骨格筋の筋張力で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
選択肢4が正しい。筋の張力-速度関係において、負荷が軽いほど短縮速度は速くなる。これは求心性収縮(等張性収縮)における基本的な特性であり、筋の生理学で重要な概念である。
選択肢ごとの解説
- 1. 骨格筋の総張力は、活動張力(収縮によって発生する張力)と静止張力(受動的に伸展されたときに発生する張力)の合計で構成されます。したがって、「総張力 = 活動張力 + 静止張力」が正しい関係です。この選択肢は「活動張力 = 総張力 + 静止張力」と解釈でき、これは誤りです。正しくは:総張力は、活動張力と静止張力の合計である。選びやすい理由:「張力」という言葉が複数出てきて、足し算や引き算で関係性を考えるため、部分的に正しい要素があるように感じ、混乱しやすい。混同注意:各張力の定義とその相互関係。
- 2. 骨格筋の活動張力は、筋長に依存して変化し、最適な筋長(resting lengthまたはそれよりわずかに長い状態)で最大になります。筋が極端に短すぎたり、過度に長すぎたりすると、活動張力は低下します。この選択肢は、筋長が長くなるほど「常に」大きくなるという点で誤りです。正しくは:活動張力は、最適な筋長で最大となる。選びやすい理由:筋が伸ばされると収縮力が増すというイメージがあるため、ある程度の伸展までは正しいことから、全ての場合に当てはまると誤解しやすい。混同注意:筋の長さ-張力関係曲線における活動張力と静止張力の挙動。
- 3. 求心性収縮(短縮性収縮)において、筋の収縮速度と発揮できる最大筋張力の間には逆相関の関係があります。つまり、収縮速度が速くなるほど、発揮できる筋張力は小さくなります。これは筋の「張力-速度関係」の基本的な特性です。正しくは:求心性運動では、速度が速いほど最大筋張力は小さくなる。選びやすい理由:筋力トレーニングなどで「速く動かす」ことが強調されることがあり、それが「大きな力」につながるという印象を与え、混同しやすい。混同注意:求心性収縮と遠心性収縮の速度-張力関係。
- 4. 正解。これは筋の「張力-速度関係」の基本的な原則です。筋が一定の張力(負荷)に抗して短縮する(等張性収縮)場合、負荷が軽ければ軽いほど、筋はより速く短縮することができます。最大速度は負荷がゼロの時に達成され、負荷が増加すると速度は低下し、最大負荷(最大等尺性張力)では速度はゼロになります。
- 5. 遠心性収縮(伸張性収縮)は、求心性収縮(短縮性収縮)や等尺性収縮と比較して、より大きな筋張力を発揮することができます。これは、遠心性収縮では筋線維が伸張されながらも張力を保持するため、筋の損傷リスクは高いものの、発揮される力は大きくなります。正しくは:遠心性運動は、求心性運動より大きな筋張力を発揮することができる。選びやすい理由:「力を入れる」というイメージから、求心性収縮の方が強いと感じやすい。運動の種類として求心性の方が一般的であるため、誤解しやすい。混同注意:求心性収縮と遠心性収縮の筋力発揮能力。
国試ポイント
骨格筋の基本的な生理学的特性、特に筋張力発生のメカニズム、筋長-張力関係、張力-速度関係、および各収縮様式(求心性、遠心性、等尺性)の特性に関する知識が問われる。各概念の定義と相互関係を正確に理解しているかが重要。
混同注意
筋の長さ-張力関係における「静止張力」「活動張力」「総張力」の定義と曲線。筋の張力-速度関係における「求心性」「遠心性」収縮での最大張力発生能力。等張性収縮と等尺性収縮の概念。
次に同じ論点が出たら
筋張力に関する問題が出た場合、まず「どの種類の張力か(静止、活動、総)」、「どの収縮様式か(求心性、遠心性、等尺性)」、「どの関係性か(長さ-張力、張力-速度)」を特定し、それぞれの特性を正確に当てはめる。特に、グラフの形状(長さ-張力曲線、張力-速度曲線)をイメージできると有利。
関連知識
サルコメアの構造とフィラメント滑走説。アクチンとミオシンの結合およびサイクル。筋の活動電位と興奮収縮連関。運動単位の動員とサイズの原理。筋疲労のメカニズム。