治療前後の心電図(別冊No. 1)を別に示す。治療の作用として正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
治療後の心電図でQT間隔が延長していることが観察されるため、心室筋の活動電位持続時間(APD)が延長したと判断できます。これは、主にクラスIII抗不整脈薬(例:アミオダロン、ソタロール)の作用機序であり、再分極を遅延させることで不応期を延長させ、不整脈を抑制します。
選択肢ごとの解説
- 1. 心電図上、QT時間の延長が見られる場合、これは心室筋の活動電位持続時間の延長、すなわち不応期の延長を示唆します。不応期の短縮ではありません。正しくは:不応期の延長選びやすい理由:薬剤によっては不応期を短縮させるものもあるため、心電図変化が少ないと混同しやすい。混同注意:QT短縮症候群や、ジギタリスなど活動電位持続時間を短縮させる薬物の作用。
- 2. 心電図は心筋の電気的活動を示すものであり、直接的に心収縮力の増強を評価する指標ではありません。収縮力増強は心エコーなどで評価されます。正しくは:心電図からは直接判断できない。選びやすい理由:強心作用を持つ薬剤も存在するため、治療全体を想像してしまいがち。混同注意:心拍数やリズムの改善と、収縮力の改善を混同することがある。
- 3. 房室伝導の抑制はPQ時間の延長として現れることが多いですが、提示された心電図ではPQ時間に著しい変化は見られません。むしろQT時間の変化が顕著です。正しくは:PQ時間の変化に注目する必要がある。選びやすい理由:房室伝導抑制作用を持つ薬剤も多く、一般知識として混同しやすい。混同注意:β遮断薬やCa拮抗薬などの房室伝導抑制作用。
- 4. 洞房結節の脱分極促進は心拍数の増加として現れますが、この心電図では心拍数に著しい変化や増加は認められません。QT時間の変化が主要な所見です。正しくは:洞房結節の脱分極が抑制される、または心拍数に変化がない。選びやすい理由:不整脈治療薬の中には心拍数を変化させるものもあるため、一般的な知識と混同しやすい。混同注意:心拍数増加を伴う頻脈性不整脈の治療。
- 5. 正解。提示された心電図において、治療後にQT間隔が著しく延長していることが確認できます。QT間隔の延長は、心室筋の活動電位持続時間が長くなっていることを直接的に示します。選びやすい理由:活動電位持続時間の延長は不整脈の原因にもなり得るため、治療薬の作用として一見不適切に思える可能性があるが、実際には特定の不整脈治療薬(例:クラスIII抗不整脈薬)の主要作用である。混同注意:QT短縮症候群や、活動電位持続時間を短縮させる薬物の作用。
国試ポイント
心電図の基本的な波形変化(特にQT間隔)とその生理学的な意味、および抗不整脈薬の薬理作用が問われています。画像から具体的な所見を読み取り、それを正確な生理学的・薬理学的作用と結びつける能力が必要です。
混同注意
不応期の短縮(QT短縮)と延長(QT延長)。心拍数やPQ間隔の変化と、QT間隔の変化。心電図所見から直接判断できない心収縮力や洞房結節への作用。
次に同じ論点が出たら
今後同様の心電図問題が出題された場合、まずQT間隔の変化に着目し、それが心室筋の活動電位持続時間や不応期にどのように影響するかを検討する。PQ間隔、QRS幅、心拍数など他の項目も確認し、心電図が示す最も顕著な変化を見極める。
関連知識
心電図各波形(P波、QRS波、T波)と間隔(PR間隔、QT間隔)の意味。心臓活動電位の相とイオンチャネル。抗不整脈薬の分類(Vaughan Williams分類)と各クラスの作用機序。特にクラスIII薬の再分極遅延作用。