関節を他動的に動かしたときの正常な最終域感と関節運動の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
膝関節の完全な屈曲は、大腿後面と下腿後面の軟部組織が接触することによって制限されます。この時の最終域感は、クッション性のある軟らかい感触であり、『軟部組織の接近』というカテゴリーに分類されます。これはFryetteの分類における典型的な例の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 手指MP関節の伸展の最終域感は、主に緊張した関節包や側副靱帯によるものであり、骨性のエンドフィールではありません。骨性のエンドフィールは、骨と骨が衝突することで感じる硬い感触です。正しくは:手指MP関節伸展の最終域感は、関節包・靱帯性です。選びやすい理由:骨性のエンドフィールは、他の部位では見られるため、選択肢として提示されると迷う可能性があります。混同注意:他の関節の骨性エンドフィール(例:肘関節伸展)と混同しやすい。
- 2. SLRの最終域感は、主にハムストリングスなどの股関節屈筋群の『筋の伸張』によるものです。靱帯の伸張によるエンドフィールではありません。正しくは:下肢伸展挙上(SLR)の最終域感は、筋の伸張性です。選びやすい理由:靱帯も関節の安定性に関わるため、最終域感に影響すると考えるかもしれませんが、SLRでは筋の伸張が主要な因子です。混同注意:膝関節などの安定性における靱帯の役割と、SLRでの主要な制限因子(筋)を混同しやすい。
- 3. 正解。膝関節を完全に屈曲させた際の最終域感は、大腿後部の軟部組織(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋などのハムストリングスと下腿後部の腓腹筋や皮下組織)が接触することによって生じる、軟らかく弾力のある感触です。これは『軟部組織の接近』に該当します。正しくは:これは正しい組み合わせです。選びやすい理由:この選択肢は正解なので、誘惑の要素は少ないです。
- 4. 肘関節伸展の正常な最終域感は、主に肘頭が肘頭窩に当たる『骨性』のエンドフィールです。筋の伸張感ではありません。正しくは:肘関節伸展の最終域感は、骨性です。選びやすい理由:肘関節の屈筋群の伸張も感じられるため、筋の伸張感を選んでしまう可能性がありますが、正常な最終域感は骨性です。混同注意:筋の柔軟性によって感じ方が変わるため、正常なエンドフィールと混同しやすい。
- 5. 前腕の最大回外の最終域感は、主に骨間膜や橈尺靱帯の伸張による『靱帯の伸張』のエンドフィールです。関節包の伸張が主たる因子ではありません。正しくは:前腕回外の最終域感は、靱帯の伸張性です。選びやすい理由:関節包も関節の動きに関与するため、伸張が最終域感に影響すると考えがちです。混同注意:肘関節や肩関節など、関節包が主要な制限因子となる他の関節運動と混同しやすい。
国試ポイント
関節の他動運動における正常な最終域感(エンドフィール)の種類と、それに該当する代表的な関節運動の組み合わせについて理解しているかが問われています。骨性、靱帯性、筋の伸張性、軟部組織の接近、関節包の伸張性といった主要なエンドフィールの分類と、それぞれの特徴的な部位と運動を正確に結びつける知識が求められます。
混同注意
各エンドフィールの定義とその代表例が多いため、それぞれの運動がどのエンドフィールに該当するかを混同しやすい。特に、筋の伸張感と靱帯の伸張感、関節包の伸張感を区別することが難しい場合があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、各関節運動の主要な制限因子が何かを考える。例えば、SLRはハムストリングスの伸張、肘関節伸展は骨性衝突、前腕回外は骨間膜・橈尺靱帯の伸張など、各運動における最も支配的なエンドフィールを識別できるように学習しておくことが重要である。また、異常なエンドフィールについても理解を深めておく。
関連知識
関節の他動運動の最終域感(エンドフィール)は、正常なものと異常なものに分類される。正常なエンドフィールには、骨性(骨同士の接触)、靱帯性(靱帯の伸張)、筋の伸張性(筋や腱の伸張)、軟部組織の接近(軟部組織の衝突)、関節包性(関節包の伸張)などがある。これらの知識は、ROM測定時の評価や徒手理学療法を行う上で非常に重要となる。