ランプ負荷法を用いて軽い負荷強度から最大運動強度まで運動強度を漸増した場合、運動強度に比例して直線的に増加するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ランプ負荷法では、一定の割合で運動強度を漸増させるため、有酸素運動の指標である酸素摂取量は、最大酸素摂取量に達するまでほぼ直線的に増加します。これは、運動に必要なエネルギー供給と酸素消費が密接に比例するためです。
選択肢ごとの解説
- 1. 運動初期には運動強度に比例して増加しますが、運動強度が高まり呼吸数が非常に多くなると、一回換気量の増加が限界に達し、呼吸数増加の割合は緩やかになるか、またはプラトーに達することがあります。特に最大運動強度付近では、呼吸効率を維持するため呼吸数が頭打ちになる傾向があります。正しくは:運動強度の上昇とともに増加はするが、直線的ではない。選びやすい理由:運動すると呼吸が速くなるという直感から、直線的に増加すると思ってしまいがちです。混同注意:一回換気量との関係や、呼吸効率の変化と混同しやすいです。
- 2. 正解。運動強度が増加すると、筋肉のエネルギー需要が増え、それに応じた酸素供給が必要になります。酸素摂取量は、有酸素運動の強度を反映する主要な指標であり、一定の負荷増加率(ランプ負荷法)に対しては、VO2maxに達するまでほぼ直線的に増加します。選びやすい理由:運動量と酸素消費の単純な関係性から正答と判断しやすいです。
- 3. 分時換気量は呼吸数と一回換気量の積であり、運動強度の上昇とともに増加しますが、その増加は直線的ではありません。特に換気閾値を超えると、二酸化炭素排出量の増加により、より急峻に増加する傾向があります。正しくは:運動強度の上昇とともに増加はするが、直線的ではない。選びやすい理由:呼吸数や酸素摂取量と同様に運動で増えるため、直線的な関係があると誤解しやすいです。混同注意:呼吸数や一回換気量それぞれの増加パターンと混同しやすいです。
- 4. 一回拍出量は、運動開始初期の軽い運動強度では増加しますが、中等度から高強度の運動ではピークに達し、それ以上運動強度が増加しても大きくは変化せず、プラトーに達する傾向があります。心拍出量全体は心拍数の増加によって維持されます。正しくは:運動初期には増加するが、その後はプラトーに達する。選びやすい理由:運動強度が増えれば心臓も活発になるため、一回拍出量も継続的に増えると考えてしまいがちです。混同注意:心拍数や心拍出量(分時心拍出量)の増加パターンと混同しやすいです。
- 5. 二酸化炭素排泄量は運動強度の上昇とともに増加しますが、換気閾値(嫌気性閾値)を超えると、乳酸アシドーシスを代償するために換気が促進され、運動強度に対してより急激に増加し、直線的ではなくなります。正しくは:運動強度の上昇とともに増加はするが、特に換気閾値を超えると直線的な関係が失われる。選びやすい理由:酸素摂取量と同様に、代謝活動の増加を反映するため直線的に増加すると誤解しやすいです。混同注意:酸素摂取量の直線的な増加と混同しやすいです。換気閾値の概念を理解していないと間違えやすいです。
国試ポイント
運動生理学における主要な生理学的指標が、運動強度の上昇に対してどのように変化するか(直線的、プラトー、非線形的増加など)を正確に理解しているかを問う問題です。特に、酸素摂取量が運動強度とほぼ直線的な関係にあることを把握しているかが重要です。
混同注意
酸素摂取量と、呼吸数、分時換気量、二酸化炭素排泄量といった他の呼吸・循環系の指標の変化パターンを混同しやすいです。特に換気閾値を超えた際の非線形的な変化を理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合は、運動強度に対する各生理学的指標(心拍数、血圧、呼吸数、一回換気量、分時換気量、酸素摂取量、二酸化炭素排泄量、呼吸商など)の増減パターンや、特に直線的、プラトー、非線形増加といった特徴的な変化を区別できるかどうかが問われるでしょう。また、特定の疾患(心不全、COPDなど)におけるこれらの指標の変化や、測定方法の理解も重要です。
関連知識
換気閾値(嫌気性閾値)、呼吸商、一回拍出量と心拍数の関係、心拍出量の計算式、VO2max、生理学的デッドスペース。