標準予防策〈standard precautions〉において、正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
標準予防策の最も重要な要素の一つは手洗いであり、血液、体液、分泌物、排泄物、損傷のある皮膚、粘膜などに触れた後は、たとえ手袋を着用していても、必ず手洗いまたは擦式アルコール製剤による手指衛生を行う必要があります。これは交差感染を防ぐための基本的な行動原則です。
選択肢ごとの解説
- 1. 手洗いの水温は、微生物の除去効果に直接的な影響を与えません。重要なのは、石鹸と流水で十分に洗い、こすり洗いする物理的な作用です。正しくは:手洗いの水温は、微生物除去において必須の条件ではありません。流水と石鹸を用いた適切な手技が重要です。選びやすい理由:温水の方が殺菌効果が高い、汚れが落ちやすいという一般的な感覚から、正しいと感じやすいかもしれません。混同注意:温水が一般的に清潔感や快適さを与えるため、感染予防の観点からも推奨されると誤解しがちです。
- 2. 標準予防策において、汗は血液、体液、分泌物、排泄物、損傷のある皮膚、粘膜とは異なり、感染源として考慮されません。したがって、汗のみに触れる際に手袋を着用する義務はありません。正しくは:汗は標準予防策の対象となる体液には含まれないため、汗のみに触れる場合に手袋着用は必須ではありません。選びやすい理由:体液全般に手袋が必要という知識から、汗も体液であるため必要だと考えやすいです。混同注意:血液、体液、分泌物、排泄物などと汗を混同して、すべてに手袋が必要だと判断しがちです。
- 3. 標準予防策は、すべての患者さん、すべての状況において適用される普遍的な感染対策であり、感染症の有無に関わらず実施されます。これは、感染しているかどうかが不明な期間があるためです。正しくは:標準予防策は、感染症の有無にかかわらず、すべての患者さんに対して常に適用される予防策です。選びやすい理由:感染症がある患者に対して最も重要であるため、そこが中心だと誤解しやすいです。混同注意:感染経路別予防策(空気感染、飛沫感染、接触感染予防策)と混同し、感染が確定した患者にのみ適用されると考えてしまいがちです。標準予防策は、それらの上位概念であり、基本的な対策です。
- 4. 通常の眼鏡は側面や上下からの飛沫を防ぐ構造になっていないため、目の粘膜を完全に保護することはできません。ゴーグルやフェイスシールドなどの専用の保護具が必要です。正しくは:通常の眼鏡では飛沫からの目の粘膜保護には不十分であり、専用のゴーグルやフェイスシールドを使用するべきです。選びやすい理由:眼鏡を着用していれば、ある程度の保護になると考えやすいです。混同注意:眼鏡と保護用ゴーグルの役割や構造の違いを認識していないと、代用可能だと誤解しやすいです。
- 5. 正解。これは標準予防策の基本的な考え方であり、感染源となりうるもの(損傷皮膚、血液、体液など)に触れた後は、次の行動に移る前に必ず手洗いまたは擦式アルコール消毒を行い、交差感染を防ぐ必要があります。
国試ポイント
標準予防策の定義と具体的な実践内容(特に手洗い、個人防護具の着用対象と範囲、適用対象)について正確な知識が問われています。単なる知識の羅列ではなく、実践場面における判断能力も試される問題形式です。
混同注意
標準予防策と感染経路別予防策の区別、また、対象となる体液の範囲や個人防護具(PPE)の種類と適切な使用方法に関する誤解が生じやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、各個人防護具の具体的な着用場面や、手袋着用の有無に関わらない手指衛生の重要性、あるいは針刺し事故時の対応など、より実践的なシナリオ問題として問われる可能性が高いです。
関連知識
医療従事者の手指衛生の5つのタイミング、個人防護具(手袋、マスク、ガウン、ゴーグル/フェイスシールド)の着脱手順と目的、感染性廃棄物の取り扱い。