呼吸機能検査、血液ガス検査の結果を示す。 呼吸機能検査:%VC 54%、FEV₁% 82%、静肺コンプライアンス 0.09 L/cmH₂O(基準値 0.15〜0.30) 血液ガス検査:PaO₂ 66 Torr、PaCO₂ 32 Torr、HCO₃⁻ 23.0 mEq/L、pH 7.48 この結果の解釈として正しいのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
この問題は、呼吸機能検査と血液ガス検査の複数の項目を総合的に判断する能力を問うものです。まず呼吸機能検査では、%VCが低下(54%)し、FEV%が正常(82%)であることから、拘束性換気障害のパターンであることがわかります。さらに静肺コンプライアンスが基準値より低い(0.09 L/cmH₂O)ことから、肺の伸展性低下が拘束性換気障害の原因となっていると判断できます。よって選択肢5は正しいです。 次に血液ガス検査では、pHが7.48とアルカリ性に傾き、PaCO₂が32 Torrと低下していることから、呼吸性の過換気による呼吸性アルカローシスであることがわかります。よって選択肢3も正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 気道狭窄を評価する主な指標であるFEV%(1秒率)は82%であり、正常範囲(通常70%以上)であるため、気道狭窄を示唆する所見ではありません。正しくは:FEV%が70%未満であれば、気道狭窄(閉塞性換気障害)を疑います。選びやすい理由:VCが低下しているため、肺機能全体に問題があると感じ、広範な病態を想像してしまう可能性があります。混同注意:拘束性換気障害と閉塞性換気障害の判別指標を混同しやすいです。
- 2. 肺胞低換気ではPaCO₂が上昇します。しかし、今回の血液ガス検査ではPaCO₂が32 Torrと基準値(通常35〜45 Torr)より低く、肺胞過換気の状態を示しています。正しくは:肺胞低換気であればPaCO₂は45 Torr以上に上昇します。選びやすい理由:PaO₂が低い(低酸素血症)ため、低換気によるものと早合点してしまう可能性があります。混同注意:低酸素血症の原因とPaCO₂の変化を混同しやすいです。低酸素血症の原因は低換気以外にも拡散障害などがあります。
- 3. 正解。血液ガス検査結果において、pHが7.48と基準値(7.35〜7.45)より高く、PaCO₂が32 Torrと基準値(35〜45 Torr)より低いことから、呼吸性の過換気により酸性物質(CO₂)が排泄され、アルカリ性に傾いている状態、すなわち呼吸性アルカローシスと診断されます。
- 4. 拡散障害の主な特徴は低酸素血症ですが、PaCO₂は基準値(35〜45 Torr)を下回る32 Torrであり、高二酸化炭素血症ではありません。拡散障害ではCO₂の透過性がO₂より高いため、CO₂貯留は起きにくく、むしろ低酸素を代償するための過換気によりPaCO₂は低下することが多いです。正しくは:拡散障害ではPaCO₂は低下するか、少なくとも高二酸化炭素血症にはなりません。選びやすい理由:PaO₂が低いことから拡散障害を連想し、呼吸器の異常全体として高二酸化炭素血症も起こりうると考えてしまう可能性があります。混同注意:低酸素血症と高二酸化炭素血症の原因を混同しやすいです。特に拡散障害時のCO₂挙動を誤解しやすいです。
- 5. 正解。呼吸機能検査結果において、%VC(努力性肺活量率)が54%と基準値(通常80%以上)を下回って低下している一方で、FEV%(1秒率)は82%と正常範囲であることから、拘束性換気障害のパターンを示しています。また、静肺コンプライアンスが0.09 L/cmH₂Oと基準値(0.15〜0.30 L/cmH₂O)より明らかに低下しており、これは肺の伸展性が低下していることを意味し、拘束性換気障害の主要な原因となります。
国試ポイント
呼吸機能検査と血液ガス検査の複数の指標を組み合わせて、疾患の病態を正確に判断する能力が問われています。特に、%VC、FEV%、静肺コンプライアンスの関係性から換気障害の種類を判別すること、およびpH、PaCO₂、HCO₃⁻の関係性から酸塩基平衡異常の種類を判別することが重要です。低酸素血症の原因やPaCO₂の変動パターンを正確に理解しているかも試されています。
混同注意
拘束性換気障害と閉塞性換気障害の判別基準(%VCとFEV%)を混同しやすいです。また、呼吸性アシドーシス/アルカローシスと代謝性アシドーシス/アルカローシスの判別、そして低酸素血症の原因(低換気、拡散障害、換気血流不均等など)とPaCO₂の変化の関係性を誤解しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の症例問題が出た場合、まず%VCとFEV%で換気障害のタイプを特定し、次に静肺コンプライアンスで拘束性の原因を補強します。その上で血液ガス検査のpHとPaCO₂、HCO₃⁻から酸塩基平衡異常の種類を特定します。特にPaO₂低下の原因が何か(PaCO₂の変化と合わせて)を吟味するようにしましょう。
関連知識
閉塞性換気障害: FEV%低下、%VC正常〜軽度低下。原因は気管支喘息、COPDなど。拘束性換気障害: %VC低下、FEV%正常〜高値。原因は間質性肺炎、肺線維症、胸郭の異常など。血液ガス分析: pH、PaCO₂、HCO₃⁻の関係性から酸塩基平衡異常(アシドーシス/アルカローシス、呼吸性/代謝性)を診断。低酸素血症の原因には、肺胞低換気、換気血流不均等、拡散障害、シャント、吸入酸素濃度低下などがあり、それぞれPaCO₂の変化パターンが異なる。