Duchenne型筋ジストロフィーについて誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Duchenne型筋ジストロフィーは進行性の疾患であり、小学校高学年で歩行が消失した後、積極的に四つ這い生活を指導することは不適切です。呼吸機能の低下や脊柱変形の進行が懸念されるため、座位保持の安定化や車椅子での移動、呼吸管理などが中心的な介入となります。四つ這いは身体に負担をかけ、長期的な姿勢としては推奨されません。
選択肢ごとの解説
- 1. Duchenne型筋ジストロフィーでは、上肢の筋力低下は下肢に比べて進行が遅く、小学校低学年(就学期)ではまだ精密な書字動作を維持できることが多いです。正しくは:正しい記述です。選びやすい理由:上肢の筋力低下も進行するため、書字動作が早期に困難になると誤解するかもしれません。混同注意:筋力低下の全体的な進行速度や、上肢と下肢の進行度の違いと混同しやすいです。
- 2. Duchenne型筋ジストロフィーの進行により、小学校高学年(学童期後期)には下肢や体幹の筋力低下が顕著になり、立ち上がりや着衣の上げ下げなど、トイレ動作の多くの場面で介助が必要となることが一般的です。正しくは:正しい記述です。選びやすい理由:完全に全介助になるとは限らないため、介助は不要と誤解するかもしれません。混同注意:筋力低下の程度と、日常生活動作(ADL)への影響の具体的な関連性と混同しやすいです。
- 3. 正解。Duchenne型筋ジストロフィーで歩行が困難になった場合、四つ這いは体位変換や短距離の移動に一時的に利用されることはありますが、『積極的に四つ這い生活を指導する』ことは通常推奨されません。進行性疾患であるため、座位保持や車椅子での移動に移行し、呼吸機能の低下や脊柱変形のリスクを考慮した管理が重要となります。四つ這いは呼吸運動の制限や関節への負担が大きく、長期的な姿勢としては適切ではありません。正しくは:小学校高学年で歩行が困難になった後は、座位保持や車椅子での移動に移行し、呼吸機能や脊柱変形に配慮した生活指導が中心となります。選びやすい理由:移動手段の確保という点で、一時的に四つ這いが有効な場面もあるため、積極的に指導しても良いと誤解するかもしれません。混同注意:一時的な移動手段と、長期的な生活様式としての指導の適切性を混同しやすいです。
- 4. 上肢の筋力低下が進行するため、絵を描いたり工作をしたりする際に、腕の重さを支えるアームスリングや机上での支持具など、補助具の工夫が求められます。これは学業や社会参加を支援する上で重要な対応です。正しくは:正しい記述です。選びやすい理由:美術活動が完全に困難になると考えるかもしれません。混同注意:上肢の筋力低下の進行と、具体的な活動への影響、およびその対策の可能性と混同しやすいです。
- 5. 上肢および手指の筋力低下が進行するため、一般的なキーボードやマウスの使用が困難になることがあります。そのため、タッチパネル、ジョイスティック、音声入力、視線入力などの代替入力装置への変更や、キーボード入力補助具などの工夫が必要になります。これは学業や情報社会への参加を維持するために不可欠です。正しくは:正しい記述です。選びやすい理由:パソコン操作自体が困難になると考えるかもしれません。混同注意:手指の筋力低下の進行と、情報機器の操作における具体的な工夫の必要性、およびその多様な選択肢と混同しやすいです。
国試ポイント
Duchenne型筋ジストロフィーの病期進行に応じたADLの変化と、それに対するリハビリテーションや生活指導の原則を理解しているかが問われています。特に、進行期における誤った対応肢を選ばせることで、疾患の全体像と適切な介入方法の知識を評価しています。
混同注意
一時的な移動手段としての四つ這いの可能性と、長期的な生活様式としての推奨を混同しやすい。また、筋力低下の進行度合いと、ADLへの具体的な影響、およびその支援方法について、詳細な知識が不足していると誤答につながりやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、Duchenne型筋ジストロフィーの病期ごとの具体的なADL能力と、それに応じた適切な介入(座位保持、呼吸管理、コミュニケーション支援、学習支援など)について詳細に問われる可能性があります。特に、年齢に応じた社会参加を支えるための工夫(教育現場での配慮など)にも着目すべきです。
関連知識
Duchenne型筋ジストロフィーの自然経過、各病期における特徴的な症状(下肢・体幹・上肢の筋力低下、呼吸機能障害、心筋症、脊柱変形)、およびそれに対するリハビリテーション目標(関節可動域保持、呼吸理学療法、シーティング、ADL指導、装具療法など)。