細菌の産生する毒素が症状の原因となるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3・5番(いずれも正解)
解説
【公式の取扱い】この問題は1つを選ぶ形式ですが、公式の正答表では1・3・5のいずれも正解とされています。 細菌性食中毒はその原因メカニズムにより、毒素型、感染型、中間型に分類されます。毒素型は細菌が産生した毒素を食品とともに摂取することで発症し、感染型は生きた細菌を摂取し、それが腸管内で増殖したり、腸管上皮に侵入したりすることで発症します。本設問で毒素が症状の主な原因となるのは、赤痢菌(シガ毒素)、ボツリヌス菌(ボツリヌス毒素)、腸管出血性大腸菌(ベロ毒素)です。サルモネラとカンピロバクターは感染型に分類されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。赤痢菌は、宿主細胞に侵入して増殖し、シガ毒素(Shiga toxin)を産生することで、腸管の炎症や出血性下痢などの症状を引き起こします。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:食中毒の原因菌として、菌そのものが原因と誤解しやすいですが、毒素も重要な要因です。混同注意:他の食中毒菌との鑑別が重要です。
- 2. サルモネラは、主に菌が腸管内で増殖し、腸管上皮細胞への侵入や炎症反応によって症状を引き起こします。毒素も一部関与しますが、菌の直接的な増殖と侵入が症状の原因としてより支配的です。正しくは:サルモネラが産生する毒素が主原因ではありません。菌の直接的な作用が主な原因です。選びやすい理由:一般的な食中毒菌であり、毒素型食中毒もあると誤解しやすいかもしれません。混同注意:毒素型食中毒と感染型食中毒の分類を理解しているかが問われます。
- 3. 正解。ボツリヌス菌は、非常に強力な神経毒であるボツリヌス毒素を産生し、これが神経伝達を阻害することで麻痺などの重篤な症状を引き起こします。菌自体が感染して増殖するよりも、毒素の摂取が症状の直接的な原因となります(乳児ボツリヌス症を除く)。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:乳児ボツリヌス症のように菌の感染が関与するケースもあるため、完全に毒素型と断定することに躊躇するかもしれません。混同注意:乳児ボツリヌス症と成人ボツリヌス症での病態の違いを理解している必要があります。
- 4. カンピロバクターは、腸管上皮細胞に感染・増殖し、炎症を引き起こすことで下痢などの症状を呈します。毒素も産生しますが、菌の直接的な感染と増殖が主な病態です。正しくは:カンピロバクターが産生する毒素が主原因ではありません。菌の直接的な作用が主な原因です。選びやすい理由:近年食中毒の原因として注目されており、毒素も関係すると推測する可能性があります。混同注意:細菌性食中毒の病原メカニズムの違いを正確に把握しているかが問われます。
- 5. 正解。腸管出血性大腸菌(特にO157など)は、ベロ毒素(Verotoxin, Shiga-like toxin)を産生し、これが腸管出血や溶血性尿毒症症候群(HUS)などの重篤な合併症を引き起こす主要な原因となります。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:大腸菌という名称から、一般的な感染型食中毒菌と誤解する可能性があります。混同注意:毒素原性大腸菌(ETEC)など、他の病原性大腸菌との鑑別が必要です。
国試ポイント
細菌性食中毒の原因菌とその病原メカニズム(毒素型、感染型)の正確な理解が問われています。特に、各菌がどのような毒素を産生し、それがどのように症状を引き起こすかを把握しておくことが重要です。
混同注意
食中毒の原因となる細菌は多岐にわたり、それぞれ毒素産生、菌の増殖、腸管侵入など、病態が複雑に絡み合っています。特に、毒素を産生するが感染型に分類される菌と、毒素が症状の主因となる毒素型・中間型の菌との区別が曖昧になりがちです。
次に同じ論点が出たら
この問題で正答できなかった場合、細菌性食中毒に関する知識が不十分であると考えられます。特に、各細菌の病原メカニズムと代表的な毒素について、さらに詳細な学習が必要です。
関連知識
細菌性食中毒の分類(毒素型、感染型、中間型)、各菌の主な症状、潜伏期間、代表的な毒素の名称とその作用機序、治療法など。