65歳の女性。右膝関節の痛みを主訴に来院した。右膝関節に軽度の屈曲制限があり、右内側広筋が軽度萎縮している。歩行時に内反膝を呈し、階段昇降時に右膝関節内側の痛みを強く感じている。装具療法で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
内反膝の患者では、歩行時や階段昇降時に膝関節内側への過剰な荷重ストレスが生じ、痛みの原因となります。外側ウェッジソールは、靴底の外側に厚みを持たせることで、床反力作用線を外側に誘導し、膝関節内側への負担を軽減し、内反変形を矯正する効果があります。これは変形性膝関節症の内側型に対する標準的な保存療法の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. これは主に足部のロッキング機能を補助し、歩行時の蹴り出しを改善するために使用されるもので、膝関節の内反変形による痛みの軽減には直接寄与しません。正しくは:ロッカーバーは、歩行時の足関節可動域制限や足底部の荷重分散を目的とする場合に適しています。選びやすい理由:装具の知識が不確かな場合、漠然とした歩行補助というイメージから選んでしまうかもしれません。混同注意:ロッカーバーは足部の変形や足関節の機能不全に対するものであり、膝の内反変形とは直接関連が薄いです。
- 2. トーマスヒールは主に扁平足などの足部内側縦アーチの支持・矯正を目的としたものであり、膝関節の内反変形による荷重ストレスを軽減する効果は期待できません。正しくは:トーマスヒールは、内側縦アーチの低下による足部痛や変形に対して適用されます。選びやすい理由:足部に関連する装具なので、足部から膝関節への影響を考えようとして誤って選ぶ可能性があります。混同注意:扁平足などの足部の変形に対する装具と、膝関節の変形に対する装具を混同するかもしれません。
- 3. メタタルザルバーは、中足骨頭部への荷重を分散し、足底の痛みを軽減することを目的としたものです。膝関節の内反変形が原因の痛みを改善する効果はありません。正しくは:メタタルザルバーは、中足骨頭痛やモートン病など、足趾の付け根の痛みに使用されます。選びやすい理由:足部装具の知識が曖昧だと、他の足部疾患と混同して選ぶ可能性があります。混同注意:足根部の痛みを伴う疾患と、膝関節の荷重による痛みを混同する可能性があります。
- 4. 正解。内反膝の患者は、膝関節の内側に過度な荷重がかかり痛みを引き起こしています。外側ウェッジソールを靴底の外側に装着することで、床反力作用線を外側に移動させ、膝関節内側への負担を軽減し、内反変形を矯正する効果が期待できます。これは変形性膝関節症(内側型)に対する一般的な装具療法です。
- 5. 内反膝ではすでに膝関節の内側に過度な荷重がかかっているため、内側ウェッジソールを装着するとさらに内側への荷重ストレスが増大し、痛みを悪化させる可能性があります。これは外反膝(膝関節の外側への負担)に対して使用される装具です。正しくは:内側ウェッジソールは、外反膝(X脚)の患者で膝関節の外側に過度な荷重がかかっている場合に、荷重を内側に移動させる目的で使用されます。選びやすい理由:「内反膝だから内側」と安易に考えてしまうと誤って選択してしまう可能性があります。あるいは、"内側"という言葉から、内側広筋の萎縮と結びつけて考えてしまうかもしれません。混同注意:内反膝と外反膝の病態、およびそれぞれの治療に必要なウェッジソールの方向を混同しやすいです。
国試ポイント
変形性膝関節症(特に内側型)の病態理解と、それに対する装具療法の選択に関する知識が問われています。膝関節の内反・外反変形と、ウェッジソールの作用方向を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
内反膝と外反膝に対するウェッジソールの方向を逆にしてしまうこと。足部の疾患に対する装具と、膝関節の疾患に対する装具を混同すること。
次に同じ論点が出たら
患者の膝関節の変形方向(内反膝か外反膝か)、痛みの部位(内側か外側か)をまず確認し、それに応じて荷重ストレスを軽減するための装具の方向(外側ウェッジか内側ウェッジか)を判断します。
関連知識
変形性膝関節症(OA)の病態生理(特に荷重メカニズム)。床反力作用線とアライメントの関係。その他の代表的な足部・膝関節装具の適応。装具療法の目的(免荷、安定性向上、変形矯正など)。