睡眠・覚醒のパターンを記録する睡眠日誌(睡眠表)の記載が最も有用なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
睡眠相後退症候群は、生体内の概日リズムが通常の社会的時間帯から遅れており、その結果、入眠と覚醒の時間が通常よりも大幅に遅れる疾患です。睡眠日誌(または睡眠表)は、患者がいつ寝ていつ起きたかを数週間にわたって記録することで、この特有の睡眠-覚醒パターン(特に、入眠・覚醒時刻が毎日ほぼ同じ時刻で遅延していること)を客観的に把握し、診断と治療計画の策定に極めて重要な情報を提供します。他の疾患では、より専門的な検査(例:PSG、MSLTなど)が診断に必須となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 原発性不眠症の評価には睡眠日誌も用いられますが、最も有用とされるのは他の疾患です。客観的な睡眠検査(PSGなど)や症状の詳細な聞き取りが重要となります。正しくは:睡眠相後退症候群が睡眠日誌の記載が最も有用な疾患である。選びやすい理由:不眠症全般の評価に睡眠日誌が使われるため、選択肢として魅力的である。混同注意:単なる不眠と、概日リズム睡眠障害である睡眠相後退症候群との鑑別。
- 2. ナルコレプシーは日中の過度な眠気を特徴とし、確定診断には反復睡眠潜時検査(MSLT)が不可欠です。睡眠日誌は補助的な情報として用いられますが、診断の最も主要なツールではありません。正しくは:睡眠相後退症候群が睡眠日誌の記載が最も有用な疾患である。選びやすい理由:日中の睡眠状況を把握するために日誌が役立つという点で誤解されやすい。混同注意:日中の睡眠発作の有無と、夜間の睡眠リズムの乱れとの混同。
- 3. 正解。睡眠相後退症候群は、概日リズムの異常により、通常の社会生活を送る時間帯よりも遅い時間に入眠し、遅い時間に覚醒する疾患です。睡眠日誌は、患者の実際の入眠時刻と覚醒時刻のパターンを長期間にわたって客観的に記録できるため、このリズムのずれを把握し、診断を下す上で最も重要な情報源となります。
- 4. レム睡眠行動障害は、レム睡眠中に夢の内容と一致した行動を示す疾患であり、診断には終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)が必須です。睡眠日誌は症状の頻度や内容を把握するのに役立ちますが、確定診断には直接結びつきません。正しくは:睡眠相後退症候群が睡眠日誌の記載が最も有用な疾患である。選びやすい理由:異常な行動の記録という点で日誌が役立つと想像しやすいため。混同注意:行動異常の記録と、睡眠リズムの記録との違い。
- 5. 閉塞性睡眠時無呼吸障害は、睡眠中に気道が閉塞することで呼吸が一時的に停止する疾患です。診断には終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)による無呼吸・低呼吸イベントの客観的評価が不可欠であり、睡眠日誌は日中の眠気などの症状把握に補助的に用いられますが、最も有用なツールではありません。正しくは:睡眠相後退症候群が睡眠日誌の記載が最も有用な疾患である。選びやすい理由:日中の眠気などの症状を日誌に記録することが多いため、誤解されやすい。混同注意:日中の症状記録と、夜間の病態把握の診断的価値。
国試ポイント
睡眠障害の中でも、特に概日リズム睡眠障害の診断における睡眠日誌の重要性を問う問題。各睡眠障害の主要な診断ツールとその特徴を理解しているかが問われる。
混同注意
不眠症全般に対して睡眠日誌が用いられるため、原発性不眠症との区別がつきにくい。しかし、原発性不眠症では睡眠パターンよりも入眠困難や中途覚醒自体が問題であり、睡眠リズムの評価が最も重要とは限らない。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、概日リズム睡眠障害の各タイプ(睡眠相前進症候群、非24時間睡眠・覚醒リズム障害など)と、それぞれの診断に有用なツール(睡眠日誌、アクチグラフ、光療法など)の組み合わせについて問われる可能性がある。また、具体的な睡眠日誌の記録内容から疾患名を推測させる問題も考えられる。
関連知識
睡眠日誌は、概日リズム睡眠障害(睡眠相前進症候群、不規則型睡眠・覚醒リズム障害などを含む)、不眠症、交代勤務睡眠障害などの診断や治療効果の判定に広く利用される。その記載によって、患者自身の睡眠習慣の気づきを促す効果もある。また、診断には睡眠日誌だけでなく、アクチグラフ(活動量計)による客観的な睡眠・覚醒リズムの評価も併用されることがある。