25 cmの高さの段差にスロープを設置する。車椅子の自走を想定した場合のスロープの長さで最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
車椅子を自走する方が安全かつ自力でスロープを利用できるようにするためには、勾配を1/12以下にすることが一般的かつ推奨される基準です。高さ25cmの段差を1/12の勾配で解消するためには、25cm × 12 = 300cm、つまり3.0mの長さが必要となります。選択肢の中で最もこの基準を満たし、自走に適しているのは3.0mです。
選択肢ごとの解説
- 1. この長さでは、25cmの段差に対して1/4の勾配(約14度)となり、車椅子の自走には非常に急すぎます。安全性が確保できず、転倒や転落のリスクが高いです。正しくは:車椅子の自走を想定する場合、一般的には勾配を1/12(約4.8度)以下にする必要があります。この勾配で25cmの段差を解消するには、最低でも3.0mの長さが必要です。選びやすい理由:スロープの設置場所が狭い場合など、短い方が便利だと考えるかもしれませんが、自走での安全性を優先すべきです。混同注意:介助者が押す場合や、一時的な使用(例えば引っ越し時など)で短いスロープを使う状況と混同している可能性があります。しかし、本問は「自走」を想定しています。
- 2. この長さでは、25cmの段差に対して1/6の勾配(約9.5度)となり、車椅子の自走にはまだ急すぎます。自力での上り下りは困難で、特に下り坂では危険が伴います。正しくは:車椅子の自走に適した勾配である1/12に近づけるためには、より長いスロープが必要です。25cmの段差に対し1/12の勾配にするには3.0mの長さが適切です。選びやすい理由:公共施設などで見かける一般的なスロープが短いと感じる場合や、少しの勾配なら自力でいけるのではと考えるかもしれませんが、安全な自走の基準を満たしません。混同注意:短時間の利用や、介助者がいる場合の勾配基準と混同しやすいです。自走の場合は、介助の場合よりも緩やかな勾配が求められます。
- 3. この長さでは、25cmの段差に対して1/8の勾配(約7.1度)となり、車椅子の自走には依然として急です。熟練者でも非常に困難であり、非熟練者には危険が大きいです。介助者がいる場合でも、勾配としてはきつい部類に入ります。正しくは:自走を前提とする場合、勾配は1/12(約4.8度)以下が望ましいとされており、25cmの段差には最低3.0mの長さが必要です。1/8は介助で許容される勾配の一つです。選びやすい理由:1/8勾配は公共施設の一部で許容される基準ではありますが、これは主に介助付きの利用を想定したものです。自走という条件を見落とすと選択肢として有力に見えます。混同注意:「建築基準法」や「バリアフリー法」におけるスロープの勾配基準のうち、介助を前提としたものや、短い距離での例外的な勾配と混同している可能性があります。
- 4. この長さでは、25cmの段差に対して1/10の勾配(約5.7度)となり、車椅子の自走にはまだ困難なレベルです。一部の健常者が一時的に使う程度なら可能かもしれませんが、日常的に車椅子を自走する利用者にとっては負担が大きく、安全とは言えません。正しくは:車椅子の自走を想定する一般的な基準では1/12勾配が推奨されており、25cmの段差には3.0mの長さが適しています。1/10勾配は、介助者がいる場合に許容される限界に近い値です。選びやすい理由:1/10という勾配は、介助付きであれば比較的よく見られる基準であるため、自走の場合もこれくらいで良いのでは、と誤解する可能性があります。混同注意:介助者がいる場合の勾配基準や、一時的なスロープの設置基準と混同しやすいです。自走の難易度と安全性を十分に考慮できていない可能性があります。
- 5. 正解。高さ25cmの段差に対して長さ3.0mのスロープを設置すると、勾配は1/12(25cm/300cm = 1/12)となります。この勾配は、車椅子を自走する方にとって、比較的安全に、そして自力で上り下りできる目安とされる標準的な勾配です。介助なしでの安全な利用を考慮すると、この長さが最も適切と言えます。
国試ポイント
本問題は、車椅子利用者の自走を想定したスロープの適切な勾配(傾斜)とそれに対応する長さに関する知識を問うものです。特に、バリアフリー設計における勾配基準の理解が求められます。
混同注意
介助者が車椅子を押す場合の勾配(1/8〜1/10程度でも許容される場合がある)と、自走の場合の勾配(1/12以下が推奨)を混同しやすいです。また、建築基準法やバリアフリー法における詳細な勾配基準(例:踊り場の設置、手すりの要否、長さによる勾配制限など)との関連で混乱することもあります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず「誰が(自走か介助か)」「何の目的で(移動の円滑化、一時的な利用か)」「どのくらいの段差を」解消するのかという条件を正確に読み取ることが重要です。特に「自走」というキーワードは、より緩やかな勾配が必要であることを示唆しています。
関連知識
・車椅子スロープの勾配基準(自走 vs 介助) ・バリアフリー法、建築基準法、ハートビル法、高齢者・障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)などにおけるスロープの設置基準 ・スロープの安全性に関する知識(長さ、幅、手すりの有無、滑り止め、踊り場の必要性など) ・車椅子の種類と操作性(手動車椅子、電動車椅子など)