Down症児の初期の腹臥位での移動の特徴はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ダウン症児は筋緊張が低下しており、関節の弛緩性が高いため、腹臥位での移動において股関節を大きく外転・外旋させるカエル足様の姿勢をとりやすいです。これは体幹の安定性が不十分なため、支持基底面を広げて安定性を確保しようとする代償的な運動パターンとしてよく見られます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ダウン症児は、筋緊張の低下や関節弛緩性のため、腹臥位での移動(腹ばい)の際に股関節を大きく外転・外旋させ、カエル足のような姿勢で移動することが特徴です。これは支持基底面を広げ、不安定な体幹を安定させようとする代償的な戦略と考えられます。
- 2. 尖足傾向は、例えば脳性麻痺児などにみられることはありますが、ダウン症児の腹臥位での移動の初期の特徴として一般的に挙げられるものではありません。ダウン症児は筋緊張が全体的に低下していることが多いため、特定の筋肉の過緊張による尖足が出現しにくい傾向にあります。正しくは:ダウン症児の初期の腹臥位での移動では、尖足傾向は一般的ではありません。選びやすい理由:足部の異常な肢位が発達遅延児に見られることがあるため、選択肢として考慮してしまうかもしれません。混同注意:他の発達障害児(例:脳性麻痺)でみられる運動パターンと混同しやすいです。
- 3. ダウン症児の初期の腹臥位移動では、体幹の不安定さからバランスを取るために、上肢で床を強く押したり、肘を固定して支持したりすることはありますが、「過剰な引き込み」が移動の特徴として特筆されることは稀です。むしろ、体幹の安定性欠如から上肢による効率的な推進が難しいことがあります。正しくは:上肢は体幹を支えるために使うことが多いですが、過剰な引き込みが移動の主たる特徴ではありません。選びやすい理由:体幹の安定性が低いために上肢で体を固定しようとする動きを、誤って「引き込み」と解釈してしまうかもしれません。混同注意:反射的な動きや協調運動の未熟さと混同する可能性があります。
- 4. 緊張性迷路反射(TLR)は、原始反射の一つであり、乳児期には消失するのが通常です。ダウン症児では原始反射の残存が見られることもありますが、TLRの残存が初期の腹臥位での『移動』の直接的かつ特徴的な動きとして挙げられることは稀です。TLRは特定の姿勢(腹臥位や背臥位)で全身の筋緊張を変化させる反射であり、移動パターンそのものに強く結びつくというよりは、姿勢制御全体に影響を与えます。正しくは:緊張性迷路反射の残存は発達遅延児に見られる場合がありますが、腹臥位での『移動』の直接的な特徴としては適切ではありません。選びやすい理由:ダウン症児における原始反射の残存という知識から、この選択肢が正しいと誤解する可能性があります。混同注意:原始反射の残存そのものと、それが具体的な移動パターンにどう影響するかという点とを混同しやすいです。
- 5. ダウン症児は筋緊張低下や協調運動の障害があるため、足の交互運動(クロールのような動き)が未熟であることは事実ですが、初期の腹臥位での移動(腹ばい)の際の特徴として最も代表的なものは、股関節の外転です。下肢の交互運動の欠如は、より発達した『はいはい』などの移動パターンで問題となることが多いです。正しくは:下肢の交互運動の未熟さは見られることもありますが、初期の腹臥位での移動の特徴としては股関節外転の方がより典型的です。選びやすい理由:筋緊張低下や運動発達遅滞から、協調運動に問題があるという一般的な知識と結びつけてしまいがちです。混同注意:一般的な運動発達遅滞の特徴と、特定の移動様式における最も顕著な特徴とを混同しやすいです。
国試ポイント
ダウン症児の運動発達の特徴、特に筋緊張低下や関節弛緩性が特定の移動様式にどのように影響するかを理解しているかが問われています。典型的な運動パターンを具体的にイメージできることが重要です。
混同注意
他の発達障害児の運動パターンや、ダウン症児に見られる一般的な発達遅滞の特徴(原始反射残存など)と、特定の移動様式における具体的な特徴を区別することが求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、ダウン症児の他の発達段階(座位、立位、歩行など)での特徴的な姿勢や運動パターン、あるいは他の発達障害(脳性麻痺、自閉スペクトラム症など)における特徴的な運動発達パターンが問われる可能性があります。
関連知識
ダウン症児の身体的特徴(筋緊張低下、関節弛緩性、顔貌の特徴など)、原始反射の種類と正常な消失時期、各発達段階における運動発達の指標、脳性麻痺などの他の発達障害における運動パターンの特徴。