末梢神経の脱髄がみられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ギラン・バレー症候群は、自己免疫性の末梢神経疾患であり、特に一般的な病型である急性炎症性脱髄性多発神経炎(AIDP)では、末梢神経の軸索を取り巻く髄鞘が自己免疫反応によって損傷され、脱髄が引き起こされます。
選択肢ごとの解説
- 1. 多発性硬化症は、脳や脊髄といった中枢神経系の髄鞘が自己免疫によって損傷される疾患です。末梢神経の脱髄は主病変ではありません。正しくは:「中枢神経系の脱髄がみられるのはどれか」という設問であれば正答となり得ます。選びやすい理由:「脱髄疾患」というキーワードから、中枢と末梢の区別をせず選んでしまう可能性があります。混同注意:ギラン・バレー症候群(末梢神経の脱髄)と多発性硬化症(中枢神経の脱髄)の病変部位の区別。
- 2. ドケルバン病は、親指を動かす腱(長母指外転筋腱と短母指伸筋腱)とその腱を覆う腱鞘に炎症が生じる腱鞘炎の一種です。神経の脱髄は病態に関与しません。正しくは:脱髄疾患ではなく、腱鞘炎が主病態です。選びやすい理由:病名が専門的で、詳細を知らない場合に、神経系の疾患と誤解して選んでしまう可能性があります。混同注意:神経障害全般と腱鞘炎のような運動器疾患の区別。
- 3. 進行性核上性麻痺は、大脳基底核や脳幹などの中枢神経系が変性し、神経細胞が失われる疾患(神経変性疾患)です。末梢神経の脱髄は病態の中心ではありません。正しくは:脱髄疾患ではなく、神経変性疾患が主病態です。選びやすい理由:神経系の難病であり、詳細な病態生理を知らないと脱髄疾患と混同する可能性があります。混同注意:脱髄疾患と神経変性疾患の区別。また、中枢神経と末梢神経の区別。
- 4. 腰部脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭くなることで、内部を通る神経根や馬尾が物理的に圧迫されて症状が出る疾患です。神経の脱髄が主要な病態ではありません。正しくは:神経の圧迫による症状が主病態です。選びやすい理由:神経症状が出現するため、原因が神経の障害であることは分かりますが、脱髄であるか圧迫であるかの区別がついていないと選んでしまう可能性があります。混同注意:神経の圧迫性障害(機械的ストレス)と脱髄性疾患(炎症や自己免疫による髄鞘損傷)の病態の区別。
- 5. 正解。ギラン・バレー症候群は、自己免疫が末梢神経の髄鞘を攻撃し、脱髄を引き起こす疾患です。特に一般的な病型である急性炎症性脱髄性多発神経炎(AIDP)は、末梢神経の脱髄を特徴とします。
国試ポイント
本問は、代表的な神経疾患について、その主要な病態生理、特に脱髄の発生部位(中枢神経か末梢神経か)を正確に理解しているかを問うものです。多発性硬化症との対比で問われることが多く、病変部位の区別が重要となります。
混同注意
多発性硬化症(中枢神経脱髄疾患)とギラン・バレー症候群(末梢神経脱髄疾患)の混同。脱髄疾患と神経変性疾患(例:進行性核上性麻痺)や神経圧迫性疾患(例:腰部脊柱管狭窄症)の病態の混同。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず問題文が「中枢神経」を対象としているか「末梢神経」を対象としているかを確認します。次に、選択肢の疾患が脱髄性か否か、また脱髄性であればどちらの神経系に病変が生じるのかを見極めることが重要です。神経変性、炎症、圧迫など、他の病態と混同しないよう注意が必要です。
関連知識
脱髄の定義とメカニズム、中枢神経と末梢神経の解剖学的・生理学的特徴、代表的な中枢神経系脱髄疾患(例:多発性硬化症)、代表的な末梢神経系脱髄疾患(例:ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎CIDP)、各疾患の主要症状・診断・治療の概要。