関節リウマチに対する運動療法で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
関節リウマチの運動療法では、炎症の程度や関節の安定性を考慮することが極めて重要です。特に活動期や関節破壊が進行している場合は、関節への負担を最小限に抑えつつ、筋力維持や機能低下の予防を目指します。等尺性運動は関節を動かさないため、疼痛を誘発しにくく、炎症性関節炎の急性期や関節の安定性が低下している状況でも、安全に筋力維持を行うための有効な手段となります。他の選択肢は、関節リウマチの病態を考慮すると禁忌や不適切な内容を含んでいます。
選択肢ごとの解説
- 1. 活動期でも愛護的な自動介助運動や自動運動、他動運動は疼痛の範囲内で実施され、関節の拘縮予防のために重要です。完全に可動域運動を行わないと、関節拘縮が進行するリスクが高まります。正しくは:活動期であっても、炎症が落ち着いていれば、痛みのない範囲で関節可動域運動を愛護的に行うべきである。選びやすい理由:炎症がある時に動かすと悪化するという一般論から、完全に動かさない方が良いと考えてしまうかもしれません。混同注意:安静の原則と、関節機能維持のための運動の必要性が混同されがちです。
- 2. 環軸椎亜脱臼がある場合、頸椎の可動域運動は脊髄損傷のリスクがあるため禁忌です。特に屈曲や回旋運動は危険です。正しくは:環軸椎亜脱臼がある場合は、頸椎の可動域運動は禁忌であり、厳重な管理下でなければ行ってはならない。選びやすい理由:関節の機能維持のためには運動が必要という考えから、頸椎にも当てはまると誤解する可能性があります。混同注意:一般的な関節の可動域運動の重要性と、環軸椎亜脱臼という特定の重篤な状態での禁忌が混同されやすいです。
- 3. 関節が強直してしまっている場合、すでに骨性や線維性で固まっているため、可動域運動を試みても効果は限定的であり、無理に行うと関節や周囲組織を損傷する危険性があります。正しくは:関節が強直している場合は、可動域訓練は効果が期待できないため、無理に行うべきではない。選びやすい理由:可動域の改善を目指すというリハビリテーションの一般的な目標から、強直していても運動を試みると考えてしまうかもしれません。混同注意:関節拘縮の予防・改善のための運動と、完全に強直した関節への運動が混同されがちです。
- 4. 正解。関節リウマチでは炎症による関節破壊や痛みのために関節運動が制限されやすく、筋力低下を招きやすいです。等尺性運動は関節を動かさないため、関節への負担が少なく、筋力維持に有効な方法です。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:この選択肢は正しい記述です。混同注意:等尺性運動のメリットが正しく理解されていない場合、他の運動形式と比べてその有効性を見落とすことがあります。
- 5. ムチランス変形(オペラグラス手など)は、関節の骨破壊が進行し、支持性が失われ不安定になっている状態です。このような関節に他動運動を行うと、さらに変形を助長したり、軟部組織を損傷したりするリスクが非常に高いため禁忌です。正しくは:ムチランス変形が見られる関節に対しては、他動運動は禁忌であり、装具などで保護し安静を保つ必要がある。選びやすい理由:一般的に他動運動は関節可動域を維持・改善する目的で使われるため、ここでも有効だと考えてしまうかもしれません。混同注意:一般的な関節可動域維持のための他動運動と、重度な関節破壊による不安定性(ムチランス変形)への対応が混同されやすいです。
国試ポイント
関節リウマチにおける運動療法の適応と禁忌、および病期や病態に応じた適切な方法を問う問題です。特に、炎症の活動性、関節の不安定性(環軸椎亜脱臼、ムチランス変形)、関節強直といった病態ごとの注意点が頻出です。
混同注意
関節リウマチの運動療法では、炎症が強い時期と寛解期での対応の違い、そして関節破壊の程度に応じた運動の選択が混乱しやすいポイントです。特に、関節可動域運動や筋力増強運動の適応・禁忌を正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、活動期の運動療法(愛護的な自動介助運動・自動運動)、禁忌となる運動(環軸椎亜脱臼、ムチランス変形時の他動運動)、そして関節保護の原則に基づいた運動(筋力維持のための等尺性運動、温熱療法との併用)に注目して判断します。
関連知識
関節リウマチの病態生理、活動期と寛解期、疾患活動性評価(DAS28など)、薬物療法、装具療法。環軸椎亜脱臼の合併症(脊髄症状)、ムチランス変形の進行度。関節保護の原則。