疾患と治療の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
強迫性障害の治療において、暴露反応妨害法は最も効果が確立された認知行動療法の手法です。患者が恐怖や不安を感じる状況(暴露)に直面させ、そこから生じる強迫的な反応や行為を自ら行わないように指導(反応妨害)することで、不安の軽減と行動変容を促します。
選択肢ごとの解説
- 1. 電気痙攣療法は重度のうつ病や躁病、統合失調症の一部に適用される治療法であり、PTSDの主要な治療法ではありません。正しくは:PTSDの主な治療法には、トラウマに焦点化した認知行動療法(PE、CPTなど)やEMDRがあります。選びやすい理由:PTSDが重度の精神疾患であるため、強力な治療法が有効であると誤解する可能性があります。混同注意:他の重度精神疾患に対する電気痙攣療法の適用と混同する可能性があります。
- 2. 持続エクスポージャー法(PE)は、主にPTSDの治療に用いられる、トラウマ体験の記憶に繰り返し向き合うことで苦痛を軽減する認知行動療法の一種です。病気不安症は疾患に対する不安が主症状であり、エクスポージャーを用いるとしても、不安な身体感覚や医療情報に段階的に曝露させる方法がとられますが、持続エクスポージャー法とは異なります。正しくは:病気不安症の治療には、認知行動療法(CBT)や、心理教育、薬物療法(SSRIなど)が用いられます。もしエクスポージャーを用いるならば、恐怖の対象(特定の身体感覚や医療情報など)に対する段階的エクスポージャーとなります。選びやすい理由:エクスポージャーが不安障害全般に用いられることがあるため、病気不安症にも関連すると思われがちです。混同注意:PTSDに対する持続エクスポージャー法と、他の不安障害で用いられる一般的なエクスポージャーを混同する可能性があります。
- 3. 自律訓練法は、心身のリラクセーションを目的とした自己暗示法であり、ストレス関連疾患や心身症、不安障害の一部に有効ですが、記憶の回復を主眼とする解離性健忘の主要な治療法ではありません。正しくは:解離性健忘の治療には、精神療法(支持的精神療法、認知行動療法)、催眠療法などが用いられることがあります。特に、安全な環境下での記憶の再統合や感情の処理が重要です。選びやすい理由:解離性健忘がストレスに関連する疾患であるため、リラクセーション法が有効と誤解しやすいです。混同注意:他のストレス関連疾患に対する自律訓練法の適用と混同する可能性があります。
- 4. 正解。暴露反応妨害法は、強迫性障害の治療において最も効果が確立されている認知行動療法の一種です。患者を強迫観念が引き起こす不安の対象(暴露)に意図的に接触させ、それに対する強迫行為(反応)を行わないよう指導することで、不安への耐性を高め、強迫行為を減少させます。正しくは:この組み合わせは正しいです。選びやすい理由:(正解肢のため特になし)混同注意:(正解肢のため特になし)
- 5. 系統的脱感作法は、恐怖症やパニック障害などの不安障害に用いられる行動療法で、リラクセーションと不安階層表を用いた段階的な不安刺激への曝露を組み合わせるものです。身体症状症(旧称:身体化障害)の治療には、身体症状へのとらわれを減らし、精神的苦痛を言語化する認知行動療法や心理教育、支持的精神療法が有効とされます。正しくは:身体症状症の治療には、精神科医やリエゾン精神医学チームによる精神科的介入、認知行動療法、心理教育、マインドフルネスなどが用いられます。選びやすい理由:身体症状症も不安やストレスと関連が深いため、不安障害に用いられる治療法が有効であると誤解しやすいです。混同注意:恐怖症に対する系統的脱感作法の適用と、身体症状症を混同する可能性があります。
国試ポイント
精神疾患とその治療法に関する知識は、理学療法士国家試験において頻繁に出題されます。特に、特定の疾患に対する標準的な治療法、行動療法や認知行動療法の具体的な技法と適用疾患について正確な理解が求められます。今回の問題では、特に効果が確立されている治療法の組み合わせが問われています。
混同注意
様々な精神疾患の治療法は似ているものも多く、特に「エクスポージャー」や「認知行動療法」といった大枠の概念が多くの疾患で使われるため、具体的な技法名(例:持続エクスポージャー法、暴露反応妨害法、系統的脱感作法)とその適用疾患を正確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、疾患名だけでなく、その疾患の病態生理や主要な症状を想起し、その症状に最も効果的にアプローチできる治療法は何か、という視点で選択肢を検討する必要があります。特に認知行動療法の各技法(例:認知再構成法、行動活性化、リラクセーション法など)の具体的な内容と適用疾患について、より深く学習することが求められます。
関連知識
精神疾患の主要な分類(DSM-5など)、薬物療法、精神療法、行動療法の種類とそれぞれの適応疾患、各治療法の基本的な機序。