位など、異なる関節や方向の拘縮予防肢位と混同しやすいです。また、安楽な肢位と治療的な肢位を混同する可能性もあります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われる場合は、他の切断部位(例:下腿切断)における拘縮の種類と予防肢位、または、股関節屈曲拘縮の具体的な進行度に応じた介入方法(例:徒手療法、装具療法)などが問われる可能性があります。また、車椅子シーティングにおける適切な股関節角度や、座位での拘縮予防策なども関連する知識として出題されるでしょう。
関連知識
大腿切断術後のリハビリテーション全般(断端管理、幻肢痛、義肢装着前訓練、歩行訓練など)、各関節の拘縮の種類と原因、予防原則、ポジショニングの目的と方法。