70歳の男性。Parkinson病。Hoehn&Yahrの重症度分類ステージⅢ。歩行時にたびたびすくみ足や小刻み歩行からの突進を生じる。この患者の歩行練習で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
パーキンソン病のすくみ足や小刻み歩行に対しては、視覚的・聴覚的な外部キューの活用が有効とされています。床に等間隔に引かれた線や目印をまたぐように意識させることは、歩幅を広げ、歩行リズムを改善し、すくみ足の軽減に役立ちます。これは視覚的キューの一例であり、歩行の自動性障害を補う有効な介入です。
選択肢ごとの解説
- 1. 継ぎ足歩行はバランス能力を高度に要求し、すくみ足や突進傾向のあるパーキンソン病患者、特にステージⅢでは転倒リスクが高く危険です。正しくは:安全な場所で、ゆっくりと安定した歩行練習から始めるべきです。選びやすい理由:一見、歩行能力の向上を目指す訓練のように思えるかもしれませんが、現在の症状には適していません。混同注意:健常者や回復期にある患者に対するバランス訓練と混同しやすいです。
- 2. パーキンソン病患者は、歩行速度を上げると小刻み歩行や突進現象が悪化しやすく、転倒のリスクが大幅に増加します。正しくは:安全な範囲で、安定したリズムで歩くことを優先すべきです。選びやすい理由:歩行能力の改善には速度向上が必要と誤解されがちです。混同注意:一般的な運動訓練における速度向上と混同しやすいです。
- 3. 二重課題(デュアルタスク)は、注意を分散させるため、パーキンソン病患者の歩行を不安定にさせ、すくみ足や転倒のリスクを高めます。特にステージⅢの患者には適しません。正しくは:歩行に集中できる環境で、単一の課題として歩行練習を行うべきです。選びやすい理由:認知機能と運動機能の統合訓練のように思えるかもしれませんが、歩行が不安定な状態では推奨されません。混同注意:認知症患者の一部に対する認知機能訓練や、歩行が比較的安定している患者に対する注意分散訓練と混同しやすいです。
- 4. 正解。パーキンソン病のすくみ足や小刻み歩行に対して、視覚的な手がかり(キュー)は非常に有効です。床の線などをまたぐことで、歩幅が広がり、リズムが改善され、すくみ足の軽減に繋がります。これは外部キューの一種として広く推奨される方法です。
- 5. 足首に重錘バンドを装着すると、下肢の挙上をさらに困難にし、すくみ足やシャッフリング歩行を悪化させる可能性があります。また、転倒リスクが増大します。正しくは:重錘バンドは筋力強化の目的で使用されることがありますが、歩行練習においてはこの病態には不適切です。選びやすい理由:筋力強化やバランス改善に繋がるのではと誤解されがちですが、パーキンソン病の歩行では逆効果です。混同注意:一般的な筋力トレーニングにおける抵抗運動と混同しやすいです。
国試ポイント
パーキンソン病患者の歩行障害(すくみ足、小刻み歩行、突進など)に対するリハビリテーション介入の基本原則、特に外部キューの有効性が問われています。Hoehn&YahrステージⅢという重症度も考慮に入れる必要があります。
混同注意
パーキンソン病の症状を悪化させる可能性のある介入(速度増加、二重課題、過度な負荷)と、実際に効果のある介入(外部キューの活用)を区別できるかがポイントです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、パーキンソン病の病態生理に基づいた適切なリハビリテーション介入(特に外部キューの種類と効果)が問われると予想されます。また、病期に応じた注意点も確認が必要です。
関連知識
パーキンソン病における運動療法、特に外部キュー(視覚、聴覚、触覚)の種類とその効果。Hoehn&Yahr重症度分類の各ステージにおける身体機能の特徴とリハビリテーションの留意点。二重課題(デュアルタスク)の概念とそのパーキンソン病患者への影響。