高齢者において好ましい変化はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
選択肢2のFBS(Functional Balance Scale)は、バランス能力を評価する指標であり、点数が高いほどバランス能力が優れていることを示します。したがって、42点から52点への上昇は、バランス能力が改善したことを意味し、高齢者にとっては転倒予防やADL維持の観点から非常に望ましい変化です。他の選択肢はすべて、高齢者において望ましくない変化を示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 高齢者においてBMIが17.0まで低下することは、低栄養やサルコペニアのリスク増大を示し、望ましい変化ではありません。低体重は骨粗鬆症や免疫力低下にもつながる可能性があります。正しくは:BMIの低下は、低栄養やサルコペニアのリスクを高めるため、望ましくない変化とされます。選びやすい理由:一般的な肥満対策の文脈ではBMIの低下が好ましいとされますが、高齢者の場合は過度な低下は低栄養やフレイルのリスクを高めます。混同注意:若年層における健康的なBMIの考え方と、高齢者における健康的なBMIの考え方が混同されることがあります。
- 2. 正解。FBS(Functional Balance Scale)はバランス能力を評価するスケールであり、点数が高いほどバランス能力が良好であることを示します。42点から52点への上昇は、バランス能力が改善したことを意味し、転倒予防の観点からも高齢者にとって望ましい変化です。正しくは:FBSスコアの上昇は、バランス能力の改善を示唆し、高齢者においては転倒リスクの低減につながるため、好ましい変化です。選びやすい理由:他の選択肢で数値の悪化が見られるため、数値の上昇が常に良いとは限らないという誤解が生じるかもしれません。混同注意:スケールの点数が「高い方が良い」のか「低い方が良い」のかが、それぞれの評価項目で異なるため、混乱しやすいです。
- 3. TUG(Timed Up & Go Test)は歩行能力やバランス能力を評価するテストで、秒数が短いほど能力が高いことを示します。14.2秒から20.2秒への延長は、歩行速度の低下やバランス能力の悪化を意味し、転倒リスクの増大につながるため、望ましくない変化です。正しくは:TUGの秒数の増加は、移動能力やバランス能力の低下を示し、望ましくありません。選びやすい理由:他の運動関連の指標で数値が上がると改善と捉えられがちですが、TUGは時間が短い方が良いということを理解していないと誤る可能性があります。混同注意:TUGはタイムを計測するため、短時間で完了する方が機能が高いという点が理解されていないと誤解が生じます。
- 4. MMSE(Mini-Mental State Examination)は認知機能の評価スケールであり、点数が高いほど認知機能が良好であることを示します。25点から20点への低下は、認知機能の悪化を示唆しており、望ましい変化ではありません。正しくは:MMSEの点数の低下は、認知機能の悪化を示唆するため、望ましくありません。選びやすい理由:他の身体機能評価と異なり、MMSEが認知機能の評価であることを認識していないと、点数の増減の解釈を誤る可能性があります。混同注意:MMSEはあくまでスクリーニングツールであり、診断ではないという点が混同されることがあります。
- 5. 基本チェックリストは、高齢者の生活機能の低下や介護リスクを評価するためのもので、該当項目数が多いほど、より多くの問題やリスクを抱えていることを示します。4項目から10項目への増加は、生活機能の低下やフレイルリスクの増大を示しており、望ましくない変化です。正しくは:基本チェックリストの該当項目数の増加は、生活機能の低下やフレイルリスクの増大を示し、望ましくありません。選びやすい理由:「項目数が増える」という表現から、何か活動が増えたと誤解する可能性がありますが、これはリスク項目を指します。混同注意:チェックリストの項目数が多い方が「良い」と勘違いする可能性があり、リスク評価であることを理解していないと誤ります。
国試ポイント
高齢者における各種評価指標の解釈能力、特にその数値が「高い方が良いのか」「低い方が良いのか」を正確に理解しているかが問われます。BMI、FBS、TUG、MMSE、基本チェックリストといった代表的な評価ツールの目的と、それぞれの点数変化が意味する臨床的意義を把握することが重要です。
混同注意
各評価指標において、数値の増減が「好ましい」のか「好ましくない」のかが逆転しているものがあるため、混同しやすいです。例えば、FBSは点数上昇が好ましいですが、TUGは秒数減少が好ましく、MMSEは点数維持・上昇が好ましいです。これらを正確に区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
もし特定の評価指標で望ましくない変化が見られた場合、次にどのような介入や詳細な評価を行うべきか、その具体的な内容を判断する能力が求められます。例えば、TUGの悪化があれば、バランス訓練や筋力強化、環境整備などの介入が考えられます。
関連知識
高齢者のフレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドローム、認知症の評価と介入。転倒予防のための身体機能評価(バランス、歩行能力)。低栄養のスクリーニング。地域包括ケアシステムにおける多職種連携と評価。健康寿命の延伸に向けた取り組み。