Wallenberg症候群に関連する摂食嚥下障害はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Wallenberg症候群(延髄外側症候群)では、延髄外側の障害により、舌咽神経や迷走神経の核が影響を受けます。特に迷走神経背側運動核の機能不全は、輪状咽頭筋の弛緩障害を引き起こし、食道入口部(上部食道括約筋)の開大不全を招きます。このため、咽頭期における食塊の通過障害が生じ、誤嚥のリスクが高まります。
選択肢ごとの解説
- 1. 半側空間無視は通常、大脳半球の損傷(特に右半球)により生じ、Wallenberg症候群の原因となる脳幹(延髄)の損傷とは部位が異なります。先行期障害は起こりえますが、Wallenberg症候群に特異的ではありません。正しくは:半側空間無視は、Wallenberg症候群の主要な症状ではありません。選びやすい理由:摂食嚥下障害の一因として先行期障害や半側空間無視が挙げられるため、関連性があるように見えるかもしれません。混同注意:大脳損傷による認知機能障害と、脳幹損傷による神経麻痺や感覚障害。
- 2. 観念失行は、行為の概念的な計画が障害されるもので、大脳皮質の広範な損傷、特に頭頂葉や前頭葉の損傷と関連が深いです。これもWallenberg症候群の原因となる脳幹(延髄)の損傷とは部位が異なります。正しくは:観念失行は、Wallenberg症候群の主要な症状ではありません。選びやすい理由:失行も摂食嚥下障害の一因として知られているため、一般的な知識として選んでしまう可能性があります。混同注意:大脳損傷による高次脳機能障害と、脳幹損傷による下位脳神経症状。
- 3. Wallenberg症候群の病変部位(延髄外側部)は、顔面神経核の支配領域とは異なります。Wallenberg症候群では、三叉神経の感覚障害や舌咽神経・迷走神経の運動麻痺が主であり、直接的な顔面神経麻痺は通常伴いません。正しくは:Wallenberg症候群では、顔面神経麻痺は通常見られません。三叉神経の感覚障害や舌咽神経・迷走神経の機能不全による症状が口腔期・咽頭期に影響を与えます。選びやすい理由:脳卒中後に顔面麻痺が生じやすく、それが嚥下障害の原因となることは事実であるため、関連性があるように感じるかもしれません。混同注意:他の種類の脳卒中による神経麻痺と、Wallenberg症候群に特徴的な神経麻痺。
- 4. 正解。Wallenberg症候群では、迷走神経核の障害により、輪状咽頭筋の弛緩不全が生じやすく、これが食道入口部(上部食道括約筋)の開大不全を引き起こし、咽頭期の嚥下障害の主な原因となります。これはWallenberg症候群に特徴的な症状の一つです。正しくは:この選択肢は正しい説明です。選びやすい理由:専門的な知識が必要ですが、Wallenberg症候群の病態生理を理解していれば正確に選択できます。混同注意:他の部位の嚥下障害や、Wallenberg症候群以外の原因による食道入口部開大不全。
- 5. 胃食道逆流は、下部食道括約筋の機能不全や胃内容物の逆流によるものであり、Wallenberg症候群の病態(脳幹の虚血性病変)とは直接的な因果関係がありません。食道期の障害ではありますが、Wallenberg症候群に特異的なものではありません。正しくは:胃食道逆流はWallenberg症候群に直接関連する嚥下障害ではありません。選びやすい理由:嚥下障害全般の原因として胃食道逆流が挙げられるため、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:脳神経障害による嚥下障害と、消化器系の機能不全による嚥下障害。
国試ポイント
Wallenberg症候群の主要な症状と、それらが引き起こす摂食嚥下障害の具体的な病態生理を理解しているかが問われています。特に脳幹病変と関連する下位脳神経の機能障害、そしてそれが嚥下過程のどの期に影響するかを正確に把握している必要があります。
混同注意
脳幹病変以外の原因による摂食嚥下障害(大脳病変による高次脳機能障害、末梢神経障害、食道そのものの疾患など)と混同しやすいです。また、顔面神経麻痺と舌咽・迷走神経麻痺の区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、Wallenberg症候群以外の特定の神経疾患(例:ALS、パーキンソン病、多発性硬化症など)や脳卒中のタイプ(例:皮質性、皮質下性など)と、それらに特徴的な摂食嚥下障害のパターン(先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期のどこに障害が出やすいか、具体的な症状は何か)を問う問題が予想されます。
関連知識
Wallenberg症候群の他の症状(Horner症候群、小脳症状、三叉神経感覚障害、温痛覚障害、嗄声、嚥下障害、めまいなど)、脳幹の解剖学的知識と各脳神経の支配領域、嚥下各期のメカニズム。