Brunnstrom法ステージの検査において、ステージと可能な随意運動の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Brunnstrom法の上肢伸筋共同運動は、肩関節の内転・内旋、肘関節伸展、前腕回内、手関節掌屈、手指屈曲で構成されます。ステージIIIでは、これらの共同運動パターン内での随意運動が出現します。したがって、選択肢2の「肩関節内転、肘関節伸展、前腕回内」は上肢伸筋共同運動の一部であり、ステージIIIで可能な運動として適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 手指ステージIIIでは、共同運動の要素が強く、全ての指を独立して、かつ不十分にであっても伸展させることは困難です。III期に可能なのは、共同運動パターン内でのわずかな随意運動の出現です。正しくは:手指ステージIIIでは、通常、共同運動パターンに沿った、またはその一部の動きがわずかに出現する程度です。全指伸展は共同運動パターンには含まれず、独立した動きであり、Ⅲ期ではまだ不可能か極めて限定的です。選びやすい理由:「不十分な」という記述から、わずかな運動能力を想像し、共同運動の出現時期であるIII期と結びつけやすいかもしれません。混同注意:III期とIV期以降の独立した分離運動の出現時期と混同しやすいです。
- 2. 正解。Brunnstrom法の上肢屈筋共同運動は「肩関節外転・外旋、肘関節屈曲、前腕回外」であり、伸筋共同運動は「肩関節内転・内旋、肘関節伸展、前腕回内」です。ステージIIIでは、これらの共同運動パターン内での随意運動が出現します。したがって、伸筋共同運動の一部である『肩関節内転・肘関節伸展・前腕回内』が可能であるという記述は正しいです。選びやすい理由:共同運動の具体的な内容を正確に覚えていないと、この選択肢が正しいと判断しにくい可能性があります。
- 3. 下肢屈筋共同運動は「股関節屈曲・外転・外旋、膝関節屈曲、足関節背屈、足趾背屈」です。膝関節屈曲位で踵を床につけたまま足関節背屈は、下肢屈筋共同運動の一部ですが、ステージIIIではまだ共同運動全体としての出現が主で、その中の特定の分離運動を独立して行うのは困難です。特に「踵を床につけたまま」という条件は、共同運動パターンでは困難な、ある程度の分離運動の能力を示唆します。正しくは:下肢ステージIIIでは、下肢屈筋共同運動(股関節屈曲・外転・外旋、膝関節屈曲、足関節背屈、足趾背屈)または下肢伸筋共同運動(股関節伸展・内転・内旋、膝関節伸展、足関節底屈、足趾底屈)が出現する時期です。この選択肢の動きは屈筋共同運動の一部ですが、踵を床につけたまま背屈というのは共同運動の動きと完全に一致するわけではありません。選びやすい理由:足関節背屈が下肢屈筋共同運動に含まれるため、III期で可能だと誤解しやすいです。しかし、「踵を床につけたまま」という条件は、共同運動パターンから逸脱した、より分離された動きを意味します。混同注意:共同運動パターン内の運動と、共同運動パターンから逸脱した分離運動の区別が曖昧だと誤りやすいです。
- 4. 下肢ステージIVでは、共同運動から逸脱した分離運動が少しずつ可能になります。しかし、立位で股関節伸展位を保持しつつ膝関節を屈曲させる動き(踵を臀部に近づける動きなど)は、下肢伸筋共同運動(股関節伸展、膝関節伸展)と下肢屈筋共同運動(膝関節屈曲)を同時に行いながら、ある関節の動きを固定し、別の関節を動かす高度な分離運動であり、ステージIVで完全に安定して行うのはまだ難しいことが多いです。これはステージV以降で安定して可能になる運動とされています。正しくは:下肢ステージIVで可能なのは、例えば「座位で膝関節を90度より深く曲げる」「膝を伸ばしたまま足関節を背屈する」など、共同運動から一部逸脱した動きです。立位での股関節伸展位での膝屈曲は、より高度な分離運動であり、ステージV以降で可能になることが多いです。選びやすい理由:ステージIVで分離運動が可能になる、という情報から、このような複雑な分離運動も可能だと誤解しやすいです。混同注意:ステージIVとステージV以降で可能になる分離運動の複雑さのレベルを混同しやすいです。
- 5. 立位での股関節外転はBrunnstrom法の下肢ステージⅥの検査項目です。下肢ステージⅤでは、立位で股関節伸展位のままの膝関節屈曲や、足関節背屈などをみます。選びやすい理由:ステージVで分離運動が可能になる、という情報から、この選択肢も可能だと錯覚しやすいですが、具体的な数値が不適切です。そもそも、ステージの判断基準に「〇〇度」といった具体的な角度は通常含まれません。混同注意:ステージ分類の概念的な理解と、具体的な数値を使った評価基準を混同しやすいです。
国試ポイント
Brunnstrom法における各ステージの定義、特に共同運動の内容とその出現時期、および共同運動から逸脱した分離運動の出現時期について正確な知識が問われます。共同運動の具体的な構成要素と、各ステージで可能になる運動のレベル(共同運動内か、共同運動からの逸脱か、どの程度の複雑さか)を理解しているかが重要です。具体的な角度や不正確な表現に惑わされない注意も必要です。
混同注意
各関節の共同運動パターン(屈筋共同運動と伸筋共同運動)の具体的な構成要素。特に、ステージIIIでの共同運動の出現と、ステージIV以降での共同運動からの逸脱した分離運動の区別。共同運動パターンと完全に独立した運動の区別。
次に同じ論点が出たら
今後、Brunnstrom法の問題が出題された場合、共同運動の正確な構成要素、各ステージの運動能力のレベル(特にIII期とIV期、V期での分離運動の違い)、そして不適切な表現(具体的な角度など)に注意して判断する必要があります。特定の共同運動から逸脱した運動がどのステージで可能になるか、を問う問題形式が予想されます。
関連知識
Brunnstrom法の各ステージ(I〜VI)の定義、上肢・下肢・手指の各共同運動のパターン、そしてそれぞれのステージで可能になる具体的な随意運動の例。 Fugl-Meyer評価との関連性。