重症筋無力症で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
重症筋無力症では、筋の易疲労性が特徴であるため、過度な運動は避けるべきですが、筋力維持やADL向上には適切な運動が重要です。そのため、休息と活動のバランスを取りながら、徐々に運動量を増やす漸増負荷が推奨されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。重症筋無力症では筋の易疲労性が特徴であるため、過度な活動は症状を悪化させます。しかし、筋力維持のためには適切な運動が不可欠であり、疲労を考慮しながら休息を挟み、少しずつ運動量を増やしていく漸増負荷が推奨されます。
- 2. 重症筋無力症の症状には日内変動が見られますが、活動量が増えることで筋が疲労し、一般的には夕方にかけて症状が悪化する傾向があります。午前中は比較的症状が軽いことが多いです。正しくは:症状は日内変動を示し、通常は午後の時間帯(特に夕方)に悪化する。選びやすい理由:日内変動があること自体は重症筋無力症の特徴であるため、「午前中」という具体的な時間帯の部分を見落とすと正しい記述だと誤解しやすいです。混同注意:日内変動がある他の疾患(例:うつ病の一部症状)や、単純に日内変動の存在のみを覚えていて時間帯を誤認する可能性があります。
- 3. 重症筋無力症では、低頻度反復刺激による神経伝導検査において、複合筋活動電位(CMAP)が徐々に減少するwaning(漸減)現象が特徴的に観察されます。waxing(漸増)現象は、ランバート・イートン筋無力症候群で見られる電気生理学的所見です。正しくは:低頻度反復刺激による神経伝導検査では、筋電図にwaning(漸減)現象が現れる。選びやすい理由:神経伝導検査の所見が疾患診断に重要であることは正しいですが、waningとwaxingを混同しやすい知識であるため、間違って選択しやすいです。混同注意:重症筋無力症とランバート・イートン筋無力症候群の電気生理学的所見を混同する可能性があります。
- 4. 重症筋無力症の病態は、神経筋接合部のシナプス後膜にあるアセチルコリン受容体に対する自己抗体によって、受容体が障害されることにあります。運動神経終末からのアセチルコリン放出自体は、通常保たれています。アセチルコリン放出の障害は、ランバート・イートン筋無力症候群の病態です。正しくは:神経筋接合部のアセチルコリン受容体が自己抗体によって障害される。選びやすい理由:アセチルコリンが病態に関連していること自体は正しいですが、その障害部位(放出側か受容体側か)の違いを明確に理解していないと、この選択肢を選んでしまいやすいです。混同注意:重症筋無力症とランバート・イートン筋無力症候群の病態生理を混同しやすいです。どちらも神経筋接合部の機能障害ですが、原因となる部位が異なります。
- 5. 重症筋無力症クリーゼでは、呼吸筋(横隔膜や肋間筋など)の麻痺によって肺を十分に膨らませることができなくなり、換気量が減少します。これは肺自体の拡張が制限される「拘束性換気障害」に分類され、気道が狭くなる「閉塞性換気障害」(喘息やCOPDなど)とは異なります。正しくは:クリーゼによる呼吸機能の悪化は、拘束性換気障害として生じる。選びやすい理由:重症筋無力症クリーゼが呼吸機能悪化の原因であることは事実であるため、換気障害の種類(閉塞性か拘束性か)の誤りを見落としやすいです。混同注意:閉塞性換気障害と拘束性換気障害の概念、およびそれぞれの代表疾患を混同しやすいです。
国試ポイント
重症筋無力症では、病態(アセチルコリン受容体抗体)、主な症状(易疲労性、日内変動、眼瞼下垂・複視、嚥下障害など)、電気生理学的検査所見(waning現象)、治療(薬物療法、胸腺摘除術)、およびクリーゼ時の対応と換気障害の種類(拘束性)が繰り返し問われます。また、鑑別疾患であるランバート・イートン筋無力症候群との違いも重要です。
混同注意
ランバート・イートン筋無力症候群(病態、筋電図所見、アセチルコリン放出障害)、ボツリヌス症(アセチルコリン放出抑制)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や多発性硬化症など、他の神経筋疾患との症状や検査所見の鑑別。
次に同じ論点が出たら
重症筋無力症に関する問題が出題された際は、まず病態(自己抗体の標的)、日内変動のパターン、検査所見(筋電図)、クリーゼ時の呼吸障害の種類(拘束性か閉塞性か)、そしてランバート・イートン症候群との鑑別点を明確に区別できているかを確認してください。
関連知識
ミエリン脱髄と神経筋接合部障害の比較、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の作用機序、免疫抑制剤、ステロイドの役割、クリーゼの種類(筋無力症クリーゼ、コリン作動性クリーゼ)。