胎児期に感染することで先天性奇形を生じるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
妊娠初期の母親が風疹ウイルスに感染した場合、ウイルスが胎盤を通過して胎児に感染し、先天性風疹症候群(CRS)を引き起こす可能性があります。CRSは、心臓の奇形、眼の異常(白内障、緑内障)、聴覚障害(感音性難聴)など、複数の先天性奇形や発達異常を特徴とします。これらの症状は、胎児の器官形成期にウイルスが影響を及ぼすことによって生じます。他の選択肢の病原体は、胎児や新生児に感染症を引き起こす可能性はありますが、直接的に先天性奇形を引き起こす主要な原因ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、主に院内感染を引き起こす耐性菌であり、胎児期感染による先天性奇形との直接的な関連は一般的に知られていません。新生児に感染症を引き起こす可能性はありますが、奇形形成は通常ありません。正しくは:MRSAは、通常、胎児期感染による先天性奇形は引き起こしません。選びやすい理由:感染症全般との関連で誤解する可能性がある。混同注意:他の細菌感染症と混同しやすいが、MRSAは新生児感染症のリスクであっても奇形のリスクは低い。
- 2. 結核菌は胎児への垂直感染(先天性結核)を引き起こすことがありますが、先天性奇形を直接的に引き起こす主要な原因ではありません。胎児期感染により、低出生体重や早期産のリスクが増加する可能性はあります。正しくは:結核菌は、胎児に感染する可能性はあるものの、先天性奇形を直接的に引き起こす主要な原因ではありません。選びやすい理由:感染症として重篤であるため、奇形とも関連があるのではないかと推測する可能性がある。混同注意:先天性感染症全般と先天性奇形を混同しやすい。結核は後者に当てはまらない。
- 3. 正解。風疹ウイルスは、妊娠初期に母親が感染すると胎盤を通じて胎児に感染し、先天性風疹症候群(CRS)を引き起こします。CRSは、心奇形、白内障、難聴といった複数の先天性奇形や発達障害を伴うことが特徴です。そのため、風疹ウイルスは胎児期に感染することで先天性奇形を生じる代表的な病原体です。正しくは:この選択肢は正しい。選びやすい理由:他のウイルス感染症と比較して、その特異性を理解していない場合に間違える可能性がある。混同注意:他のウイルスとの違い。風疹ウイルスは特に妊娠初期の感染で重篤な奇形リスクがある。
- 4. B型肝炎ウイルスは、周産期感染によって新生児がキャリア化するリスクがありますが、先天性奇形を引き起こすことはありません。主に慢性肝炎や肝がんのリスクに関連します。正しくは:B型肝炎ウイルスは、胎児期感染による先天性奇形は引き起こしません。選びやすい理由:ウイルス感染症であるため、奇形を引き起こす可能性を疑うかもしれない。混同注意:肝炎ウイルスは垂直感染のリスクはあるが、奇形形成とは異なる病態を引き起こす。
- 5. ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃炎や胃潰瘍の原因となる細菌であり、主に経口感染します。胎児期感染による先天性奇形との関連は全くありません。正しくは:ヘリコバクター・ピロリ菌は、胎児期感染による先天性奇形は引き起こしません。選びやすい理由:細菌感染症として奇形を疑うかもしれないが、部位や感染経路から関連性は低い。混同注意:一般的な細菌感染症であり、胎児奇形とは無関係。
国試ポイント
本問題は、周産期における感染症と胎児への影響、特に先天性奇形を引き起こす病原体に関する知識を問うものです。風疹ウイルスによる先天性風疹症候群は、公衆衛生上も重要な疾患であり、その特徴を正確に理解しておく必要があります。他にも、トキソプラズマ、サイトメガロウイルス、HSV、HIVなどが先天性感染症の原因となりますが、奇形形成との関連性が高いものを識別することが重要です。
混同注意
サイトメガロウイルスやトキソプラズマも先天性感染症を引き起こし、神経学的後遺症や一部の奇形(例:サイトメガロウイルスの小頭症)を引き起こすことがあるため、風疹ウイルスと同様に注意が必要な病原体です。しかし、本問では風疹ウイルスが最も代表的かつ顕著な奇形形成の原因として挙げられます。
次に同じ論点が出たら
周産期感染症の各病原体について、感染経路、胎児・新生児への具体的な影響(奇形、発達障害、臓器障害など)、予防策(ワクチン、衛生指導など)を詳細に学習し、それぞれの特徴を比較して理解を深めましょう。
関連知識
TORCH症候群(トキソプラズマ、Other<梅毒、B型肝炎、コクサッキーなど>、風疹、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス)は、妊娠中に感染すると胎児に影響を与える可能性のある病原体の総称であり、これらについても知識を整理しておくことが重要です。特に、それぞれの病原体がどのような症状や奇形を引き起こすかを理解しておく必要があります。