左側臥位の胸部CT(別冊No. 2)を別に示す。肺が拡張し、最も含気が多いと考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
左側臥位では、重力の影響により下側にある肺(右肺)は虚脱しやすく、上側にある肺(左肺)は拡張しやすくなります。さらに、肺内では背側(後方)の方が腹側(前方)よりも拡張しやすい特性があります。したがって、左側臥位で最も拡張し、含気が多いのは、上側にある左肺の背側領域となります。画像①がこの領域に該当します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。左側臥位では、重力によって右肺が下になり、圧迫を受けやすいです。一方、上側になる左肺は重力の影響を受けにくく、より拡張しやすい状態になります。特に、背側(後方)の領域は、腹側(前方)の領域よりも拡張しやすい傾向があります。画像①は左肺の背側に位置しており、最も拡張が良好で含気量が多いと判断できます。
- 2. 画像②は左肺の腹側に位置していますが、背側と比較して重力の影響を受けにくいため、含気量は保たれやすいものの、最も拡張が良いとは限りません。特に左側臥位では背側の方がより良好な拡張が期待されます。正しくは:左側臥位では、上側となる左肺の背側が最も拡張し含気が多いです。選びやすい理由:上側の肺であり、拡張しやすいと考えるかもしれませんが、背側と腹側の区別が必要です。混同注意:上側臥位での肺の含気分布と混同しやすいかもしれません。
- 3. 画像③は右肺の腹側に位置しています。左側臥位では右肺は下側になるため、重力によって圧迫されやすく、十分な拡張が期待できません。正しくは:左側臥位では、下側となる右肺は重力により圧迫され、含気量が減少します。選びやすい理由:CT画像の見方に慣れていないと、単純に数字の若い部分を選んでしまう可能性があります。混同注意:健常者と疾患を持つ患者の体位変換による肺容積の変化と混同する可能性があります。
- 4. 画像④は右肺の背側に位置しています。左側臥位では右肺は下側になるため、重力によって圧迫され、特に背側は腹側よりもさらに圧迫の影響を受けやすく、含気量が減少します。正しくは:左側臥位では、下側となる右肺、特に背側は重力による圧迫が最も大きいため、含気量が最も少なくなります。選びやすい理由:背側の方が拡張しやすいという一般的な知識に引っ張られるかもしれませんが、体位と重力の影響を考慮する必要があります。混同注意:立位や仰臥位での肺の含気分布の知識と混同する可能性があります。
- 5. 画像⑤は下部消化管または肝臓などの腹腔臓器を示しており、肺ではありません。肺の拡張や含気量とは直接関係ありません。正しくは:選択肢⑤は肺ではなく、腹腔内の臓器を示しています。選びやすい理由:画像の見方に慣れていないと、単純な番号選択と誤解する可能性があります。混同注意:画像解剖学の基本的な知識不足によって選択してしまう可能性があります。
国試ポイント
体位による肺の換気・血流分布の変化、および胸部CT画像における解剖学的部位の同定能力を問う問題です。重力の影響が肺の換気(含気量)にどう影響するか、特に側臥位での肺の動きを理解しているかが重要です。
混同注意
仰臥位や腹臥位での肺の含気分布、あるいは疾患による換気分布の変化と混同しやすい。健常な肺の生理学的特性を理解しているかが鍵となります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の体位(仰臥位、腹臥位、立位)における肺の換気・血流分布、片肺換気時の肺の挙動、および特定の肺疾患(例:COPD、ARDS)における換気分布の変化について問われる可能性があります。
関連知識
肺の換気血流比(V/Q比)、重力による肺血流と換気の分布、体位ドレナージの原理、胸部CTの基本的な解剖学的読影。