慢性閉塞性肺疾患患者に推奨されないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
COPD患者は呼吸困難や炎症によるエネルギー消費の増大、食欲不振などから低栄養に陥りやすく、体重減少が予後悪化因子の一つとされています。そのため、十分なエネルギー摂取を促すための食事指導が重要であり、一般的には高脂肪・高エネルギー食が推奨されます。低脂肪食はエネルギー摂取を制限する可能性があり、COPD患者の栄養管理としては推奨されません。他の選択肢はCOPDの標準的な治療や管理の一部として推奨されるものです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。COPD患者では、呼吸困難によるエネルギー消費の増加や食欲不振のため、低栄養状態に陥りやすい傾向があります。そのため、エネルギー摂取量を確保するために、むしろ高脂肪・高エネルギー食が推奨されることが多いです。低脂肪食はエネルギー摂取を制限する可能性があり、推奨されません。正しくは:COPD患者には、体重減少や低栄養を防ぐために、高脂肪・高エネルギー食が推奨されます。選びやすい理由:一般的な生活習慣病(高脂血症など)の予防として低脂肪食が良いとされているため、健康的な選択肢に思われがちです。混同注意:他の生活習慣病や心血管疾患の食事療法と混同しやすいです。
- 2. COPD患者で動脈血酸素分圧が低い場合(PaO2 55Torr以下、または55Torr超60Torr以下で労作時低酸素血症や肺高血圧、心不全を伴う場合など)は、低酸素状態の改善、運動耐容能の向上、生命予後の改善のために在宅酸素療法が強く推奨されます。選びやすい理由:酸素療法は特別な治療であるため、何か副作用やリスクがあるのではないかと考える人もいるかもしれません。混同注意:酸素の過剰投与によるCO2ナルコーシスと混同して、在宅酸素療法自体を否定的に捉える可能性。しかし、これは適切な管理下で行われるべき治療です。
- 3. COPD患者は呼吸補助筋として上肢の筋を使用することが多く、また上肢運動はADLに直結するため、上肢の筋力トレーニングは呼吸リハビリテーションの一環として重要です。運動耐容能やQOLの改善に繋がります。選びやすい理由:呼吸困難があるため、上肢の運動が呼吸に負担をかけると考えるかもしれませんが、適切な指導のもとでは有効です。混同注意:呼吸補助筋の活動と、通常の筋力トレーニングの目的を混同しやすいです。
- 4. COPD患者は運動耐容能が低下しやすいため、下肢の筋力トレーニングは歩行能力やADLの維持・改善に非常に重要です。呼吸リハビリテーションの中心的な要素であり、息切れの軽減やQOLの向上に寄与します。選びやすい理由:呼吸器疾患なので、下肢運動はあまり関係ないと思うかもしれませんが、全身の運動耐容能向上には不可欠です。混同注意:下肢運動が呼吸に直接影響を与えないと思われがちですが、全身的な持久力向上には重要です。
- 5. COPD患者は呼吸器感染症に罹患しやすく、それがCOPDの増悪の大きな原因となるため、インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種は、増悪予防および重症化予防のために強く推奨されています。選びやすい理由:ワクチン接種は医療行為であるため、漠然と推奨されない場合もあるのではないかと考えるかもしれません。混同注意:一般的な健康な人へのワクチン接種の考え方と、慢性疾患患者へのワクチン接種の重要性の違いを混同しやすいです。
国試ポイント
COPD患者の栄養管理、特に低栄養対策の重要性とその具体的な方法について問う問題です。一般的な健康増進のための食事療法と、特定の疾患(COPD)における栄養管理の特殊性を区別できるかがポイントとなります。呼吸リハビリテーションの構成要素(運動療法、酸素療法、ワクチン接種など)についても理解している必要があります。
混同注意
一般的な生活習慣病予防の食事(低脂肪食、低塩食など)と、COPD患者の低栄養対策としての食事(高エネルギー食、高脂肪食など)を混同しやすい点。また、各選択肢がCOPDの治療ガイドラインにおいてどのような位置づけにあるか、そのエビデンスレベルを正確に把握していないと誤答しやすいです。
次に同じ論点が出たら
COPD患者の栄養管理に関する問題では、高エネルギー食・高脂肪食の推奨理由や、摂取カロリーの具体的な目標値、栄養補助食品の利用など、より詳細な知識が問われる可能性があります。また、COPDの急性増悪時の栄養管理や、消化器症状を伴う場合の対応など、病態に応じた応用的な知識も問われるかもしれません。他の呼吸器疾患(例:肺結核、間質性肺炎)における栄養管理との違いも比較検討される可能性があります。
関連知識
COPDの病態生理(炎症、気道閉塞、肺過膨張、全身性影響)、呼吸リハビリテーションの構成要素(運動療法、栄養管理、薬物療法、教育、心理社会的サポート)、在宅酸素療法の適応基準、ワクチン接種の重要性、低栄養の評価方法(BMI、体重減少率など)。特にCOPD患者の低栄養は呼吸筋力の低下や免疫力の低下にも繋がり、増悪リスクを高めるため、その対策は非常に重要です。