長期間の安静臥床で増加するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
長期の安静臥床は、関節への適切な負荷や動きが失われるため、関節包や靭帯といった結合組織が線維化し、肥厚する傾向にあります。これは関節拘縮の主要な原因の一つであり、器質的な結合組織の増加(硬化、肥厚)として捉えられます。他の選択肢はすべて安静臥床により低下・減少する機能や構造です。
選択肢ごとの解説
- 1. 長期臥床は骨への荷重刺激が減少するため、骨形成が抑制され、骨吸収が優位になることで骨密度は低下します。正しくは:骨密度は減少します。選びやすい理由:骨が使われないと保護的に強化されると誤解するかもしれませんが、実際には逆です。混同注意:骨粗鬆症と関連するが、その原因としての活動量減少の影響と混同しやすいです。
- 2. 長期臥床は筋活動の低下を招き、特に抗重力筋の筋力や筋持久性は著しく低下します。全身的な活動量も低下するため、有酸素能力も低下します。正しくは:筋持久性は低下します。選びやすい理由:安静にしていることでエネルギーが温存されるように感じるかもしれませんが、身体の機能は低下します。混同注意:安静が筋の回復に良いと考えることと、活動がないことによる機能低下を混同しやすいです。
- 3. 長期臥床は自律神経系の影響、食物繊維摂取量の減少、運動不足などにより腸管蠕動運動を低下させ、便秘を引き起こしやすくなります。正しくは:腸管蠕動運動は低下します。選びやすい理由:消化器系の機能は安静によって維持されると考えがちですが、体動が腸管運動を促進する一因です。混同注意:消化機能そのものと、蠕動運動の活発さを混同しやすいです。
- 4. 正解。長期臥床による関節の不動状態は、関節包や靱帯などの結合組織の線維化や肥厚を促進し、可動域制限や拘縮を引き起こしやすくなります。これは結合組織の器質的な変化として増加(線維化)と捉えられます。選びやすい理由:『増加』という言葉から良い変化を想像しやすいが、これは病的な変化を指します。
- 5. 長期臥床は心肺機能の低下、全身の活動量減少により、心拍出量や酸素運搬能力が低下するため、最大酸素摂取量は減少します。正しくは:最大酸素摂取量は減少します。選びやすい理由:体が休まることで呼吸機能が向上するようなイメージを持つかもしれませんが、運動能力は低下します。混同注意:安静時の呼吸数や心拍数といった指標と、運動能力を示す最大酸素摂取量を混同しやすいです。
国試ポイント
安静臥床が身体に及ぼす影響(廃用症候群)に関する基本的な知識を問う問題です。特に、骨、筋肉、心肺機能、消化器系が一般的に低下する中で、関節の結合組織が『増加』(線維化・肥厚)することで機能障害が生じるという、一見すると逆説的な変化を理解しているかが問われます。
混同注意
『増加』という言葉がポジティブな意味合いで使われることが多いですが、ここでは『病理的な変化としての増加(線維化、肥厚)』を指している点が混乱しやすいポイントです。骨密度や筋力のように『減少』する項目と対比して考える必要があります。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、廃用症候群によって『増加する』項目として、皮下組織の浮腫や異所性骨化なども考えられる。また、『減少する』項目として、より詳細な生理的指標(例:一回拍出量、血漿量、グルコース耐性など)が問われる可能性もあります。
関連知識
廃用症候群の各症状(筋萎縮、骨粗鬆症、循環器系機能低下、消化器系機能低下、精神神経系症状、関節拘縮など)とそのメカニズム、それに対する予防・治療的介入。